前置きタクミの妻はフェリシアです。迷子になった子供達を探しにフェリシアが雪山で頑張ります。タクミとジョーカー少し
出ます。
「すごい吹雪だ。止むまで洞窟にいないと危ないなぁ」
「おぃ。キサラギ何処に行こうとした。人を引っ張っておきながら目的地まで聞かれてないぜ」
秘境に泊まりきた早朝にキサラギに起こされ手を引っ張られて山で遭難した。キサラギは、ただ行きたい場所に行きたいと言うだけで何もディーアに目的地のことを教えてない。
「僕の行きたい場所は、暗夜王国にある氷の部族の村」
「行き方は、分かってるのか」
「暗夜王国に入って雪山に行ったところに行けばあるじゃない」
「知らないだろ。行き当たりばったりじゃねえか俺じゃなくメイドの母さんと行けばいいだろうダメ王子!!」
キサラギの頭を小突いた。キサラギは、情けない声をあげた。
「ディーアのお父さんは、氷の部族の村に行ったことあるでしょ。ディーアも連れて行かれたことがあると思っただもん。」
「知るかっ!むしろキサラギ弓で矢を放って居場所を示すことでもしろ!!」
いい加減な理由でディーアは、ダメ王子に遭難され普段あげない怒声をあげた。
「ごめんよ。ディーア。」
吹雪が激しくなった。ディーアとキサラギは、洞窟の奥に奥に入り吹雪の様子を静かに眺めた。
「あのさディーア」
「なんだダメ王子。」
「ディーアのお父さんは、暗夜王国の執事 だったでしょ。」
「あぁ。今も母さんの執事だ。」
「僕の母上もディーアのお父さんと同じでカムイ伯母さんの臣下でしょ。父上もカムイ伯母さんは、身分結婚しているところが似てるよね。」
言われてみれば、そうだ。大人げない父に忘れていた。父は、暗夜王国の境界を越えて白夜王国の王女である母ととも身分もなく夫婦になった。その結婚まで楽ではなかったではないか。
「ダメ王子も……」
「僕を王子とよばないでよ。」
「吹雪が止むまでそうよばせろ王子さまよ。メイド母さんも同じ。暗夜王国でタクミ伯父さんと結婚できたものだよな。」
「うん。父上は、ドジでおちょこちょいな母上と結婚したのは、お互いの故郷を自慢しようとしたことにあるだって。」
暗夜王国に対する激しい猜疑心をもったタクミ伯父さんのハートを射止めたフェリシアは、ある意味すごい。
「ディーアあそこで何か見える」
目を凝らしてキサラギの見る方を見るが吹雪で見えない。
「熊じゃねぇな。」
ドシン。ドシンとキサラギとディーアの近くまで足音がした。キサラギは、弓で構える。ディーアも回復の杖を構える。叩く威力は、低いが慌てず急所を当てる気でいる。
「当たれ!!」
矢が物音のする方へ向かう。白い雪の塊が洞窟内で飛んできた。
「わわっ!冷たい」
「キサラギやっと見つけました。」
フェリシアの声がはっきり聞こえ声のする方に目線を向けると雪の塊をつけたフェリシアがいた。
「母上!!探しにきてくれたんだ!!」
「どうしてここがわかったんだメイドの母さん」
「キサラギの 使った矢をたよりに歩き回ったのです。そうしたら目の前で矢が飛んできて近づいてみればです。」
フェリシアは、キサラギとディーアを両腕で抱き締める。
「さみい。」
「母上冷たい。」
「氷の部族は、吹雪中へっちゃらなのです。これが二人を探した時の寒さです。屋敷に戻ったらおしおきです!」
フェリシアは、キサラギもディーアを離そうとしなかった。寒かったものの安心したのかキサラギは、能天気に眠ってた。
「ディーア君眠れないのですか?子守唄でもどうです。」
「いい。おやすみ」
眠るフリを何度もするうちにキサラギの寝息とフェリシアの体温に慣れたのか少し眠くなってきた。
起きた頃日が登り吹雪が止んだ。
「行きますよ。タクミ様。ジョーカーさん。ここにいますー」
フェリシアは、氷の柱を空高くに作ると大声で二人の名前を叫んだ。ディーアは、氷の部族の作品を間近で見る。
「おーい!!フェリシア!」
氷の柱の近くに金鳳鶴に乗ったタクミと聖天馬に乗ったジョーカーがフェリシアの手前で降りてきた。
「父上」
「冷たっ!二人とも心配した。帰るぞ」
「子供達が先に帰って。タクミ様私を後で迎えにきてください」
屋敷に帰ると先にお風呂に入ったあとでキサラギとディーアは、二人の父に正座で小一時間説教された。
「父上ごめんなさい。」
「なんで俺まで説教されるんだ。悪いのは、キサラギじゃねぇか。」
「うるせぇ。どんだけ心配させた。」
「キサラギ暗夜王国は、まだ安全じゃない。子供だけで氷の部族の村に行くのは、危ない。君らに何かあったら僕も辛い。」
「屋敷の近くの山だからよかったもののこの冬に山にはいるのは。もう子供だけで山にいっては、駄目だわかったな。」
長い説教を終わってフェリシアが布団を用意してくれたのでキサラギとディーアは、昼寝をした。
「タクミ様子供達が私が見ますからランチにしたほうが」
「フェリシア氷の部族の村に帰りたいことがある」
「えぇ。時々帰りたくなることもありますし。タクミ様にもゆっくり故郷のいいところを連れて歩きたかったですし。でもでも今はタクミ様にもキサラギにも安全に歩けるよう氷の部族の村に復旧したいですもの」
タクミは、フェリシアを抱き締めた。
「えっタクミ様」
「子供達が起きちゃうよ。フェリシアが一番歩き回って疲れてるよね。僕らも寝ようか。」
「タクミ様少し安心したら眠くふぁぁぁ」
「僕が用意するから寝よう」
眠りそうなフェリシアの手を繋ぎ寝室に入る。ひんやりとしたフェリシアの体温は、心地よくタクミは、眠りについた。