帰り道にさしかかったときに

雨が降ってきた

それを知っていたから

わたしは昨日のうちに買っていた傘をさした

たぶん、今雨に濡れることが

耐えられないからそうした

降り始め、誰もまだ傘をさしていないなか

ひとりだけ傘に隠れて走った

走って乗りこんだはこのなかで

しずくが踊る窓の外をみていた




今日の霞んだ空は優しくて

あたたかいグレーの毛布みたいだ

誕生日がくるたびにかなしいけど

こんな私がこの世におりてきたことに

なにか、なんでもいいから意味が欲しくて




開けたドアの中で起こっていたことが

こわくて

こわくて

どうしたらいいかわからなくて

走って逃げてきた場所で

はじめてきた場所で

きみを見つけてほっとした


たくさん話を聞いてもらった

なつかしいこととあたらしいこと

お腹がいっぱいにはならなくて


どんな顔してたのかわからないけど

さみしいの?って聞かれて

わたしはなんて答えたかな

さみしいってこころの底からおもいながら

ことばを濁したようなきがする

さみしいというよりは

かなしいのほうがあってるはずなのに

なんでさみしいと思ったのか

きみは知っているみたいだった

だから優しかった