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ACT1-(10)

「デジタルワールドに行ってみようか、美月。」
「それもそうね。オファニモンの様子も気になるし。」
そういうと美月はデジヴァイスをかざして、デジタルワールドへのゲートを開けた。
「それじゃあ、しゅっぱーつ!」


「……ああ、美月。ルナモン。」

デジタルワールドにあるはじまりの街に美月とルナモンが行くと、
ちょうどオファニモンが駆け寄ってきた。

オファニモンの足元には、幼年期のデジモン達がわらわらと集まっている。

「タマゴから生まれたの?うわぁ、可愛い!」

幼年期のデジモンを抱き上げた美月は頬ずりをした。

「何か変わったことはありましたか?」

「オメガモンが人間界に来たよ。」
「状態異常を起こしていたせいか、攻撃を仕掛けてきたの。」

「……!そうだったのですか。それで、どうしました?」

「デジヴァイスの中にいるよ。グッドナイトムーンで寝かせたから、
もう起きていると思うんだけど…………。
美月、デジヴァイスから出してみて。」
「わかった。………あ、念のために戦闘態勢取っといてね。」


美月はデジヴァイスをかざすと、オメガモンを中から出した。


「………………ここは、はじまりの街か…………。」


デジヴァイスから出てきたオメガモンの瞳は虚ろではなく、生気に溢れていた。

「…………ねぇ、デジモンに睡眠っていう機能あるの?」
「人間と変わりないと思うよ。……オメガモン、寝不足だったの?」

「………あなたは……ディアナモンか?」

「うん。今は退化してルナモンだよ。」
「初めまして。私は美月。ルナモンのパートナーをやっているよ。
………あの、言っておくけどここでの戦闘は厳禁ね。
オファニモンの鉄槌が飛ぶから。」

「………いや、良い。ここは不干渉地帯だから、戦う理由などない。
ここは始まりを司る神聖なる場所だ。」

「あー、良かった。それなら戦闘態勢取らなくてもいいや。
人間界での出来事、覚えている?」

「……ああ、覚えている。貴女に照準を当てたことも。すまないことをした。」

「いやいやいや、それは良いんだけど………何だ、ロイヤルナイツって好戦的な性格をしているかと
思っていたけど、そうでもなかったのね。ごめんなさい。
各々が信じる正義の元に行動をしているって聞いたから。」

「……まあ、確かにそうではあるな。否定はできない。正義と言う名の大量虐殺をしたこともある。」

「………あるんだ。でもまあ良いわ。
これまでのことよりもこれからのことを考えましょ。
オメガモン、どうして状態異常になったのか教えてくれる?」


「………それが私にもわからないのだ。」

「………えー、わかんないの!?」

「ロイヤルナイツなのに!?」

「………考えられるとしたら無意識のうちに何かを埋め込まれたとか?」

「何かって?」

「うーん、状態異常を起こすウィルスとか。」

「デジヴァイスでスキャンできるよー。」

「え、じゃあスキャンしてみようか。」


ルナモンの言葉に美月はデジヴァイスでオメガモンのデータをスキャンした。

「……あ、何か光の粒子みたいなのが残っている。」

「え?それ、取れる?デジヴァイスでできるけど。」

美月はデジヴァイスの光で、オメガモンに残っていた何かを取り出した。

「………何これ、光の粒子………?オファニモン、これわかる?」

「…これはウィルス種デジモンの残骸データですね。」

「じゃあ、これを打ち込まれて虚ろな目になったのかな?」
「………詳細はわかりませんが、2人の話を聞く限りだとそうとしか言いようが……。
でもなぜ、ロイヤルナイツであるオメガモンにこの残骸データが?」
「………オメガモン、ウィルス種のデジモンと戦ったことは?」
「覚えきれないほどの数を虐殺したことがある故、覚えていないが……。
わかるとすれば、その時に感染したのかもしれない。」

「………これに関してはもっとデータが欲しいわね。でないとワクチンプログラムも作れない。
………で、オメガモン。オメガモンはこれからどうするの?」

「…………私は貴女に救われた。で、あれば貴女の力になりたい。
そして自分にウィルス種デジモンの残骸データを打ち込んだ者が誰か、それを知りたい。」

「……戦力が集まるのはいいことだわ。でもユグドラシルのことはいいの?」
「構わんさ。ユグドラシルを守護するのがロイヤルナイツの役目であることには変わりないが、
デジタルワールドと現実世界を守るのも、また私の己が信じる正義だ。」
「………あぁ、そうなの。己が信じる正義を掲げるのは立派なことだわ。
……じゃあ、これからよろしくね、オメガモン。」
「こちらこそ、よろしく頼む。」

続く。

ACT4-(1)



梅雨入り宣言したものの、2週間という最短記録で梅雨明け宣言がされた桜庭市。

「………それにしても2週間って本当に最短記録だね。」

「………そうですね………。」

中間テストが終わり、期末テストに備えて勉強している満月はぐったりとした様子で芳樹の言葉に答えた。

「…………若旦那様。」

ウッドデッキで日光浴をしていた芳樹と満月のところに守り刀である一期一振が
紅茶(アイス)を持ってきた。

「宮森様より、パーティーの招待状が届いております。」

「………宮森から?」

「何かめでたい事でもありましたっけ。」
「………ああ、そういえば宮森の令嬢が16歳になったんだっけ。」
「さようでございます。
誕生日パーティーという名目ですが、婚約相手を探す場にされるのではないかと。」

「…………はぁ、大変ですね。令嬢ともなると。」
「身分違いの恋でもしていたらどうする?」

「それはもちろん、親子喧嘩に発展しそうですね。」

「一期、とりあえず出席に丸をつけておいてくれ。」
「かしこまりました。」

「となると、パーティードレスとかそういったものを用意しないといけないですね。」
「そうだね。………やれやれ、それにしても暑いな………。」



続く。

ACT1-(9)

道路にオメガモンを横たわらせてから、ディアナモンはルナモンに退化した。
「お疲れ様、ルナモン。」
「美月の指示のおかげだよ。………何か目が虚ろだった。」
「………デジヴァイスでも状態異常が出ているって警告が出たの。」
「そっかぁ………うん、まともじゃなかったもんね。」
「………で?どうするの?オメガモン、大きいから連れて帰ることできないよ。」
「大丈夫!デジヴァイスをかざして。」
「え?うん。」
ルナモンに言われた通り、デジヴァイスをオメガモンにかざすと、
オメガモンは光の粒子となってデジヴァイスの中に吸い込まれていった。
「これで大丈夫だよ。後はデジタルワールドで解放すればいいから。」
「………意外と便利なんだね、これ。とりあえず、ずらろうか。」
「何で?」
「警察にデジモンのことを説明するのが大変だから。」
遠くから聞こえてくるサイレンを耳にした美月はそういうとルナモンを抱きかかえて駅に向かった。





……結局のところ、美月が家に帰れたのは18時ギリギリになってからであった。
「……まぁ、こればかりは仕方ないさ。氷の粒が落ちてきたんだろ?」
風呂上がりの父親の言葉に美月はうん、と頷いた。
「でも無事でよかったよ。異常気象でも発生したのかねぇ……。」
「それについては専門家に押し付ければいいと思う。」
「………はは、それは言えてるかも。」
買い忘れたものがある、と言って出かけていった母親が不在なのを利用して美月は父親と話をした。
「………ところで美月。嫌なこと聞くけど、そろそろ学校に行ったらどうだい?
先生から連絡があって、心配していたよ。」
「そうしたいんだけど、やりたいことができたの。
だからまだ学校に行くのは当分先かな。」
「………やりたいこと?」
「………うん。熱中するようなことが見つかったの。今はまだ全部言えないけど、
だけど、私にとっていいことになるのは間違いないと思う。
時が来たら、ちゃんと話すから。」
「………そうかい。美月がそういうなら、信じて待つよ。」
「ありがとう、パパ。」

自室に戻った美月にベッドの上で寝転んでいたルナモンは、彼女に抱き着いた。

「お疲れ様、美月!……パパさんに怒られなかった?」
「大丈夫。ママと違ってパパは物分かりがいいから。」


そう言うと、美月はデジヴァイスを手に取った。

「………オメガモン、起きているかな?」
「もうそろそろ起きていてもいいはずなんだけど………。」



続く。

ACT1-(8)

マリンタワーの上部に立っていたのはロイヤルナイツの1体であるオメガモンだった。

だが、その目は何処か虚ろであった。

オメガモンはガルルキャノンの砲口を開けると、氷の粒を放った。

「…………あ、あれはオメガモン………!」

「……オメガモン?」
「ロイヤルナイツの1体だよ。」
氷の粒が地上に落ちていくなかを人々は必至に逃げ惑う。
その人混みをかきわけて、美月はマリンタワーに近づいた。
「………オメガモン、聞こえる!?」
美月はオメガモンに向かって叫んだが、何の反応もない。






ムンモンを抱きかかえた美月の姿を視界に入れたオメガモンはガルルキャノンの砲口を
彼女に向けた。
「え、嘘!?私を狙う気!?」
美月がそう叫んだのと同時に、デジヴァイスが光り輝いた。
ムンモンのデータが書き換えられて、ムンモンは成長期であるルナモンに進化した。
「………ムンモン?」
「今の僕はルナモンだよ!」
「あ、うん、そうなのね………。でも、大丈夫なの?戦える?」
「大丈夫、僕には美月がついているから!」
ルナモンがそう言うのと同時に、またもやデジヴァイスが光り輝いた。
「ルナモン、ワープ進化!!」
ルナモンは成熟期と完全体をスキップして、究極体であるディアナモンに進化した。

「美月、そこにいて。」

「わかった。ここにいるわ。」


美月の言葉に頷いたディアナモンは自身に飛んできたガルルキャノンの砲撃を紙一重でかわした。


「オメガモン!!」


ディアナモンの姿を認識したオメガモンはマリンタワーを飛ぶと、グレイソードを出した。


迫りくるグレイソードをクレセントハーケンで受け止めたディアナモンはそのまま押し通した。

オメガモンはガルルキャノンから、無数のミサイルを出した。


ミサイル攻撃をかわし、並外れた瞬発力でオメガモンに迫るディアナモンを
美月は必至に目で追いかけていた。


「は、早い…………。」

究極体同士の戦いを初めて見る美月は数秒ももたず、見ることを諦めた。


「………ええっと、デジヴァイスでオメガモンの情報を検索することは………。」


デジヴァイスをいじると、オメガモンの情報がリストアップされた。


「…………絶対零度の冷気弾を放つガルルキャノンと無敵の剣であるグレイソードが武器、か。
2体のデジモンが合体した姿なのね。
えっと、ディアナモンは………。」


美月はデジヴァイスを操作して、ディアナモンのデータを検出した。



「……両足のグッドナイトシスターズから、睡眠技を出せるんだ………。」

デジヴァイスでオメガモンの動きを捉えようとしていた美月は、
オメガモンの情報に警告が出ている事に気づいた。


「………え?警告?状態異常?」


ディアナモンと激しい攻防を繰り広げていたオメガモンは美月を視界に入れると、
ガルルキャノンを彼女に向けた。



「………ディアナモン、オメガモンに睡眠技を!!」

「わかったわ!!」


ディアナモンは素早い動きでオメガモンの前に移動すると、両足のグッドナイトシスターズの目を見開かせた。


「グッドナイトムーン!!」


溢れんばかりの月の光を受けたオメガモンの瞳が強制的に閉じられる。

ガクッと崩れ落ちるオメガモンの体を支えたディアナモンは美月のところに降りた。




続く。



ACT1-(7)


家を飛び出した美月は最寄り駅から電車に乗った。

「…………この時間、やっぱ混んでいるか………。」

駅前に到着し、人混みから解放された美月は高層ビルを見上げた。

「………幾らなんぼでも、いきなり人間界を攻撃するってことはないよね?」

「………どうなんだろう、わかんないよ。
ゲートは何処にでもあるから。」

「………え、嘘!?」

ムンモンの言葉に美月は不安げになった。

「ってことはロイヤルナイツとかも、自由に行き来できるんじゃ…………。」

美月がそう呟いた時、ちらほらと何かが降ってきた。


「………何?」

空から降ってきたのは、氷の粒だった。

「何だ、これ?」
「氷?」


スクランブル交差点を歩いている通行人達は足を止めると空を見上げた。

「……ムンモン、これって。」
「普通じゃないよ。美月、何処か高いところ行けれる?」

「えぇっと近くにマリンタワーがあるから、そこからなら。」
「じゃあ、そこまで連れてって。」

「わかったわ。」

そういうと、美月はムンモンをトートバッグから出した。

「出ても平気なの?」
「今時のぬいぐるみは喋る機能もついているから、不審に思われないわよ。」

ムンモンは美月に抱きかかえられて、マリンタワーに向かった。

マリンタワーに近づくにつれて、氷の粒は段々と大きくなっていく。

「…………氷系統の技を使えるデジモンの仕業?」
「だと思う。でもどうして、こんな人の多いところで………。」


「……ねぇ、ムンモン。あそこ!」

美月が指差した先には1体のデジモンがマリンタワーのガラス張りの窓の上に立っていた。



続く。
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