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ACT6-(2)

芳樹と満月からチケットを貰った亜理紗はルンルン気分で
家に帰宅した。
「ただいまー!」
「あら、随分と御機嫌じゃない。何かいいことでもあった?」
「え?わかる?」
「そりゃわかるわよ。………あ、ひょっとして満月ちゃんにばったり会えたとか?」
「そうなのよ、会えたの!」
「…………え、冗談抜きで?」
母親の英美里は信じられない、という表情で娘を見た。
「冗談じゃないわよ。
満月ちゃん、熱中症でメイドカフェに駆け込んできたの。
病院に行くよりも私んところの店の方が近かったから。」
「そう。」
「お母さんの教えてくれた処置のおかげで、綿貫さんからお礼を言われたの。
………っていうか、ライブのチケット貰っちゃった。」
「あら、良かったじゃない!」
「しかも最前列なの。お母さんのおかげで助かった。ありがとう。」
「知っておいて損はなかったでしょ、熱中症対策は。
今年の夏は暑いからね。」
「お母さんの分もあるから一緒に行こうよ。」
「そうね。ここのところ気分転換できていないから、気晴らしに行きましょうか。」
「やった!ありがとう、お母さん!」
「…………でも、枚数多くない?」
「後は友達とでも、って言っていたけど…………。」
チケットを片手に亜理紗はうーん、と悩んだ。


そして、迎えたライブ当日。
「………ホントに私達でよかったの?」
「嬉しい、ライブのチケットをくれるなんて!!」
「………仕方がないじゃない、声をかけれそうな人間って言ったらあんた達しかいなかったんだから。」
「はいはい、気にかけてくれる子達にそんなこと言わないの。
ごめんなさいねぇ、この子、結構とっつきにくて。
家でじゃ、素直なんだけど。」
「あ、いえいえ。大丈夫ですー。」
「気にしてはいませんから。………その、私達で本当に良かったんですか?」
「いいのよ。他人に譲渡するよりも気の知れた相手の方が楽でいいもの。」
「…………あ。中井様、こんにちは。」
とてとて、と1人の女性が歩いてきた。
「………えっと、知り合い?」
「先日は物吉がお世話になりました。私は亀甲貞宗と申します。」
「ああ、もしかして同派の?」
「はい。言っておきますが、変態じみたことはしていないのでそれに関しては突っ込まないでくださると
ありがたいです。
何しろ風評被害というものがあってですね…………。」

怒りをあらわにする亀甲に英美里と亜理紗はあはは、と苦笑いした。
明美と直美は顔を見合わせてクスクスと笑う。
「えっとそれで、私達に何の御用ですか?」
「お嬢様が改めてお礼をしたい、と申していたのでライブ終了後にご案内いたしますので
その旨を伝えに。」
「あら、わざわざご丁寧に。そんな対したことしていませんのに。」
「そ、そうですよ、ただ応急処置しただけで………。」
「中井さん、中井さん。ここはご厚意に甘えましょ!」
「そうよ、満月ちゃんが律儀な性格をしているのは知っているでしょ?」
「そ、それはそうだけど…………。」
「では、ライブ終了後にお迎えにあがりますのでその時はよしなに。」
「は、はい!」
「わざわざご丁寧にどうもありがとうございました!」
「いえ、こちらこそお嬢様を助けていただきありがとうございました。
守り刀を代表して、お礼を厚く申し上げます。」
そういうと亀甲は一礼してその場を去って行った。

「………………亀甲さん、美人だねぇ………。」
「うん、変態じみているわけじゃないんだね………。」
「………そだね。風評被害もなかなか大変だねぇ………。」


続く。
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