こんにちは! ものすごくお久しぶりです。このブログを書いてる人、ゆきおです。
あけましておめでとうございますを言う暇もなく新年明けて3ヶ月が経過してしまいました。
アレ? こんなはずでは…。入学やら就職やらで環境がガラっと変わった皆様も、わたしみたいになんにも変わんない人も、今年も一年張り切っていきましょう(と言いつつもう一年の四分の一過ぎ去ってるけどね!)


では本題!恒例行事になっていた2012年に読んだもので面白かったBL漫画ランキング大発表です。
去年は殆どレビューできなかったので、もう語りたいことがいっぱいあってランキング自体はちゃんと去年に作っていたんです… 嗚呼、言い訳。



ドラマティックな感じで10位!




去年西田東さんは結構な冊数出て、どれも面白かったのですが個人的にはこれがダントツ良かった!
今回はブラックな西田さんです。ので、ギャグは薄め。

高校教師の城田には高校時代からの付き合いのヤクザの友人・姫野がいる。
姫野は時折城田の家にやってきては、何ということもなく帰っていく。お互いの間にある「何か」をまるで避けるように……

というような導入のお話。
攻め×攻めっぽい雰囲気でブラックで、やるせなくて、「善悪って? 愛って何?」といろんなことを考えました。
どうやっても「悪い」世界から抜け出せない、一生「いい子」「普通の人」にはなれない、悲しい「業」を背負った姫野をどうしようもなく愛した城田が、姫野のために何を決断するのか……そこがお話のキモになっています。

西田さんの作品は決して言葉で多くを語らないのですが、キャラクターの表情が、切り取られたシーンが、描かれた風景が、いろんなものを語って、胸にせまるんですよね。
そこがすごく好きです。作風としてはすごく地味で、絵柄も若い子中心にあんまり好かれない感じだと思うのですが、西田さんの作品はどこまでも「恋愛」であることに真摯な作品なのでぜひ一度お試しアレ!
邪道に見えて、どこまでも正統派の作風だと個人的には思っています。
わたしはカップルのどっちかが駄目人間なパターンに大変弱いのでこのお話と「ディヴィジョン」が大変お気に入りです。「LIFE,LOVE」もオススメ。




9位



石原さんも去年は珍しく多めにコミックス出て嬉しかったなぁ!
石原さんはちっとも完結しない現在進行形の長編と初期のガチサイバーファンタジーと単発系が作品リストにグチャグチャに並んでいて手を出しにくい作家の一人だと思いますが、個人的にこの「LOVE的」は石原入門にピッタリの作品だと思いました。
お話はなんてことありません。
フツーに格好いい、ちょっと悪いところのある高校生の親友同士の片方がある日突然「俺お前のことが好きで好きでたまんねぇんだけど、このカンジってお前をやっちまいてぇってことかな?」と言う……というところから始まるラブコメディ。
BLにはよくあるお話で、王道中の王道と言うべきシチュエーションじゃないかな。
もー今まで何百という作家さんが自分なりの「親友が突然おれを好きと言った」という話を書いていると思うのですが、やはりそこは石原さんですね。
男の子がクソ格好いい。
でも、「なにこのスーパー攻め様…?」みたいなあまりにスペック高すぎてこっちが引くような格好良さではなくて、人間味のある、「なんか探したらこんな二人いるかもしれない!」と思うくらいのリアルさと「いてくれたらいいな」という理想が程よく、しかも絶妙にブレンドされているんですよね。
ふたりの会話や距離感も「好き」といわれた瞬間に乙女思考になるのではなくて、あくまでバカを一緒にやっている親友同士の距離感を保ちつつ、「恋愛」という要素がときどき見え隠れする。
「ああ男の子ってこうでなくっちゃ!!」って思うわけです。
男の子同士の恋愛でなくてはならない理由のすべてがここにある。
BLって、素晴らしいものですね。これは決して少女漫画では描けないお話です。
石原入門にも、BLの原点に立ち返る意味でもぜひぜひ!



8位



去年鮮烈にBL業界に現れた少女漫画からの刺客・緒川さん。
なんでも元々は花ゆめ系で活躍されてた作家さんだそうで(別名義ですが)
しかもご本人は双子の姉妹で姉妹も花ゆめで描かれている漫画家さんらしいです。
二重にビックリ。
(単なる噂なので真偽のほどは知りません。でもおそらく本当、かな?)

去年の暮れに出たリブレの18禁アンソロでも鮮烈な作品を描かれていて(これも大変よかったです。もはやバッドエンドレベルの痛々しさ。世界中に大切なものは相手しかいない系破滅BL)、痛い系のお話がお得意なのかなー?と思っていたのですが、先日出た2冊目の単行本「このおれがおまえなんか好きなわけない」はガッチリコメディで、こっちもすごく面白かったです。
いろんな作風を描けるマルチ作家さんでした。今後も要注目だと思います。

で、本題の「王子と箱庭」ですが、このお話は世話係がいるほどのお金持ちの子どもだった譲はある日、父の会社の倒産でお金持ちから一転、住む家もないその日暮らしのホームレスに成り果てる。
詐欺の片棒を担いだりして日々を暮らしていたのだが、ある時昔住んでいた豪邸を譲の世話係をしていた岩瀬という男が買い取って暮らしていると知る。
岩瀬を騙して金を盗もうとする譲だが、逆に岩瀬に捕らえられてしまい…?というお話。

監禁×主従×騙し騙され というなかなかハードな要素を詰めつつも全体としてはそこまで暗くなりすぎず、とても読みやすくまとまっているのが印象的なお話です。
どこまでも暗く陰鬱に描くこともできるテーマだと思うのですが、元々緒川さんの絵柄がかなり繊細でせつなげな雰囲気なのであんまり悲惨なことを描くとちょっとコワイくらいになってしまうので、とてもバランスがいいなぁ、と感心しました。
だからといってお話がナイヨーな雰囲気漫画ではなくて、ちゃんとキャラクターの心情を追って繊細にお話が展開していく構成は見事。
岩瀬の愛なのか執着なのかわからないけど、とにかく自分しか見ていない盲目にとろかされて、甘やかされて「期待」していく譲の感情の変遷には胸が痛くなります。

さすが他のジャンルで描いていた人だな、という感じでとにかく変形ゴマや時間のとり方、モノローグの挿入の方法がすごく上手くて、とにかく読ませる漫画。

また、同時収録の「断熱線上の鼓動」という前後編もものすごく良かった!
高校生同士のヒリヒリした感情を「境界線」というモチーフを上手く使って印象的に描いておられました。
緒川さんはすごくセンスがよくて、出てくる小道具とかキャラの履いてる靴とか、オシャレで好きです。

攻めがどっちもヤンデレチックなのもほの暗い雰囲気に一役買っていて、良かったなぁ。

ちょっと痛いくらいのお話が好きな方にオススメです。




長くなってきたので続きはまた今度!