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ACT1-(5)

…………そして、次の日。


「…………よし、こんなもんで良いかな。」

美月大学付属高校の廊下であさぎはMAHO堂のポスターを貼った。

「……へぇ、花屋さんをするんだ。」

クラスメイトに声をかけられて、あさぎはクルッと振り向いた。

「うん。知り合いが急に亡くなって、引き継いでくれる人を探していたんだ。」
「良かった、美月町は花屋さんが少ないから買いに行くね。」
「ありがとう。」

「………ねぇ、ところで鹿目さんのおばあさんってコモドオオトカゲと戦ったってホント?」
「いやいやいや、そんな大きなトカゲと戦って勝ったって話は聞かないよ。
……まぁ、熊ならぶっ倒したことがあるけど。杖1本で。」

「……え、嘘!?凄くない!?」
実際には魔法の杖を使って追い払っただけなのだが、嘘をついているわけではないので
あさぎは訂正しなかった。
「………鹿目さんのおばあさん、人間やめてない?」
「いやー……長生きをしていたことだけが取り柄だったからねー…………。」



「………あー、てなわけでお前らに新しいクラスメイトを紹介する。
本来なら入学式に出席するはずだったんだが、ちょっと芸能界の事情って奴で出れなかった
玉置流司クンだ。」

「ちわっす、俳優やっている玉置流司です。よろしく。」


流司が挨拶をすると、女子生徒達は黄色い歓声をあげ男子生徒はおぉ、と声をあげた。

「………………。」

「?」

流司はただ1人、窓の外を眺めていたあさぎに首を傾げた。


「席はそうだな、鹿目の隣が空いている。……おぉい、鹿目。」
「はい、何でしょう。」

「学校案内やってくれ。放課後までは時間あるだろう?」
「………そうですね。」

「よろしく、鹿目さん?」

あさぎの隣に移動した流司はそういうとにこやかに笑った。


「………………よろしく。」


続く。

ACT3-(6)


「…………だー………。」

「あら、美月。もう疲れちゃったのかしら?」

ギフトショップで直人達へ贈るお土産を選んでいた美穂は
美月がウトウトしていることに気づいた。

「あんまり動かなかったとはいえ、色々回ったからな。
疲れるのも当然だろう。」

代わろう、と言って綾人は美穂からベビーカーを受け取った。

「ねぇねぇ、パパ。これ買って!」
「あ、ずるーい、私もこれが欲しい!」
「私はこれー!」

「……こらこら、お土産を買うんだぞ。自分用に買うんじゃない。」

「とかなんとか言いつつ、財布を片手に持っているのは何処の誰だよ。」

「綾人お兄様、子煩悩ですからね。」
「本当に。」

「………愛妻家かつシスコンかつ子煩悩な男ですなぁ。」
「……否定はできない。」

小狐丸と鳴狐の言葉に美穂はええ、と頷いた。

「まあ、きちんと家族サービスしてくれる旦那だから文句の1つや2つはでないわね。」

「貴女達、パパにおねだりするんじゃありません。」

「えー、だってパパ、私達に甘いもん。」
「満月お姉ちゃんとママにも甘いけど、世界で1番私達に甘いもんねー。」

「うん。」

「もう、父親としての威厳がないのが落第点だけど……。」
「そんなことを言われてもだな………。」

「あまり綾人お兄様を困らせないでね、美花ちゃん達。」

「満月お姉ちゃん、どっちの味方?」


「私は芳樹さんの味方ー。」


「パパじゃないんだ。」

「み、満月………そこは私の味方と言いなさい。」

「綾人お兄様は美花ちゃん達に構ってあげてくださいな。
私は芳樹さんに甘えますー。」

ぎゅっと腕を握られて、芳樹はどや顔をした。


「腹立つ。」
「好きに言ってろ。」


続く。
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