「シノノメの元へあずけられない。でも双子は別の秘境に預けることにします。」
「母さんどうしても俺のいる秘境に預けられないのか。」
「世話係りなれる候補者はこれ以上は増えません。これからカンナ達を預ける秘境には人が増える予定だそうです。」
すやすやと母親の腕で寝息をたてる双子の兄妹。双子は秘境に預けられたら会えなくなる。そう思うとシノノメは淋しいと思えた。
「秘境に行くまでまだ時間があります。双子に兄がいると教えてあげてください。」
「赤ちゃんは記憶が出来るのか?」
「目印になるのもを作って双子にプレゼントすればいいのです。手紙とか。指輪とか。私の薬指を見てください。」
「指輪が2つ?」
「指輪はリョウマ兄さんが私のために作ってくれたのです。私の護身用の指輪と結婚指輪です。」
「護身用の指輪が汚れているな。母さん護身用の指輪気に入っているだろう。」
「えぇ。リョウマ兄さん私が暗夜王国に拐われた後で作ってくれたのです。兄弟姉妹の時間を取り戻せた時に渡そうと持っていたそうです。」
父は気の回しがいいだなと思った。父の意外な一面を発見できた。シノノメから見たリョウマは無愛想で厳しい人だと思っていた。
「俺だって指輪持っているぞ。」
シノノメが首に提げた袋を取りだし中身をカムイに見せた。指輪にしては一回り小さい。
「その指輪はリョウマ兄さんと私の共同作業で作った指輪です。赤ちゃんだったシノノメの指をはかって作った指輪持っていて嬉しいです。」
「どうりで普通の指輪にしちゃはめられないと思ったら。」
赤ちゃんの頃ならはめれた指輪は六才のシノノメの指には入れない。それでも指輪には父と母の愛情が入っていた。シノノメが産まれたことを喜び祝福を込めて作ってくれたの指輪を持つだけでシノノメの体内は暖かい気持ちになれた。
「いい例だな。指輪はいいけど父さんと被るのはやだな。」
「それなら手紙にしますか。」
「カンナ宛とカナ宛の手紙にしたい。」
「お母さんが紙を選んできます。シノノメはメッセージを考えてください。」
「おぅ。ちゃんとカンナ達にお兄ちゃんがいるぞとわかるように書いとくぜ。」
こうして話がまとまり。シノノメは手紙を書くことにした。
数日後。シノノメは両親と一緒に別の秘境に来ていた。双子と一時の別れをするために。
「カンナとカナをよろしくお願いいたします。」
「お父さんのこと覚えていてほしいものだ。」
「カンナ。カナ。離れていてもかぞくだからな。ちゃんと両親の顔もお兄ちゃんの顔を覚えてくれよ。」
「たー。」
「あー。」
双子は無邪気に笑った。シノノメの指を掴むカナ。リョウマの髪をくいと引っ張るカンナ。
「リョウマ兄さんシノノメそろそろ戻りましょ。カンナ。カナ。元気に成長するのですよ。また会いましょう。」
元気にでも眼に涙をためながらカムイは双子と別れた。リョウマにおぶられたシノノメは後ろについてきていた母が鼻をすずたりもしていたけど見ないようにした。
大丈夫また会える。今度は会うときは家族が揃った時。父リョウマに。母カムイに。自分に。弟妹になる双子もいれて。いつかまた。