忘れることは生涯ないと思った。
きっとこれからも傷ついた心を抱えて、癒せないその傷口から膿を出して、そのまま痛みを感じながら、それでも生きていくと、私は思った。
一生引きずって、生きていく。
願いも、想いも、希望も、全てねじ伏せて。
そうして私は死んでいく。
それが―――…私が出した未来だから。
結局人なんて答えは生まれたときから持っていて、大切なことほど本当は探す必要なんかない。
生きていく過程で見つける大事な結果もあるけれど、いつだって決断に至るのはもうはじめから持ってる。
ちゃんと自分の心にそれは在る。
けれど悲しい。
人はそれを忘れてしまう。
そんなときに気付くの。
私が誰かに伝えた言葉は、いつだって私が欲しい言葉だと。
けれど私が本当に大切なのは、優しい言葉なんかじゃない。
分かって欲しいけれど、分からないままでも激突するその激しさだと。
冷めてしまえば何も分からないままに時間は過ぎる。
怖くて痛いのは、私が可愛いから。
傲慢に生きてきた今までと、傲慢に生きていく今からを、直視できないから。
本当に悲しいのは、綺麗事だらけの傲慢か。
それとも引き金を引けない強さか。
死ねない強さと、殺せる弱さと。
それでも生きていく痛みと、それでも笑えない弱さで。
きっと傷を癒せない断ち切れない強さが、今もそこに在るから、私はまだ生きてる。
夢を見ていた。
優しい時間に還る夢を。
その後で酷く後悔することを知っていても、夢を見ていた。
目覚めた後に私は笑う。
自分の強欲と、愚かさと、そして純粋に。
それでも願うことを止められないと分かっていながら、私はそれをねじ伏せた。
いつか叶うと信じていた夢は、いつまで経っても叶わない夢だと思い知る。
こんなに傷だらけでもいつかはと願うその純粋に泥をかけた。
美しいものがあまりに綺麗だったから、汚したくなる。
それでも変わらずに強く光り続けると知っていても。
目障りなそれが命の輝きと知っていても。
優しい死が訪れるのを、ずっとずっと待っている。
けれども生きることを放棄しない。
それは約束に似た誓いだから。
それが最後だと、知ったから。
痛みを抱えて生きていく。
私はもう、それを諦めた。
だから大丈夫。
不安なんてもうないの。
どんな想いがあっても。