泣きじゃくるタクミさんが頭に血を流すマークス兄さんを睨み付けて。

「カムイお姉ちゃんのバカバカ!うわきものー!尻軽!」


ほんの数十分前のことを説明しよう。

「マークスを呼びつけるのはカムイくらいだ。」

カムイが柔らかな手のひらで撫でた。

「こら。兄をからかうな」とか「いつまでたっても子供のようだな」困ったように言えばカムイは、嬉しそうに笑顔でいた。カムイが小さい頃にマークスを帰ろうとするとよくマントを掴まれて帰らせようとしなかった。そういう時にマークスがカムイの頭を撫でて。

「また来るから。いい子にしているだ」

と言って帰らせるように促したりした。カムイが老若男女問わず招待させてスキンシップを取るのはほとんどマークスのせいでもある。部下に対する愛情と敬愛をするコミュニケーションなら止めはしなかった。

「お前は、私の大切な兄妹だ。なにかあったら兄に頼るのだぞ。」

突然カムイがマークスの胸に倒れた。すんでのところキャッチはした。

「カムイ眠いのか?」

こっくんと頷く。ベットに運ばせて寝かそうとしたら袖をぎゅっと掴まれた。涙で潤んだ瞳で

「マークス兄さん帰らないで昼寝に付き合ってほしい。」

「だが「軍師として命じます。」甘えん坊め」

折れてマークスは、ベットに入る。添い寝してものの数分でカムイがマークスの隣に寝息をたてた。カムイの寝顔を見て時間の流れが早いと感じた。純真無垢で小さかったカムイは、いつのまに気品にみち溢れた美人に成長した。マークスは、カムイの隣で眠りについた。

フェリシアとキサラギとのピクニックの帰りタクミは、花を持ってマイルームに向かっていた。


「タクミさん花ありがとう。」

喜ぶカムイのことを想像した。きっとカムイお姉ちゃんなら喜んでくれる。ドアを開けてタクミは、驚いた。目の前にベッドで昼寝をするカムイ。の隣に暗夜の第一王子マークスが昼寝をしていたからだ。

どうして?カムイお姉ちゃんがマークスと。カムイお姉ちゃんからすれば義兄で。リョウマお兄ちゃんと同じ第一王子の肩書きを持っていて。とっさにコップに水を注いだ。水を飲むでも。カムイに渡す花にさすこともせずにマークスにかけた。

「なっ!冷たい」

マークスが飛び起きた。バシャン!もうひとつ用意したコップの水をマークスにかけた。

「タクミ王子やめなさい!カムイに当たるだろ。」

「うるさい!うるさい!うるさい!!ケダモノ!」

次に空のコップが飛んできた。いけないとカムイの上に覆い被さった。コップがマークスの頭に命中し床にガシャンと音を立てて落ちた。

「う‥?あれマークス兄さん?血が出てる!」

「お姉ちゃんのバカバカ浮気者!尻軽!」

カムイが辺りを見るとマークスからすり抜けるとタクミの所へ来る。


ゴッツ!!

頭が痛い。頭をカムイが拳骨されたことに気づくまでタクミは、呆然としていた。

「タクミさんマークス兄さんになにをしたのです。」

「知らない!知らない!」

そっぽを向いたらパシッ!と左頬に痛みが走った。

「人に向かってガラスのコップを投げては、いけません。頭に血が流れたら痛い。」

カムイがガラスの破片を拾うとタクミの肩を強く掴み。

「分かりますか!ガラスは、刺されると痛い!」

破片を持った右手をタクミの頭に振り上げた。タクミは、とっさに目を閉じた。いつまでも痛みが来ないので目を開けた。破片を持ったカムイの手に血が床に溢れた。

「血が出たら痛い。破片で切れたら痛いのですよ!」

破片をタクミの手のひらに当てると血が出た。次にカムイがタクミの血が出ているところを握る。

「痛いよ!カムイお姉ちゃん!手を離して!‥‥バイ菌入っちゃう」

泣きながら消え入りそうな声でカムイに訴えた。

「頭をガラスで切られたらもっと痛いのです!マークス兄さん謝まるまで離しません。」

「うっ。うわぁぁぁん!」


「泣いても駄目です!自業自得です。」

タクミが嫌々とカムイから逃げようと首を横に振る。

「タクミさん!いいかげんに」

マイルームの床から林檎の樹が生えてきた。幹が意思をもったようにタクミを掴んでいたカムイの手に絡みついた。林檎の樹に引っ張られるようにカムイは、タクミを離した。

「この魔法まさか!」

マイルームの扉の開く音が聞こえ。振り反ると。

「静かにしてくれるかな。外まで聞こえてるよ。」

低めの呆れた口調でレオンが入ってきた。

「レオンさん。でも身体が子供のまま。」

「うるさいな。」

カムイがレオンに気を取られている間にタクミは、扉に手をかけ抜けようしたら。マークスが止めに入った。

「どうして。魔力が一定になれば子供から元に戻っいるはずじゃ。」

「元に戻る薬が出来たよ。オウジサマを連れて女王の呪い師の所へ行くよ。」

「えぇ。」

続く。