通りすぎていくのが

楽しいのかな

わたしはそれを

楽しいとは思ってないよ

だからきみのくちびるの

記憶にのこるキスをしたい

生まれつきおぼえてた

生まれつき知っていた

キスのしかたをきみに

教えてあげるね

と言って




ぼくも勉強しておくねと言うから

じゃあわたしも勉強してくるねって

言ったらすぐに

やめてって言ってくるきみの

早口になったこえが

かわいかったよ




あんなのだれにも

教えたくないって

思ったほうが負け

楽しそうに笑っている

くらいの余裕が欲しいよね

余裕がないのがたのしそうで

かわいかったきみ

そんなきみの傍にいながら

ねむたそうな目と声が

とくにすきだなぁと

思っていたわたし



きらいなところは

なかったかな

なかったよ

だって

ぜんぶかわいかったもの

ぜんぶ

ぜんぶ

愛おしかった

愛おしくて

苦しかった

なんて

言わない






たいせつなことでも

覚えてないって

わたしが何度

言ったって

覚えてないの?って

ちゃんとこまかく

教えてくれるきみが

やさしくって

ぜんぶちゃんと

覚えてくれてるんだって

うれしかった

だからわざと

いつも忘れたふりをしたこと