弟王子が幼児に!

「君は、カムイ姉さんが好きかい?」

「うん!大好き。」

「カムイ姉さんと白夜でどんなことをしていたのか話せるのかい」

「……」

質問に答えられなかった。姉であるカムイ
のこと大きく印象に残っているのに過ごした時のことを一つも覚えていない。

「カムイ姉さんへの大好きは本当の感情かい。覚えているのにどうして僕の質問にこたえないの」

「そう言う君は、誰なの?どうして僕の夢の中で話すの」

「僕は、タクミだからだよ。」

シルエットがゆっくり現れた。タクミによく似た顔立ちをした弓聖の青年。ただ眼が紅く髪も白い。

「僕もタクミだもん!」

「僕だってタクミだ!」

タクミが青年に向けて膨れっ面になる。

「同じ名前で呼ぶと混乱するから僕のこと「夢のタクミ」って呼んでいいよ。」

「僕もっと可愛いもん!そんなに悪い人の顔じゃない!」

「君は、ひどいなぁ。悪い人は、誰のこと?カムイ姉さん?弟として過ごす時間を横取りした泥棒?暗夜の兄弟姉妹?」

ぐにゃと黒い空間が歪んだ。

「また夢で会おうか。じゃあねタクミ」

アッカンベーと舌を出して返した。


夢から覚めると高い天井が目についた。

「タクミ様ーごはんですよー。」

「今行くよー。」

フェリシアとご飯食べたあと散歩をしていると

「タクミ兄様これからかくれんぼうするのですか遊ぶますか。」

エリーゼがタクミの手を引いてじゃけんさせた。

「タクミさんがおにねー。30数えてねー。」

脱兎の如くサクラとエリーゼが走り出した。数を数えるとタクミは、サクラをリリスの神殿で見つける。

「タクミ兄様よく見つけましたね。」

「裾がはみ出ていたもん。ねぇサクラあのさ」

「何ですか?」

「なんでもない。じゃ僕行くね。」

サクラに背を向けエリーゼを探しに走り出した。

城の中を探し回った。資料館。食堂。具屋。武器屋。温泉の中も探してみた。脱衣場に入ると人がいた。身体が大きくリョウマと思い近づいてみると。

「タクミ王子か。温泉でも入りにきたのか。」

マークスが鎧から脱ごうとしていた。タクミは、恐怖を覚えた。マークスに睨まれたからでもなくてただ怖いと。ふるふると首を横に振った。

「かくれんぼうのおにをやってるだけさようならー!!」

マークスに大急ぎで背を向け走り出した。

温泉から離れマイルームへの階段に着くまでタクミの心臓がバクバクしていた。よりによって暗夜じゃ一番怖い騎士のマークスに会ってしまった。リョウマも怒ると怖いけどマークスの方が怖い。子供のタクミにはひとたまりもない。

マイルームに入ると人がジョーカーとテーブルにカムイとカミラがお茶をしていた。

「タクミ様でしたかノックの一つ入れてくださいな。」


タクミがベット布団を下から捲ると

「エリーゼみーけ。」

「あーん。見つかちゃった。次は、ジョーカーも遊ぼうよー。」

「エリーゼ様私もですか。」

「うん。行こう行こうー。」

「そうね。ジョーカー遊んできないよ。」

エリーゼに引っ張られてジョーカーは外へ出た。カミラは、ジョーカーが遊ばれる間にカムイを独占しておこうとした。


「あたしがおにだから隠れてね。」

隠れる場所を探しているとタクミはピタッとジョーカーに後ろについてきていた。

「タクミ様何か用ですか?隠れるなら別の所にしてもらえますか。」

「ジョーカーはカムイお姉ちゃんとシラサギ城に来たことあるの。」

「いいえ。カムイ様はぐれておりました。シラサギ城に行くよりもに白夜の平原に参上しておりました。」

「そう。僕もジョーカー知らない。」

タクミを目の前でまきジョーカーは、忍スキルでドロンした。

「タクミさんだめだよ。隠れていなきゃ」

エリーゼに最初に見つかりかくれんぼう五回したあと別の遊びをした。追いかけこ。カルタ。ババ抜き。大富豪。

「楽しかったよ。タクミさん。またあそぼうねー。」

エリーゼと別れサクラと一緒に自室に帰った。楽しかった。サクラと同じ暗夜の末妹は、明るく遊び好きで暗夜のように怖い印象が拭えた一日を過ごした。

続く。

弟王子が幼児に! 妻の心配。

すぅすぅすぅと泣きながら眠るタクミ様(5)の寝顔を眺め前髪を撫でた。タクミ様が城の外へ出たからどこに行ったのか心配しました。見つけた後ヒノカ様をはじめカムイ様にもいっぱい怒られて。

「タクミ様フェリシア心配しましたよー。もう一人で勝手に何処かへ行かないでくださいよー。」

夫であるタクミ様は、意地悪だけど心優しいところもある人。記憶も身体も子供に戻ったタクミ様はそれは、もう可愛くって愛らしいくて癒されます。ただ困ったことにタクミ様、妻であるフェリシアのことを「暗夜の人間」だと認識して怖がって近寄ろうとしなくなった。そうゆうことでタクミ様を起こさないようにスキンシップをすることでしかなかった


「タクミ様の子供の頃にすでに暗夜が怖いと植え付けられてかわいそうに。」

元の大人にもどるには、魔力を高めることしかない。高い魔力を秘めた天才魔導師のレオン様なら早く戻れるのではないか。魔力が高いわけもないタクミ様が元の大人に戻るには、かなり時間がいる。はっ!と他に元の大人に戻る方法をおもいついた。タクミの頬にお休みのキスをしてから就寝した。


「カムイ様、オロチ様お二人を短時間で戻す方法をおもいついたのです。お二人を時間の流れが違う秘境に預けて大人に戻せばいいのです!」

「なるほど考えたな。ただやめた方がよい。」

「むー!どうしてですか?わざわざ魔力を高めることしなくっても手っ取り早と思います。」

「透魔の主戦力である兄さん達を弟達の護衛としてを秘境にいさせられないよ。」

「大丈夫です。戦闘が得意な私なら負けません!」

力こぶを作る。

「タクミさんとレオンさんが別人になってもいいのですか。秘境にいる間性格も価値観も変わる危険性があります。」

「……うっ。それは」

もしそうなればフェリシアのこと妻と呼べなくなるのは、やだ。

「もとはといえばオロチ様が悪いんです!休憩室に若返りの水を置いたばっかりに!」

「フェリシアすまない。よもや弟王子が飲むことになるとは思っておらんかった。」

「このまま元の状態に戻れなかったタクミ様は、私を毛嫌いされたままになります。そうなっては、私。私。よよよ」


その頃タクミは息子であるキサラギにボールで遊んでもらっていた。

「タクミそろそろご飯にしよう」

「えー。まだ遊びたい。」

「お腹空いたら動けなくなって遊べなくなるぞ。」

「はーい。」

「タクミ兄様美味しいですか。」

「うん。ごちそうさま。」

「なぁタクミ。」

「なぁにリョウマお兄ちゃん」

「俺もヒノカもカムイを取り戻すことと白夜王国を守ってばっかりいたからタクミに寂しい思いさせだろう。」

「ううん。今は、楽しいよ。カムイお姉ちゃん帰ってきてくれたから。でもどうして白夜王国に帰らないの?」

「カムイには、白夜王国も暗夜王国を両方和平にする方法を見つけたから信じて集まった。白夜をユキムラに任せてある。」

「リョウマお兄ちゃん本当のことなの。」

「あぁそうだ。その証拠に暗夜王国の王族も城の中にいるものの悪さをしてこないだろう。だからヒノカの真似をして暗夜を毛嫌いすることはもうない。」

「もう!リョウマ兄様!」

顔をあからめるヒノカ姉。兄の言葉に安心感を得た。

「うん。でもメイドが意地悪してくるんだ。その人僕のご飯を不味く出してきたり物で僕を投げつけてくるんだ。」

「あれはドジなだけだ。気にするな。」

「それに僕のことをお婿さんと言ったりして頭もおかしい。」

「父上あれは、本当だよ。父上は、本当は、大人なんだよ。見て見てその証拠にほら!」

パラレルプルフでバトラーに転職したキサラギがこれ見よがし見せた。

「父上の子供が母上と同じ職業になったでしょ。」

「わかんないー。」



一方オロチは、フェリシアの愚痴に付き合わせれヘトヘトになっていた。フェリシアは、それはもう八つ当たりされるわ。呪い師の職業相談者の愚痴に付き合わせれるのも仕事であるが疲れた。タクミを魔力以外に他の方法で戻すことがないか占うことにした。

「フムフム。フェリシアに頑張ってもらうしかないの。タクミ様可愛い状態のままがよいがそれだとフェリシアが怒るからの。」

白夜の愛国心がある半面暗夜への不信感が強いタクミがフェリシアと結婚すると決めた日オロチも驚いたものだった。嬉しい反面寂しくもあった。子供が巣立ちをする親の心境にもなったものだ。フェリシアもタクミのためによく頑張っている。

「さてさて……フムフム。フェリシアに伝
えよう。」


「タクミ様が手伝ってくれたから大助かりです。」

「メイドがドジするといつまでもご飯が食べれないよ。」

「はぅうタクミ様手厳しですー。」

「ねぇそろそろ食べようよ。いただきます。」

食べ終わってから片付けようとした。

「僕がやる。」

「それでは、食器終わったらテーブル拭いてもいいですか。」

タクミが頷く。タクミの手が届くように食器を並べた。

「僕も手伝うよー。」

「ダメー。お父さんがやるから子供休むのー」

「うーん。わからないことがあったら声をかけてよー。」

椅子に乗り食器を両手で抱え片付けを始めた。

「メイド終わったよー」

「タクミ様ありがとうございます。」

洗濯物を畳み終えると篭に入れて運ぼうとした。

「ひゃ!」

なにもないところで転んだ拍子に篭の中の洗濯物がタクミの元へ落ち埋もれた。

「はぅぅぅタクミ様ごめんなさい。今払います!」

顔が覗くまで洗濯物を払うとタクミが睨んできた。

「あぅぅタクミ様ごめんなさい。」

「これ前にもあった気がする。」

「タクミ様思い出しますか?タクミ様文句言いつつも手伝ってくれたことがあったのですよ。」

「それ僕がメイドをお嫁さんにしたきっかけなの?」

「はいそうです。それからタクミ様よくドジな私を手伝いしながら交流する回数が増えたのです。」

「あったような。なかったような。」

フェリシアがタクミを脇に抱き抱え洗濯物の山だそうとした。

「だめ。畳んだのにまたやり直しに」

「また畳めるから大丈夫ですよ。」

「畳み終わったら声をかけてよ。僕が運んであげるから」

少しだけタクミ様が手伝ってくれることに嬉しさが込み上げてきたフェリシアだった。

続く。





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