「シノノメ買い物に付き合ってくれてありがとうございます。」
「僕だけでも買い物に行けたのにー。」
「持ってない物子供が持ったら運べないだろう。俺のような腕自慢に任せるものだぜ。」
力自慢のシノノメの腕には四つも荷物を持っていた。カムイの方は二つ。幼いカンナは両手で小さな袋四つ持っていた。
「あっ。団子だ。」
「カンナ食べたいのですか?」
「うん。」
「シノノメ。あそこで休憩しましょ。おやつ時間です。」
「母さん食べたいだけだろう。カンナは甘い物が好きだな。」
「バレましたか。」
「いらっしゃいませ。3名様ですか?」
「はい。」
「ご案内いたします。」
席を案内され座るとカムイはススメのメニューを尋ねた。
「今日は芋羊羮が美味しいです。組合せにほうじ茶がいい味です。」
「それでは芋羊羮三つとほうじ茶三つでお願いします。」
「かしこまりました。」
店員が厨房に入っていた。
「シノノメは力があったんだね。荷物四つ顔色変えずに持っていたもん。」
「力仕事は俺の得意分野だ。槍のに必要な運動神経をで鍛えいるうちに腕が強くなれた。」
「槍は筋肉全体に使いますものね。柄を振り回すのも。突き上げるのも。」
「僕も槍とか学んでみようかな。」
「よせカンナ学んだことも一からやり直しになるぜ。剣の訓練も。竜になるのもやめて槍だけの訓練だぜ。」
「うっ。でも槍だからこそ使える決め技があるんでしょ。」
「破天の技は、続けていたから習得できた技だ。学んだからって言ってすぐに身に付けられるもんじゃない。」
破天。槍を扱うものにとっての奥義。守備の固い鎧騎士にも。ドラゴンキラーなしで竜騎士にも仕留められる技は一朝一夕で出来るものじゃない。
「武器の1つ1つには長所と短所がある。たとえば槍は剣と魔法と手裏剣に対して強い。槍の一振りは時に守りにも攻撃にもなる。柄が細い槍に対して強い武器は二つ。一つは大きな武器の斧。もう一つは遠距離で命中する弓には対応しづらいだ。」
「どうして?」
「カンナ走っている時足を足でひっかかれるとどうなる?」
「転ぶ。」
「そう槍は足のようなもの。両腕で持つ武器。片手を離して振り回す時は隙が多くなるもんだ。何処で飛ぶか分からない矢では槍では防ぎにくいだ。カンナは竜に変身している時はどうだ?」
「全身が武器になった感じがする。体当たりしても痛くない。」
「カンナは希な竜に変身能力がある。特攻武器に当たらなければその他の武器には強い。」
「本当?」
「おぅよ!カンナはカンナの長所を生かせばいいだ。」
「僕続けみよう。剣も竜になれることも。」
「シノノメ変わりましたね。少し前まで単騎で初めて戦場に飛び出していたのに。」
「母さんよせよカンナにその話はよ。」
恨めしそうにカムイに話すシノノメ。
「シノノメ僕よりも戦場に出ていたの?聞かせてよ。」
カンナのキラキラした目線が痛い。
「それは今度教えてあげる。」
「お待たせしました。芋羊羮三つとほうじ茶三つです。」
店員が注文した物を目線に置いた。
「本日家族デーでお客さまのなかで子供連れたお子さまに白玉あんこをサービスです。」
カンナの目の前で白玉あんこが置かれた。
「よかったね。カンナ甘い物二つも食べられて。」
「‥‥‥」
「カンナ?」
「店員さんもう1つ足りない。」
「えっ?他のお子さまがいらしゃいますか?」
「うん。シノむぐっ。「この子数字が数えられないだ。」
店員が少し納得した顔になった。
「どうぞごゆっくりとお召し上がりください。」
一礼して厨房に戻っていた。
「シノノメなにするのさー。シノノメもお母さんの子供なのにー。」
「いいだよ。俺は子供の年齢を越しているから白玉あんこのサービスはいらない。それはカンナが食え。」
店員から見たら家族に見えたのだろう。カムイとシノノメが並んで夫婦に。カンナは息子に間違えられたのだ。
会計を済まして荷物を運んで歩いていると。
「おやおや。お父さん買い物の手伝いかぃ。うちの亭主もやってほしいものだね。」
知らないおばさんにシノノメのことを「お父さん」と言ってきた。少しグサッと刺された。
「おばさん違うよ。シノノメは僕のお兄ちゃんで。お母さんの子供だよ。」
「えぇ!?」
「カンナやめてくれ。年齢偽装になっちまう。」
終わりー。