エイプリルになったということが嘘であってほしいよ

昔から春に愛憎の気持ちを抱いている。
新しい何かが始まるということがどうしても苦手で、新年度が苦痛である。弊社は4月が新年度ではないが、家の者たちが新年度なので、新年度準備に歩調を合わせる他ない。小学校から高校までのことを思い出して、みぞおちのあたりがもやもやする。新しい教室に入る時の憂鬱……古今東西そうであるのかは知らないけど、僕の通った小中学校は、新年度にクラス名簿が廊下に貼り出されて、みんなで押し合い圧し合いしながらそれを見て新しい教室に向かったのだけども、僕はその時点でもうダメだった。いつもと違いすぎる。なんだこのイベントは……。自分の名前を〇組に見つけ、そこに向かおうとするが、本当に〇組であっているか何度も名簿を再確認しに廊下に戻ってしまう。三十路になった今でも、この時期は、新しい教室を間違えてしまう夢を見る。実際に間違えてしまったことはないのだけど、恐れがずっとこびりついている。新しい物事が苦手なのは、「間違えたらどうしよう」という意識が強いからなのか。そうか……いやみんなそうじゃないのか?「みんな」?すぐそう言う。みんな。

こういう、苦手な「新しい物事たち」に楽しげな飾り付けが成され、そのモチーフは草花や虫。うさぎ。時々くま。冬眠からの目覚めと芽吹き等の新しい生命活動、正直そういうのは嫌いじゃなかったりする。根明なので。根は陽気なので。本当です。陽気なので。
そういった意味では春は好みの季節でもある。

去年は2月くらいから体調を崩していて、「気分が悪い」以外の記憶が無いので久々の春を迎える気がする。
鬱屈としているが陽気さもある、生ぬるい空気感を久しぶりに感じて目眩がした。視界が薄い生成色のスクリーンで覆われてるような。やっぱり嫌すぎる。なぜ勝手に4月になってるんだ。