タイトルなし


あまりにも静かな日曜日の朝である。
そんな朝に、ぼくは、なかなか を拾ったのだ。
くそみたいな ガラスがあって 砂漠だねと、友達が笑った。

助けてなんて、云ってないよ。

スカイプのヘッドフォンをつけて、ぼくは逃走している。友達の好きな女の子を、どうにかしてここに連れてこなくちゃ。

そうしたらオレンジ色した月が陰って、目の端に、『おまえはいらないんだ』と云う なかなか がうつった。

知ってる(笑)

ぼくは なかなか を知ってる(笑)

とんだ茶番だ!!俺は、泣くときはひとりで泣くよ。それにしても、ハンカチがもうびしょびしょである。ティッシュの屑も、自慰後並みの山になってる。

朝ご飯を食べようか、と、ぼくは なかなか に訊いた。なかなか は、うん、とイった。

ヒトを愛したね、と、ぼくは なかなか に胃った。なかなか は、うん、と慰った。

これは、寂しさの山です、とガラスを指差す。
友達は苦笑した。助けてとは云ってないけど、ぼくは助けてほしいんだよ。助けられるんなら。

そうしてぼくは、魚になった。


うた


【ぼくななし】

(足 だけ コンクリートの地面から空へと 突き出している
からだは埋められたのだ)

顔が無いから、自分がだれだかわからないです。まわりの人たちも顔をかくすから、わからないです。明確にわかっているのはひとりだけで、ぼくはその人さえも遠ざけて、ひとりになりたいと思っているのです。

ひとりになりたいとわめくのは、どこにも行くなとまた言って欲しかったからです(あの人に)

だけどそう言ってくれずに、こんなときもぼくの意見を尊重して、ひとりになってもいいよと優しく残酷なことを言うものですから、ぼくはまた、車でご飯を食べるのです。

言ってしまったうえでは意地を通さなければいけません。まあ止められたとしてもいなくなるつもりだったし。だけど彼にもいっしょにいなくなってほしいとか思ったのに云々

しばらくおやすみ。
携帯電話はヒャッホォオオオゥと言って投げ捨てる、お腹が痛いです。

ぼくは無用なようで(だから地面に埋めようと)、そう思ってるのは彼じゃなくてぼくで(だから地面にからだを埋めて)、自分の頬を叩きたい、けれども顔もないのです。

ぼくは誰だろうっていつから考えているんだろう、ようやく見つけかけたのに崩された、つくりかけていた顔をつぶされた、もしくはつぶしたのはぼくだ(先読みして)、俗世なんてだいきらいだ

気が狂う程度には愛してる


まったく眠れない、重労働のあとで疲れているはずなのに
2回も見られた、髪の毛ひっこぬいてわあわあわめいてあたまを壁に打ちつけて呼吸困難、ビデオに撮られていたら爆笑を誘う映像、だけどいまでも笑える気はしない、あたまと心臓と目ん玉が、皮膚を突き破って飛び出してくるんじゃないかとも思う、ような動機がいまも続いているのですよ

別れると脅されて、そうなる程度には愛してるのだと思い知る、見苦しい人間になったもんだまるでヒステリックの女だと自分に唾吐く、しかし笑えはしないのですよ

わめいたからなだめられたのか、だだをこねてなだめられる子どもみたいだ、

思い出のうえを歩く、ただの学生に埋もれてゆくぼく、いつまで中二病しているのと言われているように感じるのはパノプティコン

眠れないよう

さよならハロー


【サイロク】

歩いて歩いて行き詰まったから、道を引き返したら、その先にはぼくがいた。古いぼくだ。
ぼくは古いぼくに呼びかけた。

おーい、おーい。
そこをまっすぐ行っても、行き止まりだよ。ぼくの声が、聞こえないのか。

古いぼくは夢中になってずんずん進む。まあいいか。いずれわかるなら、無視しよう。

歩いて歩いて来た道を引き返していると、またぼくに出会った。今度は新しいぼくだ。
新しいぼくは、ぼくに何か言ったが、ぼくには未来語がわからない。

新しいぼくはあきらめて、前へ――行き止まりだと、知っているはずの方向へ進んだ。古いぼくと同じ方向に。あれれ。
ばかじゃないのか。向こうは行き止まりだから、ぼくは道を戻っているのに。新しいぼくはまた行き止まりへ向かう。

ぼくは道の先を見つめた。道をさかのぼったところに何があった?どうして新しいぼくはまた前に進んだの。

わからないから黙って道を引き返す。

しばらく歩いて歩いて歩いていると、またぼくは行き詰まった。
道を戻ろうと振り返る。歩いて歩いていると古いぼくに会った、向こうは行き止まりだったと声をかけたが、古いぼくはぼくの言葉がわからないようだった。

この先も行き止まりだとぼくは知っている、だけど道は一本しかないのだ。ぼくは古いぼくの説得をあきらめて前へ進んだ。

歩いて歩いて歩いていると、また生き詰まった。道を引き返して歩いて歩いて歩いて歩いて歩いていると、また生き詰まった。道を引き返して歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて

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