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ACT2-(10)

医療センターに到着すると、ちょうどウィルス除去を終えたアグモンが
起き上がっていたところだった。

「アグモンの検査が終わりました。ウィルス除去に成功しました。」
「そうですか、ありがとうございます。」

「助けてくれてありがとう。」
「いいよ、アグモンが無事で良かった。」

「へぇ、アグモンって言うのか。恐竜みたいでカッコいいな。
あ、俺は流司。」
「私は美月よ。」

「流司に美月って言うんだ。」

「ね、アグモン。誰にウィルスを打ち込まれたかわかる?」
「うーん………わかんない。」

「わかんないのか?」
「うん…………コロモンの村で生活していたら急に闇の勢力が襲ってきて
僕達進化して戦ったんだけど敵いっこなくて………。
相手は成熟期だったから、無理だったのは当たり前かも。」
「……そりゃ、成長期と成熟期じゃ無理ないわね。」

「成長期?」
「そう。幼年期、成長期、成熟期、完全体、究極体に進化するんです。」

「今のボク達は成長期だけど、デジヴァイスがないと進化できないの。」
「そっか………じゃあ、ロゼモンは元々究極体だったの?」
「うん、でもオファニモンから進化の光を貰って究極体までワープ進化したと思うよ。」
「…………あ、そうなの?」
「うん。」

「オファニモン、無事だったんだ。……セラフィモンとケルビモンは?」
「………オファニモンを逃がすために戦ったんだって。
どうなっているのかはわからないの。」

ルナモンの言葉にコロナモンはそっかぁ………と俯いた。

「大丈夫だ。また会えるさ。………何の根拠もないけど。友達なんだろう?」
流司に頭を撫でられて、コロナモンはうん、と頷いた。
「それでコロモンの村は無事なの?」
「………凄く心配だよ。」
「だったら、確かめに行こうぜ。コロモンの村に。」
「そしたら、デジタルワールドにゲートを開きましょう。
パソコン、ありますか?」

美月の言葉にデジタル庁の職員はパソコンを用意してくれた。

「2人とも、くれぐれも気を付けて行ってくれ。デジタルワールドでは何が起こるかわからないからな。」

「了解。」

「気を付けていきます。」

そういうと美月はデジヴァイスをかざしてデジタルゲートオープンと叫んだ。


続く。

ACT2-(9)

「…………ええっと。」
車の中で流司はコロナモンを膝に抱えていた。
彼の隣には目を輝かせる美月の姿があった。
「涼宮流司さんですよね、私ファンなんです。」
「この人、有名人なの?」
「俳優さんだよ、今人気沸騰中の。超売れっ子なんだ。」
「俳優?」
「テレビとか映画とか舞台に出て、演技で人を魅了する職業のことを言うの。」
「へぇ、そうなんだー。」
ルナモンに説明をする美月に流司は少し照れ臭そうになった。
「えっと、君は?」
「私、物吉美月って言います。」
「小学生だよな?今の時間だとまだ学校なんじゃ……。」
「あ、私不登校なんです。親が私立か市立の中学に行かせるかで喧嘩しちゃって
ストライキってことで、今、行っていないんです。」
「………ああ、そうなんだ。
懐かしいなぁ、俺も不登校をやっていたな。
私立か県立の高校に行かせるか行かせないかで親が喧嘩してさ。」
「そうなんですか!?」
「そうそう。後は推薦か一般のどっちかで高校を受けるかでも揉めてさ。
推薦の時期終わったから、慌てて一般に受けて何とかギリセーフで受かったことあるから。
………そっかぁ。俺と同じ理由で不登校やっているんだな、現在進行形で。
まあ、不登校自体が悪いわけじゃないさ。
不登校じゃないと得られないものもあるから。」
「…………そうですね。」
「………って話がずれるところだった。で、このデジヴァイスって何なんだ?」
「このデジヴァイスが出てきたってことは、オリンポス十二神族のパートナーに選ばれたってことなんだよ。
そして、ボク達と一緒に七大魔王を倒して欲しいの。」
「………オリンポス十二神族?七大魔王?何だそりゃ?」
首を傾げる流司に、美月はルナモンと出会った経緯を話し、事情を説明した。


「………マジか。」
「マジです。」

美月から話を聞いた流司はスケールの大きい話に口をあんぐりとしそうになった。

「デジタルワールドだけじゃなくて、人間界をも支配しようとしているのか。
それは大変だな。」
「はい。だから流司さんにも、協力をしてもらえると助かるんですけど……。」

「スケールがでかすぎるから突然すぎるけど、まあ選ばれた以上は責務を果たさないとな。
俺でよければ、力になるよ。」
「ありがとうございます、流司さん。」

「………で、オリンポス十二神族ってことは10人も選ばれている可能性があるってことですか?」

流司の問いに宮森はああ、と頷いた。
「………残る10人についてはこちらの方で捜索している。
君ら2人は七大魔王との戦いに備えて、準備をして欲しい。」


続く。

ACT2-(8)

「………じゃあ、お疲れ様でした。」
涼宮流司は同じ事務所に所属している俳優達に声をかけると、建物を後にした。
「………はぁ、退屈だなぁ………。
仕事をしている時はそうでもないけど、仕事がないとなぁ……。」
リュックサックを背負いながら、通りに出るとスマホが振動した。
「………何だ?」
スマホを上着のポケットから取り出すと、画面が勝手に光り輝きデジヴァイスが出てきた。
「……何じゃこりゃ。」
突然の出来事に流司は目がぽかん、となりそうになった。
「……これ、機械か?何でスマホから出てくるんだよ?」
デジヴァイスを上下に振ると、画面から光が出てきてある方向を指した。
「………何だ?こっちに行けっていうのか?」
首を傾げながらも、流司は光が指した方向に向かった。


ビルとビルの間にある路地裏に入ると、そこにはカラスにつつかれているデジモンの姿があった。
「……っておい、何してんだ!?」
その辺に転がっていた鉄製のパイプを持ち、流司はカラスを追い払うとデジモンに駆け寄った。
「………こいつ、何だ……獅子か?」
「………だぁれ……?」
「………ってうわ、喋った!?」
驚く流司をよそにデジモン………コロナモンは、指をさした。
「そのデジヴァイス………を…………。」
「デジヴァイスって………この変な機械のことか?」
コロナモンの言葉に、流司はデジヴァイスを手に触らせた。

…………すると。
デジヴァイスの画面から光が溢れ、コロナモンの傷ついた体はあっという間に綺麗になった。

「………へ、な、治った………?」

「やった……やったぁ、元気になった!ありがとう!
ねぇねぇ、君の名前は!?」

「お、俺か……?」

「うん、オレはコロナモン!君の名前、教えて!?」

「俺は流司。涼宮流司だ。」
「すずみやりゅうじ?」
「おう、りゅうじでいいよ………てか、お前何なんだ?」
「俺、デジモン!デジタルモンスター、略してデジモン!!」

「………な、何のことだかさっぱりわからん………。」

コロナモンをどうしようかと流司が考えていた時、1台の車が停まった。

「………あ、コロナモン!」

「ルナモン!?その声はルナモンか!?」

とてとて、と車から降りてきたルナモンはコロナモンに抱き着いた。

「わーい、コロナモンだ!久しぶり!!」
「ホントだ、夢じゃないよね!?」

「夢じゃないよ、現実だよ!」


キャッキャッと喜ぶ2体のデジモンをよそに流司は目が点になった。


「……いったい、どうなってんだ?」

「………涼宮流司君だね?」

運転手側の席から降りた宮森が流司に声をかけた。


「え、あ、はい………そうですけど……?」
「デジタル庁の宮森だ。
この後、時間はよろしいかね?」


続く。


ACT4-(3)

「これはこれは綿貫様。綿貫様もこちらに来ていたのですか?」
健三郎と別れた後、芳樹と満月はあっという間に招待客に囲まれた。

皆、にこにこと笑っているが内心では何を考えているかわからない。

「………あの、芳樹さん。私、お手洗いに行ってきますね。」
「僕もついていきますので、ご安心を。」
「ああ、よろしく頼むよ。」

満月は物吉を伴ってトイレに向かった。


「………何ていうか、疲れるね……こういうのって。」
「そうですね。」
2人仲良くトイレを済ませ、同時にため息をつく。

「姫宮のこと、女児が生まれないからって殿宮にした方がいいのにって馬鹿にしておいて
いざ私が生まれるとクルリと掌を返したんだから、芳樹さんの腹の中は黒いよ………。」
「あはは、確かに黒いですねえ。若旦那様はお嬢様のことを心配していますから。」
「……まあ、だからロリコンだとかどうとかって言われるんだけどね。」
「…………あの、姫宮さん。」
「………ああ、宮森さん。」
2人がトイレを後にしようとすると、春香が声をかけてきた。
「…………私、婚約なんてしたくない…………。」
そういうと春香は目に涙を浮かべ、泣き始めた。
「場所が場所だから、ちょっと変えましょうか。」
「うん。」
泣きじゃくる春香を連れて、満月と物吉はトイレを後にした。


春香は泣きじゃくりながらも、満月と物吉の2人を自室に案内した。

「………お父様、私を歴史ある名門の御曹司の元に嫁がせたいって考えているの。
お母様がご存命なら、お父様の決定に逆らうことができたんだけど、
………お母様、早くに亡くなられたから…………。」

「…………そうだったの。強固な血縁で結ばれることで宮森の基盤をもっと強くしたいのね。」
「………日の浅い家柄の人なら、特にやりそうなことですけどね。」
「…………せめて成人してからでも、遅くはないのにお父様生き急いでいるから………。」
「………わかった。私からも、成人してからでも婚約は遅くないと言ってみるわ。
だから、もう泣かないで。」
「…………ありがとう、姫宮さん。」
「どういたしまして。」



「…………ああ、満月ちゃん。遅かったね。」

春香を連れ、満月と物吉が庭園に戻ると芳樹の両隣には美人の女性がいた。

「まあ、この子が貴方の婚約者?」
「ええ、そうですよ。ですので、俺にアプローチするのは止めてくれないですか?」
「まだまだ子供って感じがするのだけれど………。」

「子供みたいにアプローチしてくる貴女方よりは大人っぽいと思いますがね。」
「………まあ!そんなんだから、ロリコンだとか言われるんですのよ!?」
「そう言われて結構です。」

女性の手を振りほどき、芳樹は満月の手を握った。

「まあ、そういうことですので諦めてください。
それとも、この場でおば様って呼びましょうか?」

クスクスと笑う満月に女性は顔を真っ赤にするとその場を後にした。
物吉はぱちぱちと拍手を贈った。

「さすがですね、お嬢様。」

「芳樹さんをロリコンって言うなんて、最低です。
世の中にはもっと歳の離れた人達が結婚したっていうケースもありますから。」
「そうだね。俺達はまだ可愛い方だよ?
………と、春香ちゃんも一緒だったのかい。」

「………あの、綿貫さん。」
「何だい?」
「姫宮さんとの婚約が決まった時、どう思ったんですか?」

「どうってそりゃ素直に嬉しいと思ったよ。
言っては悪いけど、婚約者がいないともう次から次へと見合い相手が出てくるからね。
鬱陶しいったらありゃしない。」
「………でもそれで姫宮さんの人生を縛ってしまったとかは……。」
「まあ、確かにそういうことを考えた時もあったよ。でも満月ちゃんは良い子だからね。
俺と出会えて、俺と婚約して、それでよかったって思ってくれた。」

「………はぁ………。」

「まあ正直な話をすると現代の光源氏みたいな感じかな。」
「そ、それで姫宮さんは良かったんですか………?」
「何ていうか、虎視眈々と玉の輿を狙う女性達を見ていると、
自分の理想の女性に育てた方が後々色々面倒ごとを考えなくていいかなぁ、って思ってたんですよねー?」
「まあね。」


「は、はぁ…………。」

「まあ、少なくとも俺達の場合はもっぱら特殊過ぎるからあんまり参考にしない方がいいよ。」


続く。

ACT2-(7)

クレセントハーケンでウォーグレイモンの攻撃を受け止めていたディアナモンの背後から、
ロゼモンがソーンウィップを使ってきた。
「加勢します、ディアナモン!」
「………ありがとう、ロゼモン。」
「ガイアフォース!!」
「アロー・オブ・アルテミス!!」
2つの技がぶつかり、相殺される。煙に紛れてロゼモンはウォーグレイモンの背後を取った。
「………ッく!!」
ウォーグレイモンは後ろに振り返り、ロゼモンに攻撃を仕掛けようとした。
「ソーンウィップ!!」
茨の鞭がウォーグレイモンを束縛し、動きを止めた。
「ディアナモン、今よ!」
「わかった………グッドナイトムーン!」
両足のグッドナイトシスターズを使い、ディアナモンはウォーグレイモンを睡眠へと誘った。
するとウォーグレイモンの体が光に包まれ、成長期であるアグモンに退化した。
「………何とかなった………。」
「だが、被害は甚大だな……究極体というのはこんなにも恐ろしいものなのか。」
「そうですね。味方になれば、心強いんですけど敵になると………。」
「………七大魔王となるともっと大変だな。」
「…………そうですね。」


美月がロゼモンをデジヴァイスに収容した後、宮森はデジタル庁に向かった。
医療センターなるところに連れていかれ、アグモンは検査を受けた。

「………ウィルスを検知しました。これより除去します。」

ぐっすりと眠っているアグモンをガラス越しに見ながら、美月はため息をついた。

「それにしても助かった………ロゼモンのソーンウィップがなかったら
動きを止めることはできなかったよ。」
「うん、そうだね。」
「ルナモン、怪我はしていない?」
「大丈夫だよー、美月心配してくれてありがとう。
デジヴァイスの機能があれば、何とかなるからね。」
「……………そっか。」
「………あのー、宮森さん。ちょっといいですか?」
デジタル庁の職員が宮森に声をかけた。
「どうした?」
「物吉さんの持っているデジヴァイスと同じものらしき反応がしたんですけど……。」
「……何だと?」
「………マジですか?」
「はい。それで反応を追ってみたらこの都市の中にいるみたいで………。」
「…………どうしましょう?」
「……七大魔王と接触する前に、こちらからコンタクトを取ろう。」
「…………ですね!」


続く。
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