日帰り旅行は
ほんとに楽しかった
行きたかったところ
全部連れて行ってくれた
帰ったらお互い用事をすませて
2時間後くらいにまた集合した
最後だって言った行きしなの話は
それから何もしなかった
最後って君が言ってから
はじめてわたしたちの空気が
どこか噛み合わなくなったこと
わかりやすくて
おかしかった
君が言ったのに
君まで苦しくなるのも
おかしかった
同じ空間で一緒にいるけど
君が大事な用で
電話をしなくちゃいけなくて
わたしはずっとそばにいたら
小声で
ちょっと出て行ってもらってもいい?
って
申し訳なさそうに君が言った
内容は知っていたから
あ、そうだよなって
きづいてあげられなかったなって
こっちが申し訳なくなって
だけどこの家はせまくて
部屋はひとつしかないから
部屋を、じゃなくて
家から出たほうがいいよなって
寝巻きのままわたし
すぐに靴を履いて
外へ飛び出した
30分したら終わるって言ってたから
散歩でもしとこう
ちょうど外の空気が吸いたかった
そう思って飛び出した夜道なのに
君と離れてから
吸い込んだ夜の空気は
やさしくて
ここちよくて
君と離れたほうが落ち着くことが
とてもかなしく思えた
さっき出て行ってと言われたことは
ほんとうにどうでもよかった
最後って言葉がやっぱり
いちばん痛いところにつき刺さって
抜けなかった
なみだがぽろぽろこぼれた
お別れがさみしいんじゃなくて
最後って言われたことが
その言葉が
とてもさみしくて
かなしかった
朝、最後と言われたとき
いま言うつもりなかったけどって
補足してたけど
言いたくなったから
言ったんだね
最後にしたかったから
そう言ったんだよね
わたしもね
最後にしたい
君の言う最後を
もう受け入れたから