ファイアーエムブレムif 番外編 父になる1

ジョーカーと結婚したカムイが初めて身ごもった時のお話。ジョーカーは、少し不安定です。


なぁ。あいつーー家の貴族様のぼっちゃまだったってよ。

ーーーー今じゃ彼奴は、表向き死んだことになってだってよ。

―それじゃ死人の子供に押し付けちゃあう

――いらない子供に利用価値をあたえている俺ら優しい。


―ジョーカーさん貴方とこの子を育ってる自信がなくなりました。別れてくだー。

「うわぁぁぁ!」

「ジョーカーさん!ジョーカーさん!」
目の前に心配した顔をしたカムイがジョーカーを揺すり起こしていた。

「すごい汗です。はい紅茶どうぞ。」
タオルでジョーカーを拭いて紅茶を差し出す。それを飲むと紅茶の濃すぎる味と香りがくちいっぱいに広がり夢を見ていたことがわかる。

「カムイ様紅茶ありがとうございます。少し夢からさめれました。」

「よかった。」
ジョーカーの手を引き妊娠した腹に導いた。長年の思い人と夫婦になって暫くしてジョーカーとカムイの赤ん坊が懐妊した。喜ばしことでもある。同時にジョーカーは、夢でカムイと会うまで暗い過去の夢を見るようになってしまっている。

「ほーらお父さんの手暖かいですよー」

「痛。」

「ジョーカーさんが触れる度にこの子がよく蹴るから産まれてくるのが楽しみです。」

無邪気に笑う妻にジョーカーは、つられて笑う。



しばらくして妻は、子供を生むため秘境で療養することになった。

「はぁ……」

酒に手を伸ばし飲んで眠る。カムイが留守にしている間悪い夢を見ないようにしている。

「ジョーカーわぁ酒臭い!起きろ」

カムイの見舞いに戻ったタクミは、酒瓶を握り眠るジョーカーを揺すり起こした。

「カムイ姉さんがマイルームに来ている」

「…カムイ様!おかえりなさいませ」

カムイの言葉に反応したジョーカーは、酔いから執事スマイルでカムイを探した。

「タクミ様カムイ様は?」

「秘境にいるよ。ヒノカ姉さんとサクラが残ってる。あんたカムイ姉さんがいないからって部屋を散らかすなよ」

マイルームには、カムイの匂いが残る服をベットに敷き詰めて。酒瓶を何本も並べて。ジョーカーが不安さを表していた。

「カムイ姉さんが帰ったら見せられない。」
タクミが部屋を片付けだそうとした。

「タクミ様おやめください!!」

「たったの三分で酒飲むの早い!酔うのも早い!僕は、こっち!!」

マイルームにおいてある獅子舞の布をつかむジョーカーにタクミは、ツッコミをいれた。

「こっち向け。僕は、ここだ。」

首を自分の方に向かせる。

「しっかりしなよ!あんた執事としても戦士としても優秀でもあるのに。こんな姿をカムイ姉さんが見たらどう思うだろうね。あれ寝てる。」

タクミは、ため息をついた。日頃をおちょくるジョーカーにイタズラをしたくなった。ジョーカーの右の頬にいやら執事。左頬にカムイ馬鹿。額に性格悪。唇に紅を塗らせ。熟睡していることが分かると童心にかえり人形遊びを楽しむようにジョーカーの髪をほどきリボンの飾りと花の飾りをつけた。

「どうってことないね!」

口癖を言ってマイルームにある酒瓶を拾い集めてタクミは、退室した。



かー。ジョーカー。起きんか!

頭に拳骨されたような痛みを感じジョーカーは、かばっと起きた。

「ようやく起きたかジョーカー」

「ジジィどうやって異界に入った?それよりなんでジジィがいる?」

「そんなことはどうでもいい。そのだらしなさ情けない!」

「ちっ。無事なら連絡のひとつくらいよこしやがれよな!」

ギュンターに背を向けマイルームから出ようとするも扉が開かない。

「話は、終わってないぞジョーカー」

肩をがしっと捕まれた。

「風の噂で聞いている。カムイ様と結婚してもうすぐ赤ん坊が産まれるそうではないか。」

「ジジイ秘境に行かねぇのか?カムイ様にお祝いしに来いよ。カムイ様が喜ぶだろ。なら案内してやろうか!!」

「ジョーカーよカムイ様が嫌いか?」

「そんなわけねぇだろう。あの方を他の誰かを好きになっても執事として仕えると決めてるだ!!」

「赤ん坊が産まれた瞬間でカムイ様もお前も母親父親になっても。カムイ様を捨てた時は」

「おぃジジイ。カムイ様が母親になっても俺の主であり妻だ!!なんで俺の方から捨てる方になった!!」

頭がかぁとなり暗器でギュンター目掛けて投げる。がっ。暗器がギュンターをすり抜けて床に刺さった。

「血気盛め。」

「ジジイ。お前は、今どこにいる。生きているならなぜカムイ様の元へ戻らないだ。カムイ様の臣下が主から離れるなよ。」

「ジョーカーしっかりしろ。これからカムイ様の家族になる男が老い先短い老いぼれにすがりつくな。私は、もう色々無くされすぎて生きる執念も手元から離れすぎて戻ることは、もうできなくなってる。お前は、私と同じようになっては、いけない。世界でたった一人のカムイ様の夫がそんなことでは、家族が守ることができなくなる 」

ギュンターの手がジョーカーの頭を撫でる。武骨で大きくって安心感が込み上げる。手の感触に違和感を覚えた顔を上げてギュンターを見ると顔が引きつた。ギュンターの身体が透明になってきている。一肌が感じられない手が消えていく。

「なんで……一方的じゃねえか。勝手に消えるな……。行くなギュン……」

てー起きて……ーか…ん。声が聞こえた。
ガッン!

「いつまで寝てるだ!さっさと起きろ」


「ギュンター………。うわ!冷た!」

タクミがジョーカーを蹴り起こし。フェリシアが冷気でジョーカーを覚醒させる。

「目が覚めましたかジョーカーさん。」

「あぁ。」

弟王子夫婦の起こしかたが乱暴でジョーカーは、不満だ。

「姉さんが産まれそうなんだ。早く秘境に行くよ。」

タクミ様に手を引かれ妻のいる秘境へ大急ぎで向かった。
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ファイアーエムブレムif番外編 父になる2

「ジョーカーさん!………ジョーカーさん」

「姉様頑張って!!」

二時間も陣痛で苦しむ妻の手をジョーカーは、握る。

「カムイ大丈夫だ!私がついている。頑張れお母様になるだろう!」

「はわわわ。カムイ様呼吸を楽にふーふーふー」

巫女のサクラが祈祷をし。ヒノカが母になる妹に叱咤を。フェリシアがテンパりながら宥める。

「カムイさん大丈夫です!!」

手袋を外した両手で妻の手を包む。

「うぅぅぅぅ!あああああ!!」

「生まれてきてくれ!カムイさんにも俺にも元気な赤ん坊を守ってくれ!家族にさせてくれ!!」

「頭が出てきました。」

おぎゃー。おぎゃー。おぎゃー。


「元気な男の子です。」

産毛が母譲りのしわしわな生まれたてな赤ちゃんをサクラが抱える。

「ジョーカーのように性格が悪くなるなよ。姉さんよく頑張ったね。」

「おめでとうございますカムイ様。」

「お母様になれたなカムイ。」

白夜の姉妹と弟王子夫婦がカムイを労る。


「元気に育ってくれよ。お前は、お父さんの愛しい王女様から生まれた幸運で愛の証なんだぜ」

「ジョーカーさん面白い顔で言うとプクッ」

タクミのイタズラされたメイクを消す時間もなく生まれたてのわが子を抱き上げるジョーカにクスッと笑みをこぼす。

赤ちゃんの名前はディーアと名付けた。

夜に久しぶりに妻と布団を共にした。

「ジョーカーさんの匂い落ち着けます。ジョーカーさんを恋しがらない日はありませんでしたよ。」

「俺も嬉しいです。安全な秘境で添い寝が出来る日がきてくれたことが幸運です。」

タクミ様にイタズラされる以外は。黒いオーラを引っ込める。


「タクミに得意なことがあるのは、新発見でした。」

クソガキです。年下の男を被った風神弓野郎です。カムイさん。

「爆笑するから少し傷つきましたよカムイさん。」

「うふふ。ディーアもお父さんの面白い顔を覚えたじゃないですか。」

無邪気に眠るディーアを抱き締める。

「ジョーカーさん抱き上げてみますか。」

ディーアを両腕で抱き抱える。

「ふぇぇぇ!」

「わわわっ泣くな。ベロベロバー」

ディーアが上半身を反り返る。

「ディーアお父さんですよー。メイク消したから分かんないのかな?」

「カムイさん。俺世界に一人のディーアの父親になったんですね。」

「はい!私も世界に一人のジョーカーの妻でディーアの一人のお母様になりましたー。」

カムイさんがジョーカーに寄りかかる。

「カムイ様寂しかったです。ギュンター来ていたのにいつの間にいなくなりましたし。」

「えっ!ギュンター来ていたのですか?」

「えぇ。お祝いの一つもかけてくれてもよかったのですが」

「ディーア見せたかったな」

何故ギュンターは、星界の城に来れたのか。何故に消えてしまったのかギュンター。カムイ様に父のように慕われたギュンターの意味深の言葉が気になったが今は、妻の温もりを抱いて眠りについた。

結。白夜をベースにしたジョーカーが初めて家族になれた日のお話でした。ギュンターは、白夜じゃ行方不明で最後まで出なかったものの出しました。初めて父になるジョーカーを叱咤させれた。

おまけ

マイルームでタクミは、掃除をしていた。
酒の匂いとカムイの服をシーツのように敷いたのを片付ける。

「タクミ様。私も手伝います。」

「服を畳んで衣装箱に閉まってくれるか」

「はーぃ。あら。床が冷たい。」

「僕が拭くよ。」

フェリシアが服を畳むと酒の匂いが鼻についた。吐き気がした。

「フェリシア大丈夫か?」

「タクミ様大……うっぷ。」

手のひらで口許を抑えた。

「フェリシアほら桶だ。ゆっくりゆっくり吐いて。大丈夫じゃないよね。」

背中を擦り妻が心配になる。この間からフェリシアは、遭遇戦で立ちくらみを起こし賊に襲われかかれた。妻を防衛をしていたから軽傷で済ませた。

「フェリシア昨日すっぱいもの食べてたよね。」

「はい。ひんやりさせて食べました。タクミ様は、服を見立てるのがうまそうでしたね。私にも服を見立ててもいいですか。なるだけ緩くて暖かいのが着たいのですが」


「フェリシアそれは、妊娠したじゃないか。」

「えぇぇぇー。」

サクラの元へ診てもらったら。

「おめでとうございますフェリシアさん。妊娠三ヶ月です。」

フェリシアの近くで吹雪が吹いた。

「冷たい!」

タクミがフェリシアの後ろを抱き締めた。すると吹雪が激しくなった。

「寒い寒いです!」

「すいません。少し感情が高ぶりすぎですよね。少し離れます。」

「仕方ないな君一人で行かせないよ。僕も一緒に行くよ」

医務室から離れ人のいない森へ着くと吹雪が吹き荒れる。

「タクミ様凍えてしまいますよ。お父さんになる前に雪だるまになってしまいます。いった。」

フェリシアにデコピンする。

「大丈夫だよ。僕もフェリシアと喜ぶを共感したい。こうして抱き締めても君の冷たい体温に慣れている」

「私もタクミ様との間に赤ちゃんが出来てうれしいのです。見た目がタクミ様でお父さん大好きな明るい男の子がいいです。」

「フェリシアのように笑顔が多い子供であってもいいよね。お父さんとお母さんどっちが好きになるんだろうね。少し寒くなってきた戻って兄さん達に報せようか。」

「はぁーい。」

吹雪がいつのまに緩みゆっくりと舞い落ちる雪へ変わった。


「父になる2」終わり。






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