「デジタルワールドに行ってみようか、美月。」
「それもそうね。オファニモンの様子も気になるし。」
そういうと美月はデジヴァイスをかざして、デジタルワールドへのゲートを開けた。
「それじゃあ、しゅっぱーつ!」
「……ああ、美月。ルナモン。」
デジタルワールドにあるはじまりの街に美月とルナモンが行くと、
ちょうどオファニモンが駆け寄ってきた。
オファニモンの足元には、幼年期のデジモン達がわらわらと集まっている。
「タマゴから生まれたの?うわぁ、可愛い!」
幼年期のデジモンを抱き上げた美月は頬ずりをした。
「何か変わったことはありましたか?」
「オメガモンが人間界に来たよ。」
「状態異常を起こしていたせいか、攻撃を仕掛けてきたの。」
「……!そうだったのですか。それで、どうしました?」
「デジヴァイスの中にいるよ。グッドナイトムーンで寝かせたから、
もう起きていると思うんだけど…………。
美月、デジヴァイスから出してみて。」
「わかった。………あ、念のために戦闘態勢取っといてね。」
美月はデジヴァイスをかざすと、オメガモンを中から出した。
「………………ここは、はじまりの街か…………。」
デジヴァイスから出てきたオメガモンの瞳は虚ろではなく、生気に溢れていた。
「…………ねぇ、デジモンに睡眠っていう機能あるの?」
「人間と変わりないと思うよ。……オメガモン、寝不足だったの?」
「………あなたは……ディアナモンか?」
「うん。今は退化してルナモンだよ。」
「初めまして。私は美月。ルナモンのパートナーをやっているよ。
………あの、言っておくけどここでの戦闘は厳禁ね。
オファニモンの鉄槌が飛ぶから。」
「………いや、良い。ここは不干渉地帯だから、戦う理由などない。
ここは始まりを司る神聖なる場所だ。」
「あー、良かった。それなら戦闘態勢取らなくてもいいや。
人間界での出来事、覚えている?」
「……ああ、覚えている。貴女に照準を当てたことも。すまないことをした。」
「いやいやいや、それは良いんだけど………何だ、ロイヤルナイツって好戦的な性格をしているかと
思っていたけど、そうでもなかったのね。ごめんなさい。
各々が信じる正義の元に行動をしているって聞いたから。」
「……まあ、確かにそうではあるな。否定はできない。正義と言う名の大量虐殺をしたこともある。」
「………あるんだ。でもまあ良いわ。
これまでのことよりもこれからのことを考えましょ。
オメガモン、どうして状態異常になったのか教えてくれる?」
「………それが私にもわからないのだ。」
「………えー、わかんないの!?」
「ロイヤルナイツなのに!?」
「………考えられるとしたら無意識のうちに何かを埋め込まれたとか?」
「何かって?」
「うーん、状態異常を起こすウィルスとか。」
「デジヴァイスでスキャンできるよー。」
「え、じゃあスキャンしてみようか。」
ルナモンの言葉に美月はデジヴァイスでオメガモンのデータをスキャンした。
「……あ、何か光の粒子みたいなのが残っている。」
「え?それ、取れる?デジヴァイスでできるけど。」
美月はデジヴァイスの光で、オメガモンに残っていた何かを取り出した。
「………何これ、光の粒子………?オファニモン、これわかる?」
「…これはウィルス種デジモンの残骸データですね。」
「じゃあ、これを打ち込まれて虚ろな目になったのかな?」
「………詳細はわかりませんが、2人の話を聞く限りだとそうとしか言いようが……。
でもなぜ、ロイヤルナイツであるオメガモンにこの残骸データが?」
「………オメガモン、ウィルス種のデジモンと戦ったことは?」
「覚えきれないほどの数を虐殺したことがある故、覚えていないが……。
わかるとすれば、その時に感染したのかもしれない。」
「………これに関してはもっとデータが欲しいわね。でないとワクチンプログラムも作れない。
………で、オメガモン。オメガモンはこれからどうするの?」
「…………私は貴女に救われた。で、あれば貴女の力になりたい。
そして自分にウィルス種デジモンの残骸データを打ち込んだ者が誰か、それを知りたい。」
「……戦力が集まるのはいいことだわ。でもユグドラシルのことはいいの?」
「構わんさ。ユグドラシルを守護するのがロイヤルナイツの役目であることには変わりないが、
デジタルワールドと現実世界を守るのも、また私の己が信じる正義だ。」
「………あぁ、そうなの。己が信じる正義を掲げるのは立派なことだわ。
……じゃあ、これからよろしくね、オメガモン。」
「こちらこそ、よろしく頼む。」
続く。