生徒記録1


生徒1「先生、先生!おれ、映画好きなんだよね。映画の本ってないの??」
ぼく「映画の本は、7類の棚の真ん中くらいにあるよ。案内するね」

ぼく「ヒッチコックとか黒澤とかしかないけど…」
生徒1「えー、知らない人だな…。アベンジャーズとかないの?」
ぼく(少年よ…「日本よ、これが映画だ」という宣伝文句に踊らされてはいけない…映画というのはね…)
生徒1「あんまり映画の本ってないんだね」
ぼく「そうだねー、ごめんねー」

別日の朝

生徒2「先生、貸出ってもう始まってる?」
ぼく「8:45からだから、まだだよ」
生徒2「えー、そうなの?先生、わたし早退するから、いま借りてもいい?お願いー」
ぼく「早退?どうしたの」
生徒2「わたしの目、なんか変でしょ」
ぼく「わーほんとだーどうしたのかなー?ものもらいかなー?(別に変ではないが)」
生徒2「ちがうよ。先生、わたし、いつも数珠つけてるでしょ?」
ぼく「そうだね(知らんが)」
生徒2「今日、忘れたから。なんか、肩も重くて。取り憑かれてると思う。目が痛いのもそのせいかも。ね?」
ぼく「あ、うん、そうだね」
生徒2「だから帰るの!」
ぼく「はーい、お大事にねー」

別日の放課後

生徒3「いえーい!クーラーついてるー!」
ぼく(来たな問題児。こいつ騒ぐし本棚の上に座るし嫌なんだよなー)
生徒3「いえーいいえーい!」
ぼく「……(なんかめんどくさいし、人も少ないから今日は叱らなくていいかな)」
生徒3「いえーい…」
ぼく「……」
生徒3「……」

生徒3「おい、○○(子分の名前)!奥のほう(の本棚に)座ろうぜー!」
生徒4「えー、だめだよ…また怒られるよ…」
生徒3「いいからこいよ!」
ぼく「……(もうなんでもやれよ)」

生徒3「……」
生徒4「……」
生徒3「……」

五分後

生徒3「…………」
生徒4「…………」
生徒3「…………」
生徒4「……あ、おれ、そろそろ部活だから帰るね」
生徒3「わかった、じゃーなー」
生徒3「……」

十分後

生徒3「…………」
生徒3「…………」
ぼく(何もすることないんなら帰れよ)
生徒3「…………」
ぼく(さみしそうだな)
生徒3「…………」
ぼく(あ、立った。帰るのかな)
生徒3「…………」(うろうろ)
ぼく(かまってほしいんだな…そうはいかんぞ。掲示板の荒らしと同じだ…かまうだけ調子にのるんだよ…)
生徒3「…………」
ぼく(あ、出てった)

数分後

「いけいけ○○中!おせおせ○○中!」
ぼく(あー、野球部の応援練習はじまった…)
「いけいけ○○中!おせおせ○○中!」
ぼく(元気でよろしいですが、声が響くので窓を閉めさせていただきます)

廊下

ぼく(あ、生徒3くんだ。まだ帰ってなかったのか)
生徒3「…………」
ぼく(熱心に応援練習見てるな。何が楽しいんだろ)
ぼく(窓閉めるか)
生徒3「…………」(無言で窓閉める)
ぼく「あ、手伝ってくれるの?ありがとう」
生徒3「……うす」
ぼく(……悪い子じゃないのかなぁ。なんか悪いことしたな…)
生徒3「……じゃあ」
ぼく「はーい、さようならー」
ぼく(……次来たらかまってやろうかなぁ)

世界は、やさしい。

今日は勤務校の入学式でした。
僕は、受付をしていました。
そしたら、リーゼントでいかつい顔をしたお父さまが来て、僕は、怖いなー、怖いなーと思ったり、今年度の1年生は不良がいるのかーと思ったりしてました。
が、式が終わって、1年生が体育館から出てくると、そのお父さまは、自分の子どもを見つけて呼び寄せて、顔じゅうをくしゃくしゃにしながら笑って、「写真撮ろう、写真」と言ってパシャパシャやってたからすごく可愛かった。娘さんも、すごく普通の子で、僕は、見た目で判断したのが申し訳ないなーと思った。
そして世界の優しさが身に沁み、涙が出てきた。
世界にありがとうと思った。
八つ橋は美味しかった。
それにつけても、おやつはカール。
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