スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

こちらにも!

別館でも書きましたが、拍手ありがとうございました!!!!
励みになりますv
凄く嬉しいですvV
みんな大好きだぁぁぁっ!
↑…うわぁ、迷惑。

さて、そろそろ寝ないとね。
今日は戦いなのだから!!
ドラスト二軒はしごしてアウトバストリートメントと日焼け止め購入!!
それから明日の仕事の用意だぜ☆
桜も見に行かなきゃv
楽しみ〜vV

そんじゃ寝ますにょ!!
明日も頑張るぞ☆

深い水の底

優しい思い出。

愛しい過去たち。

暖かな温もり。

確かに在った大切な気持ち。

全部、全部。

宝箱に詰め込むの。

愛しげに微笑んで、一つずつ、入れていく。

空に散らばってしまった星をかき集めた。

水に流れた果実を拾い集めた。

燃え盛る炎の中から溶けた鉄屑を取り出した。

バラバラになった大切なそれは、沢山の時間をかけて、沢山の暖かい心を受けた私が、全部一人で取り戻した。

それだけは、私の仕事だったから。

それだけは、他の誰にもできなかったから。

落ち込んで、もう止めてしまいたいと嘆いたとき、いつも誰かが励ましてくれた。

だから私は今、漸く取り戻したんだ。

沢山零れ落ちたそれを。

でもそれは、今の私には必要ないもの。

何度もしまっては開けてしまう私の弱い心は、悲しいほどまたそれを零れ落とすから―――………。

その度に泣いてしまうから。

だからね、私はその大切なものを返してあげる。

一番必要とされたその時間に、返してあげるの。

今の私には不要のもの。

それにどれだけ縋っても、もう私の心は救われない。

ただ傷つけてしまうだけ。

それが大切であればあるほど、傷つくだけ。

既に形を変えてそこに在るそれを無視して、私はそれに縋り続ける。

そんな弱い自分が嫌いだけれど、今は愛せるから。

だから、今は。

そのか弱い心に応えるために、痛みを、重みを、少しでも―――…。

大切にしていても零れ落ちたそれ。

大切にしていたから傷ついたそれ。

けれど、私は微笑む。

優しくそれをとり、宝箱に詰め込むの。

世界で一番柔らかくて儚いそれを、誰にも見えない箱に入れる。

禁忌のように―――……それに入れるの。

そして私は佇む。

湖の畔で。

見つめる先には暗闇の深淵。

深い深い水の底。

私はしゃがみ込み、そっとその手を―――離した。

ゆっくりと、ゆっくりと、箱は沈んでいく。

いつも煮えくり返ったその水は、漸くおさまり、今は静かだった。

まだ少し、濁っているけれど、穏やかだった。

ゆっくりと姿を消していく箱を、ずっと見つめていた。

そして――…一粒の雫をこぼした。

「ありがとう」

私は呟いて元の道に帰る。

決して振り返らずに、歩き出す。

箱が還る場所…それは。

一番私が戦い続けた戦火の時代。

決して膝をつかなかった、あの時代。

一番強くて…一番悲しかったあの時代。

そう、あの時代に、返してあげる。

ねえ?

あなたは何のために戦った?

私は―――…今を後悔しないために戦ったよ。

結局私は後悔したけれど。

やらないで後悔するより、やって後悔したかったから。

何度繰り返しても、あの時は、後悔する道しか残っていなかったと思う。

でも。

今は好きな道を選べられる。

ありがとう。

ありがとう。

だから私は返すよ。

一番必要とされた、その時代に。

私の一番の宝だから。

今の私には勿体無いから。

キラキラ光る星のような、甘い芳香を漂わせる果実のような、そして―――…灼熱の怒りを表すような鉄屑のような、そんな宝を。

あなたに返す。

今は静かに穏やかな水の流れが私を包む。

きっともう、大輪の花は咲かないでしょう。

けれど確かに確実に。

そこに在ったのだと。

思い出すために。

私はそれを捨てることなく封印する。

いつかまたそれが必要なときまで、大切に………しまっておくから―――。

それまで。

さよなら。
prev next