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ACT2-(3)

マリンタワーで宮森は、デジタル庁の職員に電話をかけると
美月から聞いた話をそのまま伝えた。
「……ああ、そうだ。デジタルモンスターなる生き物を連れている子供がいる。
上層部に直談判するには良い材料になるだろう。」


「……美月、これからどうなっちゃうの?」
「私達の目的は七大魔王による人間界進出の阻止だからね。
私1人だけだと、どうしても限界があるから。」

「……………物吉君、と言ったね。君的には今後どうするつもりか聞いても?」

「オメガモンが人間界に来たってことは、
他のデジモンもゲートを通して人間界に来る可能性があります。
1番最悪なのは成熟期以上のデジモンですね。
できれば制圧して、デジタルワールドに送還できればいいんですけど……。
他のオリンポス十二神族が子供達に接触しているかどうかもわかりませんし、
ロイヤルナイツには正直言って期待しない方が良いかもしれないです。」
「何故だ?」
「ロイヤルナイツは各々が信じる正義の元に動いていますから、
私達の信じる正義とは違います。
大量虐殺も彼らの正義だと言われてしまえば、それで終わりです。」
「………なるほど。」
「デジモンの存在を認識するまでには時間がかかりますし、
他の一般人からしてみれば怪獣として一括りされると思います。
巨大生物による災害、ですよ。」

美月がそこまで言った時、デジヴァイスが光り輝いた。

「あ、オファニモンだ。」

『美月、ルナモン。聞こえますか?』
「うん、聞こえるよ。」

「オファニモン?」
「ボクの友達。……オファニモン、ちょっと話を聞いてくれる?」

ルナモンはオファニモンに宮森のことを話した。


『………そうでしたか。デジタル庁という部署の人間の方なのですね。』
「ええ、オメガモンの出現をきっかけにデジタルワールドからデジモンが出現する可能性がある。
一般人にはデジタルワールドは浸透していないので、巨大生物による災害が今後とも起きる。
…………正直に言うと我々はデジモンにはデジモンを、という考えを持っています。」

『………そうですね。そちらの方でデジヴァイスのデータを解析してください。
デジヴァイスにはデジモンの出現を知らせる機能がついています。
それを都市部の地域と照らし合わせれば、何処に出現できるかがわかります。』

「……わかりました。そのようにしましょう。」

『美月、貴女に力を貸したいというデジモン達がいます。
彼らの力を使ってやってください。』

「ホント?助かるわ。」

『ただ、オメガモンについてなのですが。』
「うん。」

『オメガモンはロイヤルナイツから離れた身。
いざという時以外ははじまりの街で待機してもらうことになります。』
「…………まあ、そうだろうね。力が強いもん。大丈夫、私とルナモンで当分は何とかするわ。
それに戦力補充もしてくれるんだし。」

『ではデジヴァイスにデジモン達のデータを送信します。』

そういうとオファニモンは美月のデジヴァイスに戦力補充のデジモン達のデータを送信した。



続く。

ACT2-(2)

デジタル庁に所属しているという宮森祐介は、立ち入り禁止テープを跨って入ってきた
美月に興味を抱いた。
「…………ちょっと話を良いかな?」
「構わないですけど、ここで話すのはちょっと………。」
「わかった。ならば、場所を移そう。」
そういうと宮森は視線をマリンタワーに向けた。


マリンタワーに移動した美月はトートバッグからルナモンを出した。
「ここから地上が見えるんだねぇ、凄いや。」

「………ほう、喋る兎……ではなさそうだな。」

「ボクはルナモン。デジタルモンスター、略してデジモンだよ。」
「……デジモン?」

「デジタルワールドを拠点に生活している生物の総称です。
私とルナモンは昨日、ここでオメガモンと戦っていました。」

「オメガモン?」

「はい。」

美月は宮森に自分とルナモンが出会った経緯と、
闇の勢力が人間界を支配しようと目論んでいることを話した。

「……なるほど。防犯カメラに映っている以上、デジモンを否定することはできんな。
それで、闇の勢力というのは?」

「七大魔王のことを言うんだよ。
ボク達、オリンポス十二神族とロイヤルナイツと三つ巴の戦いを繰り広げていたの。
…………でも、1体1体が強いんだ………。」

「他のオリンポス十二神族とバラバラになっているので、
今何処にいるかはわからない状態なんです。
もしかしたら私みたいに子供をパートナーとして、一緒に戦ってくれと
共闘を持ち掛けているかもしれないんです。」

「………なるほど。そういうことか。ならば、我々デジタル庁の管轄になるな。」
「………どうして、そこまで動けるんですか?」

「何、数年前からネットワーク上に仮想現実空間があることを認識していたんだが
なかなか国が動かなくてね。
……ようやく本腰を入れたのがつい最近なんだ。
デジタルワールドの存在を明らかにすれば、国も動いてくれるだろう。」

「………はぁ、そういうことですか。」

「何にせよ、人間界進出は絶対に避けねばならないな。
七大魔王がこの世界を支配してしまえば、人間達の生活は360度変わってしまう。」



続く。

ACT2-(1)

ピピピ、と目覚まし時計のアラームが鳴る。
「美月、朝だよー。」
ルナモンの声で美月は目を覚ますと、アラームをOFFにした。
「………はぁ………もう、朝か………。」
上半身を起こした美月はくたぁ、と体を伸ばすとベッドから降りた。
「美月、今日はどうするの?」
「マリンタワーに行こうかと思っているの。昨日の今日だし、実況見分とかしていると思うけど、
何かわかることがあるんじゃないかと。」
「そっかぁ……。うん、じゃあ行ってみようよ。」
「うん。」
朝食を済ませ、トートバッグを片手に持った美月はルナモンを連れて家を出た。

電車を使い、マリンタワーに向かうと野次馬達がスクランブル交差点にいた。
「………うわぁ、やっぱ見物したくなるのは皆一緒か………。」

人混みをかきわけて、最前に向かうと警察が実況見分をしていた。

「これ、雹なんですかね………。」
「でも雹にしては全然違うような………。」


「(オメガモンの仕業でーすって、言えるような雰囲気じゃないなぁ………。)」

警察が実況見分をしていると、スクランブル交差点に1台の車が停車した。

サングラスに黒いスーツ姿の男が車から降り、警官達は敬礼をした。

「デジタル庁の宮森です。」
「はぁ、これはどうも御叮嚀に。………でもデジタル庁がどうしてここに?管轄外ですよね?」


警官の言葉に宮森は苦笑いした。

「いや、何。昨日、見た事もない生物同士がここで戦っていたという映像が防犯カメラに
残っていたので見に来たのですよ。」

「………あ、しまった。」

美月はあちゃー、という顔をした。トートバッグの中でルナモンは首を傾げた。

「………防犯カメラに私、映っているかも………。」
「………どうするの?」

「………こっちの話、聞いて貰おうかな。」
そういうと美月は立ち入り禁止テープを潜った。

「あ、ちょっと、君、困るよ。」

「………待った。」

美月に注意しようとした警官を宮森は制止した。

「この子は大丈夫です。何やらワケありのようですから。」




続く。
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