「仕事が終わったら公国内で遊ぼうな」

ガロン王率いる暗夜軍が襲来がなけでば父が生きていた。カムイもガロンに連れ去られることもなかった。

「助けて!リョウマおにいちゃん!ヒノカお姉ちゃん!」

カムイの元へ行こうと立ち上がるも生き残った護衛がリョウマを抱き抱え阻止した。大人と子供では、力の方が大人の方が強い。カムイを助けたいのに。

「行ってはなりません!リョウマ様危険です!」

離してくれ!生臭い血の臭いがリョウマの鼻腔に刺激される。それがますますカムイを助けなければと焦るばっかり。

「!夢」

窓の外を見ると外は、暗い夜。もう何度も見る昔の夢。リョウマにとって忘れることがない過去。そんな彼は、何故なのか過去?に来ていた。幼い頃のカムイの使用人になっている。暗夜王国にも白夜の王族に似た顔をした人がいることには、リョウマ自身が驚いている。それよりもカムイは、自分の不幸だった出来事を簡単に忘れられるものだろうか。スメラギを殺したガロン王をカムイは、「お父様」と呼んでいるところを見ると違和感が拭えない。

「ふん!ふん!ふん!」

眠れないので木刀の素振りをした。

「マークスお兄ちゃんそこにいるの?」

ランプを持ってカムイがリョウマの元へ来た。リョウマの姿を確認すると少し驚いた顔になった。

「マークスお兄ちゃんがいたような気がしたのに。」

「カムイ様起こしてしまわれて申し訳ありません。すぐにやめます。」

「ジュン素振りをやめないで。もう少し私に見せて」

言われた通り素振りをする。カムイは、じーと見る。

「ジュンは、いつから剣術習うようになったの?」

「八歳です。」

「ジュンって良いところのお坊っちゃまだったっけ」

「父は、とある人に仕える強い剣士でした。よく時間を見つけては、俺に稽古してくれました。」

「うん。ジュンの素振りの音は、マークスお兄ちゃんよりも落ち着いているからよっほど鍛錬しただよね。」

「カムイ様見事な洞察力です。剣術の師匠今は、亡くなっていますが今でも俺の尊敬するお人でした。」

「会ってみたかったな。」

「カムイ様ならその人に会ったことあります。覚えていないのですか。」

カムイは、首を傾げた。

「知らないや。ねぇジュン私にも剣術教えてよ。」

「私と稽古して欲しいとは、光栄です。その代わり約束してほしいことが1つあります。」

「なぁに?」

「マークス様以外に訓練したことを周りに知らせないことです。マークス様が知ったら何を言われるか。」

「わかったよ。」

「では、カムイ様は、私の木刀を打ち込んでください。」

「はーいジュン先生。」

ジュン否リョウマの目の前に幼いカムイが木刀で打ち込み始めた。

幼いカムイと稽古を初めて出来たことにリョウマは、感動を覚えた。目に幼いカムイの姿を焼き付けようと思えた。

続く。