ほしのよるねがいこめて

ふいにスマホがぴろんと鳴った

きみからだった



ウェブカタログのURL付きメッセージ

「会社で1万くらいのチケット貰ったから
なんか頼もか」って


突然でびっくりして
え、これなに?って返したけど

ひらいてみると
おいしそうなご馳走がたくさん並んでた

これを一緒に食べようってことなのかな
わたしに送ってくるってことは





仲のいい友達とか可愛いことか
ほかにもたくさんいるだろうに
なんで?って思ったけど

他の誰でもなく
わたしと使おうって思ってくれたことが

うれしくて

おこがましいと思いつつも
じわじわあったかい気持ちになった



「えらんどいて、もうどれでもいいや」
って笑ってる君は

ほんとにどれでもいいのか
わたしに選ばせてくれたのかは
わからないけど

普段、あんなに真顔で不器用なのに
来月もまた会えた瞬間
にこにこしてほっぺた触ってくるんだろうなって思ったら

はやく、はやく
会いたいなぁって

こどもみたいに
きみとの約束を大切に抱えている
わたしがいる




そんな
高級なご馳走なんて
正直どうでもよくて

それをわたしと食べようって思ってくれたことが
ぶっきらぼうに連絡してきたことが
なにより嬉しかった




約束とかお願いは
いつもちゃんと全部守ってくれるところも

大切そうにだきしめてくれるのも

しっかり目をみてくれるのも

それはぜんぶわたしの大好きな
愛情表現なんだよなぁって

馬鹿みたいに

うれしくて、それからちょっとだけ
苦しくなるんだよ





すきってなんだろう

わたしのすきって

きみのすきってどれなの



そんなもの
存在しないの?







君のことは傷つけない
その人生を壊したりしない

いつも味方でいたいだけ
大切にしたいと思うだけ
会いたいと思うだけ
笑ってほしいだけ
安心してほしいだけ

それらをまとめたら
一体なんていう種類の
感情になるのかな


いつかきみと

そんな話ができるときがくるのかな

やっぱりこないかな



わたしときみのお話は

いつどうやって終わっていくのか



それはいまはわからないし

終わりなんて

来ないでほしいよ









生きるなら綺麗なことばかり

言ってられないけど

それはわかっているけど

もうすこし綺麗であってほしいよ




会いたくないってはっきり言ったら

付き合ってないのに

好きな人ができたの?って聞かれて

え?ってなった



そもそもあなた

わたしのこと好きなんですかとたずねたら

いろんな理由を並べて

付き合ってとは言えないけど好きだよ

って言われて

きもって思った




あなたの好きは不思議ですねって返したら

不思議かなって言われたから

あなたの家も不思議ですよねって返した




押し入れになんかいるねと

前に話したことがあって

おばけかって聞くから

ちがうって首をふって

え、生き霊?って聞くから

真顔で黙った





連れ込んだ女が

何十人いるんだろう



びびってたけど

自分で連れ込んだのに

自業自得なのに

引っ越してもついてくるのに

気をつけてくださいねとしか

わたしからは言えないよ



女のひとの髪の毛をさわるお仕事って

こわいですね



髪の毛には念が宿るって

いいませんか?



ゲームしたり

コンビニ弁当を食べたり

日替わり月替りで

女を取り替えたりな

薄っぺら人生を

存分に謳歌したらいいとおもう


そんなかっこいい

意味のある人生を

すきなだけ楽しんだらいいとおもう



どうぞご自由に












バスが来るまでのおまけみたいな時間

すぐに既読がついて

ほっとした



100キロ向こうにいる君を呼んでも

いみがないのに



無事助かって

落ち着いて

それから

明日、すぐに

防犯ブザーを買いに行ってきてって言われた



君らしいなと思った

ほんとに

かっこつけないね




変に嘘ついたり

優しいふりをしないのは

相手が依存しないですむ




そもそも面倒だから

依存なんてされたくないんだろうけど

それはお互いにとっての

好都合なんだと思った



だけどちゃんとした提案をくれるところ

結局は優しいところ

それって人間として

いちばん信用できたりする



そしてそんな君にわたし

結局依存しちゃってるのでは?










来月の末をもって

離婚から1年を迎えるわたしは

いいかげん

あらゆることへの危機感を持って

生きなくてはいけない



なにを

探しているか

それは最初からとても明確なのに

なかなか見つからなくて




自分が小さすぎたころ

こだわりが強くないふりを

していたのがそもそも間違ってたかな



ひとりで生きていくのも

悪くはないけど

ほんとは寂しがりだから

くそみたいな男のひとの手に

髪を撫でられたって

その手が優しかったら

泣きそうになるんだね



くそみたいな男のひとも

ほんとはただの優しいひとなんだろうか




よのなかがすべて

もっと単純でハッピーならいいのに

そしたら誰も

かなしくて泣いたり

しなくて済むのに



だけどあのひとのことは当然

やっぱり好きになれないよ

知らない女の化粧ポーチを

隠しているつもりのあの部屋は

居るだけで吐き気がするよ




もしも君が寂しい時は

こんなわたしが

裏表のない愛情だけをのせて

君がねむりにつくまで

頭なでているからね



来月なんてすぐなの

会いたいけど

どこで最後にしようね



















あの子の知らない君だけをみていたい

10がつに会う日取りがきまってしまった

やっぱり会うんだ

やっぱり会いに行くんだ

やっぱり会いたいんだ、わたし

きみは?

きみはわたしに会いに来て欲しいですか





何時に来るんって聞かれたから

夕方くらいかなって答えたら

意外と遅いねんなって言うのが

はやくおいでって風に聞こえて

じゃあお昼くらいに

いつものところにむかえにきてって言った

それから

あのパン屋さんにいこうよって言ったら

またかよって笑ってた




なんでこんなに全部

可愛くて愛おしいんだろう

おかしいよね






来月が遠くて苦しいなんて

みじんも思わない

ただたのしみで会いたくて

それまでに1ミリでも

可愛くなっておきたいとか

だけど結局可愛くなれなくて

かなしくなるとか

まるで乙女心みたいだ




きみが会いに来るとき

美容室に寄ってからだったり

全身黒でかためてたりするのだったり

身なりを気にしてくれるところ

おんなじだなって思って

うれしくなる

いとおしくなる

だきしめたくなる




まるはだかのきみも

寝起きのきみも

全部まるごと大好きなんだけど

わたしは

きみに一度も言ったことない好きを

ここでだけたくさん言うよ

言いたいけど言えないから

もう会わないって

決めることができたら

伝えるかもしれない








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