弟王子が幼児に!外伝 アクアの誕生日

「タクミさん!」

「……」

「タクミさん!今日は、なんの日か知ってるでしょ。アクアさんの「誕生日」そうです。さぁ起きてください。」

小さな手でカムイの手を叩く。布団から出るのは愚の骨頂。

「何をしている。」

「あっリョウマ兄さん。タクミさんアクアさんのプレゼント渡したから起きたくないと嘘を言うのですよ。」

「そうか。カムイ行くぞ。」

「何処に。」

「アクアのところだ。タクミまたな。」

カムイをアクアのところへ連れて行かせた。


「タクミのプレゼントなら今朝からテーブルに置いてあったわ。ほら。」

「蓮の花。」

「タクミ私が寝ている隙に誕生日が来るとよく蓮の花を置いてくれる。それだけでいいの。」

「というわけだカムイ、納得したか。」

「はい。アクア誕生日おめでとう!私からもはい。」

「オルゴールを」

ネジを回すとアクアが歌っている曲の旋律がオルゴールから流れてきた。

「アクアの歌の音と同じだな。」

「えぇ。よく作ってくれたわ。お母様の歌声と似ている音だわ。」

蓮の花は、タクミ。オルゴールは、カムイ。

「リョウマ兄様探しましたよ。さぁさぁ料理を手伝ってください。ヒノカ姉様じゃ足りてないのです。」

「おぃ。引っ張るな。」

優しく穏やかな白夜式の誕生日を迎えたアクアだった。


弟王子が幼児に!外伝 アクアの誕生日

レオンがケーキ屋のケーキを眺める。子供のお小遣いでは、苺のホールケーキが買えない。ケーキ屋の値段高すぎるよ。生クリームとイチゴを買ってスポンジをかざりつけただけで3000円なんて。

「お兄ちゃんなにしているの?」

「エリーゼ今日は、なんの日か知ってる?」

「え?ひな祭りの日だよ」

「アクアさんの誕生日だよ。」

「えーー。レオンお兄ちゃんどうして早く教えてくれないの。はぁ!まさかケーキでも買おうと」

「買えるわけないよ。でももうプレゼント用意しているよ。」

「よかったー。でもなんでアクアお姉ちゃんの所へ行かないの?」


「義理の弟からプレゼントで喜ぶかわからないもの。都合よく弟面して渡すなんて」

「お兄ちゃんは、意気地無しだなー。そのプレゼント私を通してアクアお姉ちゃんにあげようか?」

首を横に振る。

「渡す意味がないからいい。エリーゼは、プレゼントあるの?」

「あっ。レオンお兄ちゃんファイトだよ!私もプレゼント探してくるよ。」

エリーゼがレオンに背を向け走り出した。


歌姫アクアは、両手でプレゼントを抱えていた。白夜の兄弟姉妹からもらったもの。ファンからのもの。暗夜の兄と姉になる人からにも贈られた。白夜と暗夜の連合軍になったからプレゼントの量が増えた。

「よいしょ。今年は、すごいわ。とりあえずプレゼントの種類分けしときましょ。」

ドアがばっと開くとエリーゼがレオンを引っ張り入ってきた。

「アクアお姉ちゃん誕生日おめでとう!!ほらレオンお兄ちゃんも言うの」

「アクアさん誕生日おめでとう。これ受け取ってください。」

顔を赤らめて渡す。アクアが微笑むとレオンに頭を撫でた。

「レオンありがとう。とっても嬉しいわ。」

「むっ。アクアお姉ちゃん私も。」

エリーゼがフリージアの花束を差し出す。

「ありがとう。離れ過ぎたけどレオンともエリーゼとも仲を深めていきたいわ。」

「うん!アクアお姉ちゃん大好ーき!」

エリーゼにも頭を撫でると満面の笑顔になった。

「レオン、プレゼント開けていいかしら。」

「いいよ。」

「まぁイチゴのクッキー。ありがとうレオン、イチゴで嬉しいわ。一緒に食べましょ。」

エリーゼがはしゃぐのを見て一人でたべすぎないでねとレオンが釘をさしてアクアは、義理の弟と妹とクッキーを食べた。
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弟王子が幼児に!朗読会

注意一部変えました。

夜は、苦手。「夢のタクミ」と会う夢
を見る眠りが嫌い。怖い夢も嫌い。夢を見ると目を開けて布団から起き上がる。眠るフェリシアとキサラギを起こさないようにそーと部屋を出たら後は城の庭を歩いた。

声が聞こえ声のする方へ歩くと人が二人いた。眼が暗いところに慣れると剣を持ったマークスとカムイがタクミの眼に入った。


「タクミさん散歩ですか。」

「お姉ちゃんも肌荒れちゃうよ。」

「大丈夫です。時間を守ってやってるもの。夜風は冷えますから部屋に戻りましょ。」

首を横に振る。

「カムイ休憩しようか。」

「はい。マークス兄さん」

「お姉ちゃん僕もついていってもいい。」

「いいですよ。」

マークスの後ろをついていくと資料館に着く。

「カムイ読みたい絵本あるか。」

「マークス兄さんの朗読会してくれるのですか。」

「あぁ。ただし一人二冊までだ。四冊までしか読まないぞ。」

マークス兄さんの朗読会。小さい頃王宮でお泊まりで寝る前にマークス兄さんが絵本を読んでくれた。一人で読むのと違い朗読会に読む物語は楽しかったし引
き込まれたりよく眠れた。剣の指南する日付が出来てからお泊まり会はなくなりマークスの朗読会がなくなったけど今夜復活することで嬉しくなった。

「何にしようかなー。タクミさん読む本決まった?」

「うん。」

「マークス兄さんの朗読会よく眠ることができるのですよー。」

「僕あの人怖い。」

「大丈夫ですよ。根は心優しい人ですし。時々厳しいけどだからこそ」

「穢れがないと言えるの?」

タクミの言葉に資料館の空気が凍りついた。幼いと言えタクミは、白黒はっきりしたがる。

「ねぇタクミさんリョウマ兄さんのこと好き」

「うん。父上の形見引き継いでるし。冷静で強くて暖かいからリョウマお兄ちゃん好き。カムイお姉ちゃんはリョウマお兄ちゃんのポジションを取り上げた冷たそうな人のどこがいいの?」

「マークス兄さんは、私に強さと勇気を教えてくれた人です。暗夜で幽閉されていた頃拗ねてもひとりぼっちでも血の繋がりが無くとも妹同然のように育ってくれたのです。」

「見た目が怖いよ。」

「慣れでは大丈夫ですよ。さぁマークス兄さんが居眠りする前に行きましょ。」

カムイが選んだ二冊を読む。声に張りがあり物語に引き込まれると素直に思いながらカムイの膝の上に乗って朗読会を聞いていた。

「次は、タクミ王子の読む番だ。上から乗っていたのから読もう「赤ずきんちゃん」からだ」

お婆ちゃんのお見舞に行く前にお母さんの言いつけを忘れた赤ずきんが狼に食べられた。猟師に救助され三人で狼の腹に石をつめて縫い付けて狼を動けなくさせ平和に暮らしてめでたしめでたしになった。

「ねぇどうして赤ずきんは狼のこと獣だって気づかないの。」

「狼が会話できるあたり獣だと思わなかっただけだ。それにお婆ちゃんのお見舞いはいつもお母さん任せだっただろう。」

「ふーん。そうなんだ。」

「タクミ王子も知らない人に欲しいものくれてもついていっては駄目だ。」

「はーい。」

少し打ち解けたタクミがマークスの注意に返事することに微笑ましく見えていた。

「次は、「ラプンツェル」か。カムイも窓に髪を垂らして真似をしていたな。」

「お姉ちゃんの好きな物語タクミさん探すのが上手ですね。」

「「ラプンツェル」ってなぁに?」

「それは「開くぞ」どうぞ」

ネタを教える前にマークスが割って入った。農家の貧しい家で妊婦が魔女が育ってている赤かぶを食べたことを魔女に見つかってしまった。魔女は、赤かぶを好きなだけ食べる代わりに産まれてくる赤ちゃんをよこすことを条件にだした。女の子の赤ちゃんは、無事に産まれたものの魔女に引き渡してしまう。魔女は、女の子の名前をラプンツェルと名付け窓しかない空に届く高い塔で育った。

「窓しかない塔に入るには、「ラプンツェル髪を垂らしておくれ」が合言葉に長い長いみつあみを垂らし紐にして魔女は、登り窓から入りました。」

「僕の髪よりも長いねー。」

「あぁ。何年かけて伸ばしたからな。」

「塔からラプンツェルは、どうして出ないの?」

「外が怖いと魔女に教えられて育ったからな」

「外に出られる魔女は、どうしてラプンツェルを外へ連れて行かないの?」

「魔女は、お婆ちゃんだから。育ち盛りのラプンツェルを連れて歩く体力がなかったからだ。」

「ラプンツェル塔の中で過ごしてかわいそう。」

「いいえタクミさんラプンツェルは、ちゃんと外へ出ても生きていけたのですよ。」

「本当?」

「えぇ。ラプンツェルは、今も私の中で一番好きな童話なのです。」

マークスは、今もよく覚えている。小さい頃のカムイは、お転婆で。高い屋根に登ってラプンツェルの真似をして髪を垂らして遊んでいた。足を滑らせて落ちるところをよくマークスかカミラがキャッチしていた。

「王子と出逢いお互い一目惚れしたラプンツェル。王子と結婚することが嬉しくない魔女は、眠るラプンツェルの髪を切らせました。長い長い長い髪の方を王子のもとへ行かせる魔法をかけ。短い方は結婚指輪に変えました。夫婦となった王子とラプンツェルは一つの家で双子を授かり二人はいつまでも幸せに暮らしましたとさ。終わり」

タクミがいつの間にすぅーすぅーと眠った。

「そろそろ寝ようか。」

「うん。マークス兄さんラプンツェルの設定変えたね。」

「妊娠したから育っての魔女に捨てられたことと王子を失明させたのは子供にショックだからな。」

「最初読んだ時ショックでしたよ。ラプンツェルの生い立ちが私に似ていたもの。」

「カムイも立派な軍師になった。人生よくわからないな。なぁカムイタクミ王子が子供になって楽しいか。」

暗夜に怯える甘えん坊の白夜の弟について聞いてみたくなった。タクミは、カムイと離れると寂しがるところがカムイの血縁の弟と思えている。

「えぇ。タクミさんお姉ちゃんと慕うと可愛いですし。時間が空きすぎてもう小さい頃のタクミのこと覚えていないけどこうしてお世話できることが叶ちゃいました。」

「姉と言うよりも二児の母親みたいだカムイ。」

「えぇー。」

「送るからもう寝なさい。」

眠るタクミを背におぶるカムイは、心の中でマークス兄さんもお父さんみたいですとこぼすのだった。




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