ぽたりと落ちてきたそれは、雪交じりの霙だった。
寒いわけだ。おそらく現在の気温は三度くらいだろうか。それ以下になるとこの辺りでは雪に変わってしまうから。
寒いね。誰かがそばにいるわけでもないのに、ぽつり呟いた。
手をそっと伸ばす。空を切るそれを濡らすのは冷たいもの。ああ、もう雪に変わってしまう。
凍えて震える手を、それでも中空に差し出したまま、ただじっと立っていた。
ここも来週には白に塗りつぶされるのだろう。一面の銀世界。消音作用を持つ雪は、私の息すら消してしまうのではないだろうかと心配した。
寒さがこの躰を蹂躙しても、私はその手を伸ばし続けた。誰かが握ってくれるわけでもない。それでも白に届くだろうかと、ただ願い、というよりも祈りに近い何かを持って。
寒いね。ほどなく、ぽたりと雪が手の中に落ちてくる。
イメージBGM ずどどんP/croak
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