この手があれば、何処へだって行ける気がした。
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小さな手と手を取り合って、二人で一緒に居れば、何の不安もなかった。
だってあの時、あの世界には二人だけしか居なくて、そうすることで世界は完結していたから。
何も求めることなんてなかった。求めるよりも先に、満たされていた。それに、何よりも求めればいつか失うことを知っていたからなんだと思う。
稚拙で、穏やかな世界。
オレと彼で出来上がった世界。
この想いは恋するよりも、愛するよりも深い。
けれど、二人で満たされていた世界は、実はとてもちっぽけな世界だったんだと、彼と離れて知った。
大きくて醜い大人が、小さな手を掴んで、力任せに引き剥がす。荒がう力なんて持っていなくて、オレ達は望まざる別れをつきつけられた。
『待ってて!絶対、絶対に追い付くから!』
小さく、力を持たないこの手では彼を守れないなら、どんなに苦しくても、力を手に入れてみせる。
うち壊された、二人だけの幸せな世界。
今、オレを包む広くて寂しいこの世界。その中に君がいるなら、もう一度手を取り合って生きれるなら、オレは強くあろう。
だからその日まではさよなら、オレ達の世界。
end
突発的。
ただ、『あの時、世界には二人だけしか居なかった』と書きたかっただけデス…