秘境でジークベルトがマークスの前の臣下二人と会うというありえないお話です。ジークベルトは、自分の祖父のガロン王が嫌いになっています。

とある秘境。ジークベルトは、四人の同い年の子供とかくれんぼうの鬼をしていた。集合場所に見つけた四人を集め手のひらから鉱石の石を見せる。

「ルビー、エメラルド、サファイア、トパーズ見つけーた。」

鬼役が120数えている間にかくれぼうする役が鉱石を隠す。鬼が鉱石を探しながら鉱石を持っていた子供に宝石の名前で呼ぶ。ルビーを持っていた子供は、ルビーの鉱石を見せて「ルビーみーつけて」っていう。いわゆる「たから探しゲーム」と「かくれぼう」をまぜて遊ぶゲーム。鉱石が見つからなければ見つけた子を集合場所に集めるというルールが入っている。


「ジークかくれぼうの鬼が上手いよね」

「絶対分からない所へ隠すのに鉱石見つけるのはやい。」

「シェイドがぼーとして忘れているだけじゃない」

「失礼な!」

「次は、ジークが隠れる番だよー。はいルビーあげるー」

鬼をやるマリナがジークベルトにルビーを渡す。

「ジークわかりやすいところへ隠れてよー。」

「かくれんぼうにならないぞ」

「ジークかくれるのへただからすぐ見つかるよ。」

「パリス大丈夫だ。私は、見つからない。」

「鉱石わかりやすいところへおいてね。いーち。にーぃ。」


ルビーを隠しジークベルトは、四つん這で入れる穴の開いた建物に隠れる。絶対に見つかりづらい場所だ。ルビーをわかりやすい所へ隠して素通りしやすい穴場の中をじーとすれば、ジークベルトの一人勝ち。

外で雨が降る音が聞こえた。秘境は、沼地が多くて湿気がひどい。雨が降れば、外で遊ぶのは、おしまいにしてお家に帰ると親から教わている。「たから探し」に使っていたルビーを持って集合場所に戻ろうとジークベルトが歩く。晴れたら、また外で友達と遊べばいい。雨がひどくなり走って集合場所に戻ろうとしてぬかるみのある土に足を取られジークベルトは、転んだ。その拍子にルビーが泥に落ちてしまった。

「いけない。ルビー、ルビー。」

泥の中のルビーを取りだしぱっと指で泥を払った。

「ジーク。また遊ぼうねー。」

大急ぎで家に帰る四人と別れてジークベルトも世話係のいる家へ走って帰る。

前から大人が二人いた。

「子供我らを泊めてくれないか。」

一人がジークベルトに声をかけた。二人の大人は、ずぶ濡れで家に帰る途中のジークベルトは、ふたつ返事で泊まることにした。


「ジークベルト様お帰りなさませ。あれその二人は、どうしたのです。」

「ミン二人を泊めてくれるか。服と暖かい飲み物を二人に出してくれ。」

大人の二人の身なりから暗夜の紋章が目につき騎士だとジークベルトは、推測した。

「君らは、暗夜の者らしいね。何処から秘境に来た。」

「我らは、白夜からマークス様を探しにあるいているうちに気づけばここに」

「マークスっていうのは、僕の父上です。」

大人二人の目がかっと開いた。

「マークス様の子息なのですか?いつの間に!!証明するものがありますか!」

「これは、私が生まれたときに父上が王族の印にくれた紋章。父上は、暗夜王国の第一王子にして最強の騎士。」

「あぁ。確かに暗夜王国の紋章が。」

「信じてくれたかい。」

もう一人の男がジークベルトをじーと見た。

「マークス様が小さくなられたと思っていました。マークス様は、どうしているのですか?白夜は、侵略出来たのですか?」

ジークベルトの肩をがしっと掴まれた。

「侵略??今は、白夜と共同しているよ。なんでも元凶を倒すためだと聞かされている。あなたたちは、マークス様の臣下と聞いているけど名前は?僕は、ジークベルト」

「ダディ」

「ジャンです。ジークベルト様ここは、何処なのですか。マークス様は、何故いないのですか。」

「ここは、時間の流れが違う世界秘境だ。親たちは、生まれた子供を秘境にあずけて時々会いにくる。」

「おとぎ話の世界に来た気分だ。」

ダディが頭を捻る。

「父上には、今は、ピエリねえさんとラズワルドにいさんを臣下にしているよ。ジャン達は、どうやって秘境に来れたんだい。」

「覚えてない。」

「えっ?」

「白夜兵の不意打ちからマークス様を庇ったところまでは、覚えているのに。気がつけば秘境に来てジークベルト様に家に入ったことだけしか。」

ダディが分析するものの肝心の秘境に来れた理由が曖昧で覚えていない。

「ジークベルト様夕飯の時間です。」

「ゆっくり過ごせば思い出すじゃないか。さっさっご飯にしよう二人共今夜は、父上のことを聞かせてくれないか」

「ごちそうになろう」


寝る支度が済めばすぐに眠らずマークスの臣下の話が聞きたくなった。ジャンとダディは、マークスが生まれ頃から世話をしていた。父上は、今の貫禄がありながらの小さい頃は、臆病で人見知りがひどかった。父上の母上に睡蓮の花をあげたくて池に落ちてから水が苦手となりかなづちになったり。


「面白い話がガロン王様は、人見知りがひどいマークス様に予約した花束を取りに行くようにおつかいを頼まれたことです。ひとの多い所と知らない所へ行くのが怖かったマークス様は、やっと花束をガロン王様に渡してからむくれていたのです。何故だと思いますか?」

「お爺様から苦手なことをおしつけられたから?」

「いいえ。ガロン王様がマークス様にエスカリーナ様との結婚記念日のことを教えなかったからなのです。ガロン王様は、エスカリーナ様に結婚記念日の花束を渡せたがマークス様は、母にあげるプレゼントが用意が出来ないことでむくれていたのです。」

「あのときのマークス様の悔しがた顔は。クッキー作ってエスカリーナ様にプレゼントしたことで落ち着ついた。マークス様は、結婚記念日が近くなると次のプレゼントのことを5日も考えて我らを連れて人見知りを克服しながら街へ買い物をするようになったものだ。」

「父上の母上がいたから父上も産まれて私も産まれた。会ってみたいなー」

「ジークベルト様は、暗夜のことを知らんのか。」

「うん。秘境には、出ないし。父上とは、会う時間も少ないから暗夜のことは、知らない。」

「では、暗夜の王族の子息には、耳のいたいお話をしましょ。エスカリーナ様は、マークス様が十にならないうちに亡くなりました。ガロン王様は、愛妻を亡くした哀しみから二度と側室を作らないと何人の妾からも血縁上の子息も令嬢にも距離を置いて過ごしておりました。いたはずが身分の分からない怪しい女と連れ子を自分の妃としてマークス様の二番目の妹として迎えて再婚すると公式で発表したのです。」


「えぇー。お爺様早い。」

「その頃からエスカリーナ様を支持する派閥がつよく新しい妃と連れ子は疎まれ。妾にも子弟も嫉妬から虐げたのです。マークス様は、ガロン王様の再婚したときは、ひどく不機嫌でした。その名残があの眉間の皺なのです。」

「大好きな人に裏切られた父上可愛そうに。」

ジークベルトの中のガロン王のイメージが愛妻家で家族思いのある人から浮気癖がひどい人でなしへ変わった。

「何人の側室って言うのは」

「ほとんど王家の権力欲しさでガロン王の子供を産んだ貴族達です。エスカリーナ様と再婚した女は、気品もあり美しいと評判でしたが再婚した女は、すぐに亡くなってしまいました。奇妙なことに遺体もない状態で。ガロン王様は、時を同じく悪政ををする暴君になられ他国に戦争を仕掛け無理矢理支配領土を奪うようになったのです。一番ひどかったのが友好的な白夜王国の王を騙し討ちをして白夜の侵略を始めたことです。白夜の第二王女カムイ様を拐いました。」

「!!!父上は、どうしたのです。自国の祖父のやったこともう聞きたくありませんから。」

「そうでしたね。暗夜は、今は、休戦しているそうですし。では、はっちょって話しますね。暗夜の王城で妾と子息の争いが収まった頃に暗夜の第一王女カミラ様始めレオン様とエリーゼ様がマークス様の腹違いの妹弟として迎え入れられました。連れ子の方は人質の交換条件で白夜に渡しました。マークス様は、神器ジークフリートを片手に暗夜を離れ騎士の修行中で虹の賢者の試練を受け実力を認められたことで「暗夜最強の騎士」称号を得ました。」


「父上はやはりすごい。お爺様は、軽蔑して大嫌いだけど父上は、別だ。」

「ジークベルト様は、マークス様が好きか?」

「はい!私は、父上が大好きです。そうだ。父上が秘境に来るまでダディとジャンは、私のもとへ待っていれば父上に会えるのではないか。しばらくは、秘境で私の先生になってくれないか。」

「ジークベルト様ありがたい言葉を………ッ!?」

ジャンがカップを落とした。ダディは、頭を両手で抑えながら床に倒れた。

「ジャン。ダディ?大丈夫か?」

ジークベルトが近づき目の前で屈む。

「…る……な!」

「薬なら飲め…」

「逃げろ!!」

ザシュ!ジークベルトの手の甲に血が出た。ダディの手に切られたナイフが握られていた。血が垂れる。ダディとジャンが立ち上がると身体が透明になり見えなくなった。ジークベルトは、急いで部屋にたてかけてある剣を握った。人間が透明になることもありえない。先まで父の臣下の騎士が床に倒れる頭痛を起こしジークベルトを攻撃している。今は、気配のする透明を倒さないとまずいと警告している。

身体に切り傷ができる。攻撃しようにも紙切れのようにかわされる。姿が見えるダディを斬る。次は、ジャンを斬る。斬った感触があるのに斬られた方には、血が出ていない。不気味で怖い動けなくなるまで倒せた。


「見事だ。ジークベルト様。我らを解放してくれてありがとう。」

「へ?」

「我らは、元凶に化け物にされた。秘境に通じる水から通されマークス様の子息に巡り会えた。もう少し我らに顔を近くで見せてくれますか?」

「ジャン、ダディ、化け物って父上と会いたいじゃなかったのかい?まるでそれじゃ………」

「ジークベルト様泣いては、いけません。我らは、マークス様の子息のお顔が見えたことで幸福で。マークス様のことが聞けて満足しているのです。」

ジャンは、ジークベルトの頬を撫でた。ジークベルトの顔が仕えていたマークスの顔と重なって見えた。

水が当たる。ジャンとダディの身体が青い水と泡が空中に舞う。

「マークス様に伝えてください。次に墓参りするときは、白夜の野菜と酒と桜を供えて欲しいとダディが言っていたことを。思い詰めることは、半分私が墓で運ぶとも。」

「ジークベルト様どうかマークス様負けないような偉大な王に。我らは、見守っております。」

白夜も暗夜を縛っていた元を断ち解放することを願っています。ジークベルトの頭に響いた言葉が残った。父マークスには、歴史があった。それを教えてくれたのは今にも消える先代の臣下の二人。




「ジークベルト。起きろ。」

「父上?どうしてここに今日は、来ること知らない」

「もう昼間だ。ずいぶん怠け者だな。」

マークスが苦笑いを浮かべる。
部屋を見渡すと血痕のあとがなかった。自分の手の甲も斬られた跡がなかった。

「ジークベルト様起きたのですか?マークス様の昼のご飯の用意ができました。」

「ミン。昨日の二人は、どうした?」

「ジークベルト様昨日は、遊ぶ疲れてそのまま眠りました。誰かいっらしゃたのですか?」

ぐぅぅぅ。

「空腹を解消しよう。それから話を聞こう」

昼ご飯済ましたあとジークベルトは、父に昨日の出来事をひとつひとつずつ話すことにした。マークスは、自分の小さい頃の話を聞いて気恥ずかしくなったり懐かしんだのは、また別の話し。

終われ−−。

後書き

ジークベルトの小さな頃の秘境で体験した出来事でした。
色々捏造しておりますが。

小さい頃のジークベルトなら無邪気だけどしっかりもののイメージがある。父親が恋しい頃に父の前の臣下(透魔兵になりつつもマークスの忠誠心と古風だけが残っている)とありえない邂逅をさせました。書きたかったのは、マークスの幼い頃のことを知っているジャンとダディがジークベルトに話すお話が書けて満足です。では、また機会があればFeifのお話書きます。