こんにちはー!やるやる詐欺になりそうになっていましたが前回宣言しておいた個人的な「このBL漫画がすんばらしかった2011」発表会です。
……いやぁ、私のが発表される前にいろんな方のが発表されちゃって、「アレ わたしのとかお呼びでないんでは……(苦笑)」と思ったのですが、私の意見がお呼びでないのはいつものことなので 気にせず個人的なの発表しまーす!
ドラマティックに10位から。
10位
……草間さんの単行本は今年たくさん出ましたが、その中でも私は「真昼の月」とこれがお気に入りでした。
「真昼の月」は去年のランキングで紹介したので、ということで除外して「どこにもない国」がランクインです。
この本は、草間さんの作品の中でもちょっとジットリした……草間さんのフェチ全開の笑 本になっていると思います。
なんたって表題作の舞台設定が第二次世界大戦末期の南国の島(たぶんラバウルとかそんなところをイメージされているんだと思われます)。
軍内で問題児扱いされている早川は上官の竹内に殴られながら「この人に殴られる瞬間が好きだ、彼の手が震えているのも 泣きそうな顔を見るのも俺だけで 不思議と二人しかいない気がする」と思っているのです。
殴られる瞬間が好き、二人きりの気がするから。
たったそれだけの心象描写なのに どれだけ早川が竹内に執着しているのかがわかる。さっすが草間さんだなー!と読んだ瞬間 震えたのを未だに覚えて居ます。
こういうちょっとねじ曲がった「好き」が私は大好きだ!
そういうのが「…?」って人には合わないかもしれませんが、悪い事は言わないので是非読んでみてください。
直接的にエロいわけでないのに、限りなくエロスです。
匂い立つような色気のある作品です。
表題作なのに短めで、続きないんですか?とちょっと涙目になったヨ。
9位
……完結しちゃった……というのがまず最初の感想でした。
楢崎さんの描くチーズ屋オムニバスラブ、最終巻です。
今作はオムニバス、と書いたように3カプの恋模様を交互に描く仕様になってまして、皆さんそれぞれお気に入りのカプがあったと思うのですが、個人的にはそのカプは岩塚×タクローでした*
前巻までで 一応二人は恋人同士にはなっているんですが、根はマジメだけど本来は女好きのドノンケのタクローをゲイの岩塚が押して!押して!土俵際まで押し切って、押し出したー!って感じで付き合い始めているので岩塚としては「……俺のしつこさにタクローさんはほだされたんだ」という気持ちがずっとあって、恋人同士のはずなのにどうにも甘くなりきらないところがあったのですが5巻ではついに!!タクローも岩塚に完全にオチ笑、岩塚に甘えたり、岩塚を想ってひとり○○○したり笑するところまでいきましたよお姉さん!
感涙。
完結は寂しいですが、これからも同人誌でチョコチョコ描いてくださるそうなので、ゆっくりじっくり このシリーズに浸っていたいと思います。とりあえず、完結、お疲れ様でした*
8位
……完結おめでとうございますその2です(3つ中2つ完結という笑)
本物の「このBL〜」ではご祝儀ランクでしたが私はわりあい冷静に……だけどやっぱりご祝儀でランクインさせました←
いや、このシリーズはだいすきなんですけど、和記がらみのカプにはあんま萌えなかったっす…。いや、今までのカプが強すぎて、和記編のハードルが上がりすぎてたんだろうなぁとは思うんですけど。
ドラマCD最終巻の初回オマケのプチコミックスでの守夜×隆成が今年の「是」で一番萌えたかもしれません笑 あ、でもコンプリート全員サービスのペーパーが一番かな(どっちも守夜×隆成というオチ)
いや!だってこのカプめちゃくちゃ好きなんですもん。
悪い事は言わないのでまだ「是」を読んだことない皆さん、最低でも6巻まで一気に買ってきて読んでください。ここまで読んではまらなかったら、私 全力で謝ります。
でも絶対はまると思うので私が全力で謝る日は絶対に来ないですけどねっ(←なんか腹立つこの感じ)
1〜6巻のカプにはBLで萌える要素の殆どが網羅されておりますんで ほんと オススメでございます。
和記ディスりみたいな感想を書きましたが笑、志水先生 長い物語を描ききってくださって本当にありがとうございました!またどこかでチョコチョコ復活もあったら嬉しいなー(ボソ)
7位
……ベテラン・高久さんの久々のスマッシュヒット作が今年の個人的7位です!
これ、本家での紹介のときも書いたんですけど高久さんのちょっとせつなげっぽく見えるこの絡み表紙……サギですね笑!いや、普通 表紙サギって中の絵柄と表紙のカラーで絵のクオリティが違いすぎることを言うじゃないですか。
でも、これはそうじゃなくて「切なげな表紙のくせに中身はアホ!バカ!」、とそういうサギです笑。
でも「どこまで高久さんは本気なのだろう」と息を呑む謎の真剣味があって余計おかしい。
見所はいろいろありますが、背景にチョコチョコ出てくる「ポスター」これに注目することをオススメします。
理由?……それは読んだらわかりますから!
個人的に今年のギャグ大賞です。
6位
……今年一番 大人のエロスだったで賞、です!
いやー「大人の」エロスでした!
いつもの井上佐藤さんの作品のエロ度を考えると直接的なエロ度は少し下がったかもしれないんですが、キャラの心情・すれ違い・もつれる恋愛感情の屈折ぶりが本当に「エロス!」だったのです。
大人だから簡単には好きな人に「好き」とは言えないのです。
好きと言えない、というか自分が真っ直ぐに相手を「好き」と言う資格があるのか、この気持ちを「恋」と呼ぶのか それすらもよくわかっていない面倒くさくてややこしい大人達がとにかく せつなくてかわいくてエロス。
「それを恋といわずになんと言う!!」と終始叫びながら読んでいました。
個人的なシュミで僭越ですが、「恋を素直に恋と言えない大人」が私、三度のメシより大好きです。
お前ら美味しすぎるだろうっ!!
どうやらシリーズとしてはまだ「続く」みたいなので本当に嬉しいです。
来年 単行本になるのかな〜*
5位
……今年もう一冊出ました「恋まで百輪」のスピンオフ…なんですけど、個人的に断然こっち派!!
「恋まで〜」読んでなくても普通に読めます。私、「恋まで〜」内容すっかり忘れてたんですけど 普通に読めました(ちゃんと恋まで〜も読み返して記憶は取り戻しました大丈夫です)
ちょっと今作のあらすじを書いてみますと
ちょっぴり過保護な家に育った譲は中学の頃 怪我でボロボロの高校生・鷹尾に一目ぼれして彼を家庭教師にするのだが、いろいろな行き違いがあって程なく二人は会えなくなってしまう。
しかし、お金が大好きだった鷹尾のことがどこか呪いのようにあったお陰?で譲は株で成功。預金60億円の億万長者に。
そんな折、譲は ひょんなことから十年近くぶりに初恋の鷹尾と再会し……というお話。
初恋の鷹尾をどこか呪縛のように引きずり続けていた譲とそんな譲に突然 粘着され、困惑するお金大好き 性格ひねくれの妻帯者・鷹尾という一風変わったカップリングなのですが、二人が自分の中のトラウマや問題と向き合っていく過程が二人の恋模様と絡まって描かれていて、「どうしてこの二人が恋に落ちるのか」という、ぼーいずらぶで一番重要な部分がガッチリシッカリ描かれているのが本当に素晴らしい作品です。
「どうしてこの二人が恋に落ちるのか」……そこさえちゃんとしてくれれば、どれだけ突拍子もない設定でも大掛かりなことがあってもリアリティがあるんだよなぁ、と再確認した次第です。
ギドさんは一般のほうが活動の中心みたいなので寡作気味ですが、これからが非常に楽しみな作家さんです。来年も単行本いっぱい出ないかなー
4位
……いやーこれ最初に読んだときに「夏水さんの漫画でいちばんすきかもー!」とハシャいだのです。
それくらい好き!
というわけで今年の4位。
今作は「仕事のデキる営業マン・林は みんなの間で"あの人はホモだ"とほぼ確信的に語られていた 清潔な雰囲気のある美丈夫・篠原となんやらわからないが、酒の勢いで"間違い"をおかしてしまった。ドノンケの林はその事実に真っ青になるのだが……」というお話。
林は動揺しながらもちゃんと篠原に気を遣ったり、心配したりしていて ノンケのモテ男だけあって、人間関係のいろはをよく心得てるなぁ〜と思わず頷いてしまった。
私、ノンケ攻めの「男相手のことは不慣れ感丸出しだけど 人間関係の調整には高いスキルを発揮する」瞬間がものすごく好きだ!!(……なんたるピンポイント萌え)
……まぁ、なんやかんやあって「間違いをおかしてしまった」事件は誤解だったことが判明するんですが、林は自分の事が好きだ、と健気な篠原に対して「俺はホモじゃないが悪い気はしないな〜でも時々 この人可愛いから困る」とお前なんてズルイ……いいとこ取りしようとしてんだ!という微妙に性格の悪いことをずっと考えていて そこが確かに性格悪いんですけど、Sくさくて妙に好きです。
性格悪い攻め萌え。(私は結構攻め萌えです笑)
受けの篠原さんはいつもの夏水さんらしく、仕事はデキルが妙な色気と可愛さを兼ね備える「BL最終兵器」受けです笑 乙女が萌える受け要素全部盛り。おまけでスーツ。
ほんと、健気でかわいいのでドノンケがおちるのも納得です笑。
しかしさりげなく林の「胸板が厚くて素敵だな」と思うなど、ドゲイなことを滲ませていて、笑ってしまいました笑
夏水さんの作品はところどころパンチの効いた「笑える」シーンがあって、そこも大好き。
あざとい笑いじゃなくて、物語に沿ったカタチの自然なシーンなんだけど、妙におかしい。
とにかくおもしろいのでノンケゲイ好きさんには自信を持ってオススメ!ドラマCDも出るんだって!私もちょっと聞きたい。
3位
……もしかしたら今年最も読み返したBL本かも。
それくらい読み返してニッタニタしてました。
常に本棚の最前列だったなぁ〜(あ、現在進行形だった)
今作は「営業マンの榛名の使命は小規模な酒蔵ながら、知る人ぞ知る絶品の日本酒を作る酒造との取引を取りつけること。しかし、頑固な蔵元は全く取り合ってくれない。そんなある日、会社にシステムのメンテナンスに来る業者の男・中川が蔵元の孫であることを知る。前から中川のことを「いいな」と思っていた榛名はこれをキッカケに中川と距離を縮めたい、と思うのだが……」というお話。
今作はとにかく主人公で受けの榛名が非常に可愛くてでも男前で真っ直ぐで、すごく気持ちのいいキャラクターなのが本当にいい!です。
中川のつれなさにへこんでみたりも確かにするんですが、それでも七転び八起きの精神で「でも俺はやっぱり中川さんが好きだから」と立ち上がる姿に思わず「榛名がんばれーっ」と思いながら読んでました。
対する榛名のお相手の中川もいろいろしちめんどくさい性格ではあるのですが、本当にいい男で 簡単には榛名を受け入れないのは「自分は好きな相手を縛ってしまう、遊びで付き合うとか軽い気持ちから始める なんてことは出来ない、だから」というところに「コイツ……っクールに見せかけて本当はめちゃくちゃ熱い男じゃねぇか…!」とものすごくたぎります笑
クールな男が実は独占欲が強いの、凄くすき!
いま今作は2巻まで出てまして、今年でたのは2巻なのですが1巻でくっついた二人の甘くて酸っぱい「その後」となっております〜。いやぁ、1巻の内容が素晴らしいカタチで深化していて、これには私 禿げるかと思いました!笑
いろいろ見所はあるんですが、2巻の最初のお話で中川が「お前はどこの高飛車な女だよ」と言いながら榛名のある部分を叩くのがミョーに色っぽくてだいすきです!
え、それはどこだって?……そんなの読んだときのお楽しみに決まってるじゃないか!!
2位
……はい!イサクさんの最新作がランクインです〜!
これ、私雑誌派なので単行本出る前からずっと「いいぞぉ、飴パラは萌えるぞー」と布教を続けていたんですが、考えてみたら殆どの人はイサクさんは作家買いですヨネー(ダヨネー)
いや、でも今までのイサク作品の中でも飴パラは最萌えでした。
あらすじとしましては、「週刊誌の記者の尾上は政治班から突然張り込み班にまわされてしまう。張り込み班、とは雑誌の中でもパパラッチ的な要素が強い、スキャンダル関係のスクープを掴む事を仕事にしている取材班。しかも張り込み班には尾上と同期でずっとライバル視し続けていた男・蕪木がいるのだ。
絶対アイツとだけは相容れない!と思っていた尾上だが、なんと尾上は蕪木とコンビを組むはめになってしまう。尾上以外にはミョーに外面が良いのに蕪木は尾上の前では何故か傍若無人の無愛想。まともに仕事の段取りも教えようとしない。死ぬほどムカツクのに、蕪木の新しい面を見るたびに、尾上の頭の中は蕪木に占拠されてしまうようになって……」という感じ。
とにかく喧嘩の多い二人です笑
だいたい喋ってるときは喧嘩をしている、それくらい喧嘩!
でも、お互いにお互いの本音を100パーセント出している、という意味では二人は信じられないほど呼吸が合う二人なんでしょうね。
二人のこの喧嘩ぶりが非常に可愛くほほえましいです。
加えて、二人がどう恋に落ちていくのか、というのがケンカップル成立においてすごく難しいところだと思うのですが、そこはイサクさん まったくぬかりなく!自然でものすごくときめくカタチで描かれおります。
蕪木の知らない部分を見て どうにもいつもと感じが違う反応をしてしまう尾上、その顔に不覚にも驚き 心を動かされる蕪木 という双方向的「なんだそれ、いつもと違う」。
ケンカばっかりだったからこそ、いつもと違う戸惑いの表情に驚き、心が動いてしまうんだろうなー。
これはほんとときめきますから、読んだ事のない方いましたら是非是非!ケンカできるっていいなーとニッタニタしました。
1位
……はいっ!バレバレでしたがこれです。
今年の最後の最後にクリプレで出た「花は咲くか」もあったんですけど、あまりに年末すぎたので除外 ということで。
最近の日高さんの作品のレベルはBL漫画の中でも「別格!?」ってくらい高くて、こういうランキングに入れちゃダメかもしれない とすら思うんですがでも好きだし語りたいので気にせず入れてしまうのでした。
2巻に好きなシーンはたっくさんあるんですけど、3つだけチョイスして語ります。
1.11話「深夜、桂木の部屋を訪ねた暁人が"絶対に誰にも渡さない"と桂木を抱きしめるシーン
…いやぁ〜、もうぶるぶるしました。
「絶対に」という一言を噛み締めるように言った暁人の気持ち、触れた場所から伝わってきたいろいろなものに思わず頬を染めた桂木に「うわぁぁぁ」ってなりましたよ!(だめ!うわぁぁ、とか叫び声で話をまとめたくないのだけど うわぁぁとしか言いようがない!とにかく震えた。そういうことです)さりげないけど、桂木の気持ちが変化していることがこの「頬を染める」ひとコマでわかる。
日高さんかみさまやー……。日高さんの心理描写の細やかさにはいつもうっとりします。
2.13話「僕の一部が死んでも 残りがお前の側にあればいいんだ」「……いいわけがない。暁人様は私などとは違う」
少し離れたシーンなんですが、その後の「わかってるんだ あいつがこんな古い家に縛られているのはおかしいって。わかっているけど だけど…それでも側に居て欲しいって思うんだ」まで含めて机をバンバン叩いた!
二人はお互いがお互いを想うゆえに、「自分が相手の側にいるのは本当は相手のためにならない」と思い合っているのです。
そのすれ違いのせつなさに、本当に震えました。
なんだよぉ、結局 暁人も桂木も大切なのはお互いだけなんじゃないか!
自分自身が幸せだったり心地よかったりってことよりも相手がどうなのか相手が自分のことによって何か損なうようなことがないか そればかりを気にして、「相手が一番望むこと」が見えなくなっている。
ああーなんてせつない!
しかし、二人がそう思うこともわかるのです。
それほどまでに旧華族のしがらみは深く、根を張っている。
どうしたら二人が幸せになれるんだろう……と読むたびそればかりを考えてしまいます。
3.「お前たちは矛盾の塊だな。言っている事とやていることがいつもバラバラだ」
「声を出したら 全部 溢れてしまう 全ての感情が溢れ出して きっと最後に本音を言ってしまうのかもしれない」
もうなんと言えばいいのかわかんないほどときめきました。
桂木の脳裏に過ぎった石崎の言葉と、言えなかった言葉。
本当は「声を聞かせて」という暁人に応えたかったけれど、声を出したら ただ声だけじゃなくて、心の中の言ってはいけないことまで溢れる気がして 言えない。
この部分は多分 泉鏡花の「外科室」という短編のオマージュだと思うんですが(ちなみに「外科室」は明治時代、と医師の高峰は ある伯爵夫人の外科手術を行うことになったのだが、伯爵夫人は頑なに"麻酔をかけることを拒否する。その理由は、麻酔をかけられれば心に秘めた想いを言ってしまう気がする、だから嫌だ"というものだった……というお話)
考えてみれば、「憂鬱な朝」での桂木の心情 というのはこの「外科室」の伯爵夫人のものとよく似ていて、日高さんがいつこのシーンを入れる事を決められたのかはわからないんですが ものすごくセンスのいい、素晴らしいオマージュだなぁ と本当に感動しました。
「外科室」もロマンティックで切ない素晴らしい短編ですので未読の方は是非!
とにかく、言葉は吐き出せないまま暁人を受け入れる桂木がせつなくて痛々しくて、震えました。
人間って、最大限にときめくと震えるんですよ!それを「憂鬱な朝」3巻で知りました。
えー、アホほど長くなりましたがこれで今年のこの漫画が素晴らしかったおしまいです!
あまりに多い候補の中からなんとか10コに絞るのが本当にたいへんでした。
年明けくらいにはトップテンには惜しくも入らなかったお勧めについて書きたい……んですけど書けるカナ。
でも「花は咲くか」3巻のことも書きたいなぁ。
書きたい事はあるんですが時間がたりないー。というわけで今年も一年 本当にありがとうございました!素敵な新年を!(気が早いな)