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no more

去年、実家が無くなった

やっぱり親が引っ越すことになったので、これまでの人生の中で一番長く居た場所が無くなった
多少の喪失感はある
でも退路を断ち切れたような有り難さもある

それに伴って実家に置いてきた自分のものを色々と整理した
そうしたら、たくさんのことを思い出した
思い出したく無いことだと思っていた時代は、案外嫌な思い出ばかりじゃ無くて、ちゃんと楽しかったこともあったということを思い出した
それは全部、捨てようと思っていたものたちが思い出させてくれたことだった


むかしは全部捨てたかった
ノスタルジックやセンチメンタルなんかに浸りたくなかった
思い出を懐かしむことになんの意味があるのか
そう思わずにはいられないことは変わらないけれど、当時の衝動で捨てていなくて良かったと思う



そのことにも後押しされて、10年振りの友達に連絡を取った

自分から連絡を絶ったくせに今までずっと後悔して、いやこれで良かったと肯定して、でも仕切れなくて、自分勝手にも夢に出てくるくらい苦しくて

それなのに、いざ連絡してみればあっけないものだった
あまりのあっけなさにこの10年はなんだったのかと思わなくもない
それでも、自分勝手は承知の上だけれど、私には必要な時間だった
と思う

会ったら会ったで当時のまま接してくれて、
相手にそんなつもりはなかったかもしれないけれど、怒ってくれたからちゃんと謝ることができたし、嫌いで連絡しなかったわけでは無いということも伝えられたし、なんというかもう胸がいっぱいでどうにかなりそうだった


昔も今も感謝しかない
人に恵まれ過ぎている
それに対して、自分は相変わらず何かして貰うばかりで申し訳がない気持ちもそのまま
だけど今度は逃げずに、自分も何か返せていけたらと思う





重い
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