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ACT1-(9)

「…………何はともあれ、皆無傷で帰ってきて良かった。」
「当然です。刀剣男士として顕現した以上、まけはゆるしませんよ。」
「ははは、今剣は手厳しいなぁ。」

朝方になり、満月は夜戦をしてきた三日月達を出迎えた。

「朝ごはんできているから、一緒に食べよう。」
「お、準備がいいな。主。」
「何分、一緒に戦うことはできないからね。これぐらいは。」
「ありがとうございます、主様。」

「今回の誉は堀川だな。」
「そうそう、国広は闇討ち暗殺お手の物だからな!当然だろ?」
「兼さん!」
「………じゃあ、堀川には野菜たっぷりあげないとね。」
「あ、ありがとうございます………主さん。」

「あれ?野菜嫌いだった?」
「あ、いえ。兼さんじゃあるまいし………。」
「何だとこら!?」

「…………はいはい、好き嫌い残さず食べようね。」

朝ご飯が終わり、満月は堀川と共に食器洗いをしていた。


「…………夜戦帰りで大丈夫?休んでなくても平気?」
「ジッとしているのが苦手で。」

「……無理は禁物だからね。」
「はぁい。…………主さん、心配性ですね。」

「そりゃ自分の刀だからね。替えが利かないし。」


「…………………そうだ、初陣は何とか勝利できたって咲良さんに報告しないと。」
「そうですね。何かと心配してくれていますから。」
「うん。………向こうの方でも、三日月が何で歩道に落ちていたのか調べてくれているみたいだし。
頑張らないと。」



続く。

ACT1-(8)

「…………………それじゃ、主さん。おやすみなさい。」
「今剣よ、主のことをしっかり頼んだぞ。」
「はい、おまかせください!」
「じゃあ、皆おやすみー。」

今剣と満月が部屋に入ったのを見て、刀剣男士達はリビングに向かった。

「………さて、給料分は仕事をしないとな。」
「そうですね。」
「霊力が高いのに、索敵はできないのか。」
「無理言わないの、兼さん。」
「もしかしたら審神者によって得意不得意があるかもしれませんし。」
「そうだねぇ。咲良だったけ?彼女も苦手分野があるって言っていたし。」
「何にせよ、主に害なす者は何であれ斬るだけだ。」
「そうそう、弟のえーっと………肘丸の言う通りだ。」
「俺は膝丸だ、兄者!」
「戸締りはきっちりとしたうえで行かないとね。」
「よーし、いっちょやってやろうじゃねぇか。」




「…………………うーん、皆やっぱり勘が鋭いのかなぁ。」

部屋に入った満月は布団に入ると今剣にそう言った。

「そうですね、刀剣男士は付喪神ですし、人間よりも勘が鋭いのはとうぜんです。」

「………一緒に行かなくていいの?」

「………あるじさまは家でお留守番です。
それに咲良様のところで短期的とはいえ稽古をつけてもらいましたから、皆がやすやすとやられるわけありません!
………義経公みたいな最期はいやですけど。」

「………そっか。そう言えば今剣は義経公の最期を間近で見たもんね。」

今にも泣きそうになる今剣の頭を満月は撫でた。
「えへへ、あるじさまはおやさしいですね。」



「今は無理だけど、岩融、お迎えできると良いね。」
「………はい!」



続く。

ACT1-(7)

「………まぁ、そんなわけで。狭いところだけど我慢してね。」

満月はそう言うと三日月を除いた7振りの刀剣男士達に言った。


「ホントに本丸、持っていないんですね。」
「うん。三日月が何で歩道に落ちていたのか、わかるまでは持たないようにしているんだけど…………。」
「けど、いずれは持たなきゃなんねえだろ?」
「………うん、それはごもっともで。」
「兼さん!すみません、兼さんが余計なことを言って。」

「あ、いいのいいの。別に堀川が謝る必要はないからね?」

「それで僕達は何をすればいいんですか?」

物吉の言葉に満月はそうね……と呟いた。

「……とりあえず、ご飯にしましょ。咲良さんところでも食べれば良かったんだけど、
ご迷惑かと思ったし。」

「残念がってたね、彼女。」
「仕方があるまい、兄者。向こうにも我々がいるそうなのだから。」

「………ごめん、慣れるまではどっちが自分の顕現した刀剣男士かわからないから。」

「なにをつくるんですか、あるじさま。」

腰に抱きついてきた今剣の頭を撫でて満月はそうね、と言った。

「カレーが良いわ。うん、カレーにしよう。」

……実際のところ、ほとんど投げやりである。

「……じゃあ、お手伝いしますね!」
「あ、僕もお手伝いします!」

お手伝いを立候補した堀川と物吉に満月はありがとう、と言った。



続く。

ACT1-(6)

小鳥遊咲良管轄の本丸。
ここに顕現した刀剣男士達はのんびりと過ごしていた。

「…………ここが私の本丸よ。自分の家だと思って寛いで頂戴。」
「はぁ、ありがとうございます。」

咲良の案内で本丸にやってきた満月と三日月は室内を見て回った。

「ここが鍛刀場よ。
資材はあるし、鍛刀のレシピも教えるから、やってみましょう!」
「はぁ…………。」


咲良の指示の元、満月は鍛刀をやってみることにした。

「ぼくは今剣。義経公の守り刀なんですよ、どうだすごいでしょう!」

「俺は和泉守兼定。かっこよくて強い!最近流行りの刀だぜ!」

「すみませーん、こっちに兼さん……和泉守兼定は来ていませんか?
あ、僕は堀川国広です。よろしく。」

「物吉貞宗と言います。今度は貴方に幸運を運べばいいんですか?」

「骨喰藤四郎。すまない、記憶がほとんどないんだ。」

「源氏の重宝、髭切さ。君が今代の主で良いのかい?」

「源氏の重宝、膝丸だ。ここに兄者は来ていないか?」



「………………うん、凄いわね。霊力が高いとは思っていたけど、まさかここまでとは………。」

「7振りも一気に顕現させるとは………さすがとしか言いようがないね。」


「………大丈夫?疲れていない?」

「あ、平気です。はい。」


「よし、なら大丈夫ね。2振りは常時護衛につけさせた方がいいわね。
残りの6振りで、1部隊作ればいいもの。
………護衛については三日月とそうね、同じ三条の今剣がいいかもしれないわね。」

「あるじさまをまもればいいんですか?」

「ええ、そうよ。彼女はちょっとわけありでね。
特殊な状況を経て審神者になったものだから、他の審神者と比べると時間遡行軍に狙われやすいの。」

「難儀なものだな……。」
「こちらとしてもサポートしてやりたいのは山々なんだけど、常時ついているわけにはいかないもの。
とりあえず資材の入手方法と手入れ方法について教えるわ。」

「あ、はい。ありがとうございます。
………ええっと、皆。これからよろしくね。」



満月の言葉に彼女によって顕現した刀剣男士達は応、と頷いた。





続く。

ACT1-(5)

「うむ、この抹茶ラテマキアートは美味いな。
主、もう1杯頼んでもいいか?」
「あ、うん。いいよ。買ってくるからちょっと待ってて。」
そう言うと満月は席を離れた。

「………で、実際のところはどうなの?貴方、顕現する前の記憶とかはないの?」
「それがまったくわからん。気が付いたら俺は道路にいた。
それに主が気づき、俺の名を呼んだ。ただそれだけの話だ。
顕現する前の記憶はないな……いや、持っていないというべきか。」

「…………これは初耳だな、主。」
「ええ。でも資材もなしに鍛刀したわけではないから、ドロップという形になるでしょうけど…………。
貴方、厚樫山とかそこらに徘徊しているのが普通なのよ?」
「そうなのか?」
「ええ。でも話を聞く限りだと不慮の事故で落ちていたってわけでもないし…………。
ますますわからないわね。現時点では。
あの子、審神者の適正があるのは確かだけど。」
「本丸とやらを持たないのは正解なのか?」
「原因がわかるまでは持たないようにしたのは正しいと言えば正しいわね。
きっとあの子、自分で理由を追い求めるタイプなのね。」
「ほう、観察力が鋭いのだな。」
「うちのところの三日月にもよく言われるわ。
………ともかく、満月ちゃんは正式な審神者になっていない以上、時間遡行軍が狙ってくるかもしれないわ。
今のあの子の状態じゃ、増援を呼ぶのは難しいわ。」

「お待たせ、三日月。………何の話をしていたの?」

「何、今の俺達では増援が呼べないからな。しばらく1人で主を守らねばならん。」

「………まあ、そりゃそうだろうね…………。」

「じゃあ、私の本丸で鍛刀をするっていうのはどうかしら?
どのみち、本丸を手に入れることになるだろうし、鍛刀も慣れておけばいいんじゃないかしら?」
「あ、はい。ありがとうございます。咲良さん。」


続く。
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