君の名前を呼んでもいいかな

また思い返すのかって話だけど

思い返すなんてことば

似合ってはいなくて

いつも心にある、そう

もう12年も前の話を

こないだのことみたいにしたりする



ひとまわり違うわたしたちが

さらにひとまわり生きて

いまも元気におなじこころで

ここに生きている

こんなに近くにいること

きっとあなたは知らないと思う

そしていま出会った

ひとまわり歳下の彼女に思うこと

ほんとうに

あのころのわたしを見ているみたいだよ

若さゆえの

強さと浅はかを振りかざして

なにかしらの不安を隠して

とりあえず生きているみたいな女の子

はっきりものを言うところと

迷わないところが愛らしい

あのころのわたしに教えてあげて

どうしてもできなかった

どうしても奪えなかった

力づくの

力がないと思ってた

後悔は何もない

そう思えることが

何よりじゃないかと思ってた


一体だれのために生きているのか

わからなくなるときがある

自分のために生きたいと

こっちじゃないと

こんな涙や絶望のために

生まれてきたんじゃないと

強く思ったときに

わたしはその手を離した

いつも最後には

自分を選んできた


春になったから

君の名前を呼びたくなるの

わたしはきっと

いくつになっても変わらないよ





煌めいて見えたとしても、

お誕生日が近い

ひとまわり下のこが

はじめましてと

車で2時間かけて

わたしに

会いに来た



こんばんは、

そういってにっこり微笑む顔が

可愛くてわたしもつい、笑顔になる


初めて会うのに

初めてじゃないみたい

お茶して

ドライブして

夜景を見て

ラーメンをすすって

バイバイしたら

30分後、

忘れ物を届けに来てくれて

それからまた2時間かけて

帰って行った



また4月に会おうね、

そう言って



それなら

一緒に桜を見たいなぁと思った

その綺麗な横顔には

たぶんあわいピンクのはなびらが

とても似合うと思うから


その声を

わらった顔を

わたしが忘れないうちにまた

会いに来てね、






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