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それでも僕は、(ラビュ/SQ微ネタバレ)



君を選ぶ。

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たまに、ユウが小さく見える時がある。静かな夜、月の無い日、暗闇を見つめて動かない。そうして、ポツリと何かを呟いて俯く。いつもその言葉は聞こえない。聞きたくない。切ない表情の理由なんて、何一つ。



「ユウ、外は冷えるさ」
「あぁ…今行く」



振り返らない背中はいつだって真っ直ぐで、無意識に大丈夫だ、なんて思っていた。そんな訳、ある筈も無いのに。
ゆっくり近付いて来る体を、腕を伸ばして強引に抱き寄せる。首筋にかかる吐息の温もりに縋っているのは、多分ずっと前からオレの方だった。



「ラビ、」
「ん、何?」



抱き締めた体は離さない。今はユウの瞳を見つめる自信が無いから。弱々しい光に濡れる瞳の理由を、オレは知っているから逃げるんだ。



「俺は誰だ?」
「ユウはユウだよ。オレが初めて心から愛した人さ」
「本当に?」
「オレは全部知っている、その上で言うんさ。間違いないよ」



不安に震える細い体を、より強い力で抱き締めることで落ち着かせようとする。投げ出された両腕が背中に回る。縋りつくようなその仕草に、喉の奥がツンと痛くなった。



「今この腕の中にいるのは、オレが好きなのは」



ユウが痛みを背負って生きた時間を表す長い髪を、あやすように梳く。サラサラ零れてくそれのように、ユウが居なくなってしまわないように願いを込めて。
教団の裏の歴史なんて関係ない。今、目の前にある全てが事実で、必要な答えだ。それ以外の真実なんて知りたくなかった。



「神田ユウだよ。世界でたった一人、ユウだけなんさ……お願い、信じて…っ」



堪えきれない切なさが溢れて、確かな温もりを宿す肌を濡らしていく。いつも最後に泣くのはオレなんだ。救いを求める体を抱き締めて、その温もりに希望を探してる。こんなんじゃ駄目なのに。



「…さんきゅ」



くそったれな神様、お願いです。もう何が嘘でも良いから、ユウだけは嘘にしないで下さい。この想いを無かったことにしないで。



「"俺"もお前だけだよ、ラビ」



この言葉の意味なんて知らなければ、もっと簡単に君を愛せただろうか?



end


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ラビならブックマン候補として、教団のそういう裏を知ってそう、という妄想より。

シリアス書きやす過ぎる。

ネタめもめも。



最近、ネタが思い浮かんでくるので、忘れないようにめもめも。
カプ未定だったり、固定だったり、思い浮かんだワンシーンをば。

あ、あと。
いまさらながらに年末年始の日記をその日付で書きました。
良かったら覗いてみてください。


以下ネタめも。


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カルマの坂パロ(カプ未定)


これで、本当に最後の一振りだ。俺はこれから先、二度と何のためにも剣を振らない。こんな、誰も守れない、救えない、痛くて重くて無力な剣なんて。
俺は血に濡れた重たい剣を高く振り上げた。振り下ろす先には、名前も何も知らない、でも惹かれてしまった綺麗な彼。
彼は暗く濁った瞳で、俺と振りかざした剣を見上げて、そしてその切っ先が彼の命を散らすその瞬間、


『ありがとう』


と、壊された魂のままに俺に微笑んだ。


++++

日一学パロ


そこにあったのは、あの日2人で見た夕焼けに染まった街並み。いつもは、いくつも色を使う彼が、初めて一色に近い色で描いた絵。


『違う。印象に残る程、強い色が無いだけだ』


いつか彼が言った、いくつも色を使って描く理由を思い出して、目の前のオレンジ色を見つめた。ついでに、この日の『お前の色だな』と笑った彼も。

なぁ、自惚れて良いのか。オレンジ色(俺)が深くお前の心に残ったんだと。

(真下のタイトルは『愛しのあなたに捧ぐ』)


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このあと一護に、『お前の言葉で聞きたい』と言わせたい。


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以下箇条書き。

・アレ神で鏡or硝子越しのキス(パロ)
・本誌の内容拾ったラビュ
・ポケモンのシゲサト


とかいろいろ書きたい。
でもそれより先に、企画を終わらせよう、そうしよう。

月に焦がれる流星(脱色/一日前提、日+織)



※『太陽に恋する星』の続き




あなたが幸せなら、それで。

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ちょっとした神様の悪戯で、学校の屋上で彼と2人っきりになった。置き去りにされたみんなのお弁当と、私たち。遠くから、みんなの騒ぐ声。



(やっぱり、綺麗だなぁ…)



太陽の光でキラキラ眩しい銀色に、意志の強そうな翡翠の瞳。小柄な躯から溢れる、圧倒的な存在感。『彼』が惹かれた、人。



「俺の顔に何かついてるか?」
「えっ、ううん!」



苦笑いの顔は、私の好きな『彼』によく似ていて、何だかすごく、泣きたくなった。初めて恋しいと想った、『彼』と同じ。



「何故、泣く」
「ごめ…ごめん、なさい」
「別に、謝らなくても良いけどな」



涙で歪んだ視界の端から、綺麗に折り畳まれたハンカチが目に入った。それが目の前の彼から差し出されたものだと気付くのに、少しだけ時間がかかった。



「ありがとう…冬獅郎君」
「どういたしまして」



渡されたハンカチで溢れる涙を拭っていると、小さく、本当に小さくごめんな、と聞こえた。



(嗚呼、やっぱり気がついてたんだ…)



いつからかは分からない。けれど確かに私は、目の前の彼を見つめていた。嫉妬の篭もった視線で。『彼』に選ばれた、彼を。



「私、黒崎君のこと好きだよ」
「嗚呼、知ってる」
「何回生まれ変わっても、また好きになるぐらい」
「…嗚呼」
「本当は、冬獅郎君のこと、許したくない…よ」



醜い醜い、私。
でも、それぐらい『彼』が好きで、仕方ないの。どうして、彼なの。もう死んでる人なのに。住む世界だって違うのに。同じ時間を、生きること、出来ないのに。
私は同じ世界に居るのに。生きて、居るのに。



「でも、でもね…」



彼と出会ってから、『彼』はずっとずっと素敵になった。朽木さんと出会ったあの時より、ずっと。強くなったし、優しくもなった。だから、好きになる速度を止められなかった。



「黒崎君を幸せにしてくれる、冬獅郎君も、好きなのっ!」



それぐらい『彼』を変えた人を、私は嫌いにはなれない。こんなに恋しいと想える人が、同じぐらいに恋しいと想う人を、どうして嫌いになれるの?気付きたくないけれど、『彼』を幸せに出来るのは、目の前の彼だけなのに。



「……ありがとう、井上…」



小さく、けれどはっきりと、聞こえた台詞の後に、私よりも小さな手が、頭を撫でた。たった一回、それだけで、どうしてかまた、涙が溢れてきた。
遠かったみんなの声が、近付いて来る。その中に私たちが恋をする、『彼』の声もする。早く、涙を止めなくちゃ。



「お前は、強いな…」



そして静かに立った彼を追って、空に向けた瞳に、寂しく笑う、彼が見えた。私はその表情の理由を知っていて、だからこそ涙が止められなくなった。



(どうか、どうか)



きっと彼は、誰よりも自分を認められないのだ。『彼』を幸せに出来るのは、彼しか居ないのに。きっと、後ろめたくて、迷ってる。私が思ってたことを、彼は分かっているから。相容れない、二人だったと。



「でも…俺は弱いから、彼奴の手を離せないんだ」



悲しいぐらいに、愛しさに溢れた表情。見えない翡翠の瞳は、天に輝く太陽を見つめていた。
ガチャリ、と屋上に続く扉が開く。一気に騒がしくなる屋上。声を掛けられる前にもう一度、涙を拭った。泣きはらした目は、誤魔化せないだろうけど。



「お帰りなさい、黒崎君。みんなも」



願わくば、私の焦がれた太陽と月が、これから先も輝いていますように。
私はもう、それだけで。私は救われると、信じているから。


end


叶わない想いならせめて
あなたの幸せを願わせて

太陽に恋する星(脱色/一日前提、一←織)



それでもあなたが好きだから。

++++


始めは、こんなにあなたを好きになるなんて思わなかった。あなたが気になったきっかけは、理由にするには凡そ似つかわしくなくて。



(なのに、)



今では、こんなにも苦しいぐらいあなたが好き、なんて。何度生まれ変わっても、あなたを好きになる。それぐらい好きになるなんて。



『黒崎君の、名前の由来って何?』



聞き取り方によっては、馬鹿にされてしまうだろう名前。漢字を見れば、何て素敵な名前だろうか、と思うけれど。



『大切な一人を護れるように、って意味なんだ』



少しだけ照れくさそうに、でもずっとずっと、誇らしそうに。はにかんで言ったあなたを、今でも覚えてる。



(出来れば、あなたの、その一人になりたかった)



気付いた時には、あなたの視線の先に彼がいて。あなたの隣に彼が居て。嗚呼、あなたの一人にはもうなれないのだと、泣いたことをあなたは知らないでしょう?



「一、護」
「ん?俺のこと呼んだか?」



何気ない日常の1コマ。見慣れたメンバーに、見惚れる程眩しい橙色。振り返ったブラウンの瞳に、込み上げる愛しさと悲しみを押し隠して、笑う。



「ううん。素敵な名前だなぁ、って思っただけ」
「おう、さんきゅ」



そうしてまた、談笑の輪の中に戻るあなたはまだ、気付かないでいて。
思わず呟いた名前に込められた、切ないぐらいの私の気持ちなんて。



end


あなたの一人じゃなくても、あなたを想うことを赦してね

あの雨をあなただと信じて、僕は今日も愛されて生きる(エイジ/縁→彩花)



※エイジ微ネタバレ有り?



ただただ、ありがとう。

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控えめなノック音が、静かな部屋に響く。返事をするより早く、扉が開かれた。開けられた扉の向こうに、この十年で見慣れた面々。一様に真剣な表情をしている。その中から、蜜歌と電脳の双子が飛び出して来た。



「彩花!」



薄く涙の膜を張り、優しく手を握られる。三人に続くように、廊下に立ったままだった面々も駆け寄って来る。勢い良く抱き付いて来たのはかがりだった。



「どうしたんです?みんなして」
「だって…、あの子が!」



抱きつかれて、手を握られて、叫ぶような声に思い出したのは、大切な人の切ない笑顔と、優しい言葉。チクり、胸を刺す痛み。目の前で消え行く彼と同じ顔で僕を拒絶した人。手を伸ばせば届く距離なのに、心は二度と届かない場所へ行ってしまった。



「大丈夫、ですよ…」



二度と失いたくなかったのに、また喪ってしまった。何故、いっしょに逝けなかったのかと、連れ戻されてからずっと考えていた。離れるぐらいなら、独りになるぐらいなら、道連れにして欲しかった。



「ねぇ、彩花。私たちあなたに言いたい事があって来たの」
「言いたい事?」
「そう、僕らの気持ちを」



かがりと蜜歌が、分担して言う。右手と右肩に触れる電脳の双子も肯定するように、手に力を込めた。他のメンバーも同じようで、少し緊張して次の言葉を待つ。



「僕らはね彩花、君のことが大好きで、とっても大切だよ」



左手を握る蜜歌の綺麗な声に、部屋中の雰囲気も優しくなった。見開いた瞳には、微笑む仲間達。右側からまた、優しい声がした。



「正直最初は、あまり好きじゃ無かった」
「上辺の笑顔とか」
「頑なな態度も」
「でもね、十年もいっしょに居るのよ?」



そっとかがりが、体を離す。そのすぐ後ろにはかがりで見えなかった、いさりが居た。幼い子にするように、頭を撫でられる。自分のより少し大きな掌。かがりと目を合わせて、同時にこちらに微笑んだ。



「君は、誰よりもパートナーを大切にしているって分かったんだ」
「そして、独りが誰より嫌いだってことも」



正面と右側からの優しい声と、体中を包むようなかがりや蜜歌や電脳の体温。ずっと気付けなかった。彼以外の体温も、こんなに温かいってこと。



「蜜歌は、僕を恨んでいないんですか?僕は真音を…」
「恨んでない、って言ったら、たぶん嘘になる、かな?」



綺麗な声。僕が封じ込めてしまった、蜜歌の本当の声。少しだけ困ったように笑って、左手を握る力を強めた。



「でも、あれは真音の言い方も悪かったし、何よりも真音にそういう言い方をさせた、僕の態度も悪かったんだ」

「パートナーを放って、そのパートナーの寂しさに気付けなかった、僕も悪いんだよ」



蜜歌の言葉が終わった途端、離していた体をまたかがりが抱き締めてきた。その上からいさりが、僕をかがりごと抱き締める。左から蜜歌が、右から電脳の子たちが、そして、そんな僕らを他の仲間が見つめている。示し合わせたように、みんなの言葉が重なった。



『大好きだよ、彩花』



それは、奇しくも消えてしまった彼の最後の言葉でもあって、僕はただ溢れる感情のままに涙を流した。



「あなたのパートナーは、あの子以外居ないわ」
「どれだけ代わりになりたいと望んでも、僕のパートナーは真音で、彩花のパートナーは雨丸一人だけ」
「誰もあの子にはなれない」
「それでも、」
「君の傍に居て、君を独りにしないことなら、僕らにだって出来るんだ」
「想いを返して、なんて言わない」
「あなたはこれから先も、あの子だけを愛していて良いから、」

「愛されることを、拒んだりしないで」



降り始めた雨音に重なるように、みんなの言葉が響く。降り注ぐ雨のように、想いが乾いた心に染み渡る。ねぇ、許されるなら、あなたの隣に還るその時まで、この温もりに手を伸ばしても良いですか。



『俺は、どんな彩花も大好きだよ』



聞こえるはずの無い、あなたの声が雨音に紛れて聞こえて、誰も居ない背中から、抱き締める温もりを感じて、涙が止まらなかった。


end



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私は彩花がとっても好きです。
彩花は幸せにならなくちゃいけないんです!
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