スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

「NATURAL DOGGY'S DIARY」寿たらこ レビュー


シリーズスタートが2008年ということで、寿さんの作品としては結構新しめのもの。

セクピス6巻の絵柄ですね〜。


個人的にはちょっと前の絵柄のほうが好みですが、「なちゅらる〜」にはこちらの絵柄が合ってるかも。





■あらすじ■

(裏表紙抜粋)


専門学校生の花咲椿は三人兄弟の末っ子。

時々 長男・冬時の経営する動物病院で受付のアルバイトをしている。

ちょっと奥手な椿ですが、最近気になる人が出現。

フレンチブルドッグの飼い主さんで高校生の妙典忠義くんだ。

だけど、彼の気持ちは椿の兄・桜に傾いているみたい。

落ち込む椿を忠義の兄・正義が口説き始めて…!?


■レビュー■

あーやっぱ私、寿さんの漫画好きだわっ と思う。

なちゅらる〜はあらすじにも書きましたが、動物病院が舞台のラブコメです。

人間キャラもいいですが、今作の最大のポイントはやっぱりどーぶつ!

椿の兄で動物病院の院長・冬時の飼い犬でミニプードルらしいチェリ(いつもプルプルきらきらしてる)、正義・忠義兄弟の飼い犬・ブルドッグのジュニアが主人公ら人間キャラの恋路について語らったり、可愛い間を入れたり、ほんと犬なしで語れない作品。

可愛いなぁ〜v

人間さんたちの恋路はまだはじまったばかりすぎて余り言及できませんが、ラストのヒキが極悪でした(苦笑)


寿さんってどうして ああも乙女心をくすぐってくるんでしょーか!


ずるい、ずるいよ…
(´Д⊂)


と、思っていたら来たる12月末、クリスマスが終わった頃に二巻発売ですよ!
いやはや、なんたる吉報。

動物好き、コメディー好きに特にオススメですので、二巻がでる前の今のうちに是非〜!




「hand which」鈴木ツタ レビュー




あれ、私ツタさんの漫画ものすごく好きなのに今まで殆どレビューしたことないぞ!と気づきました。


私のレビューってなんでこんなに手薄な感じなんでしょう。自分の積み残しの量に非常にガッカリです


って、そんなことどうでもいいじゃないか!というわけでとりあえず収録作品紹介します。






■収録作品■

・hand which
・シェイク ア ハンド
・正味なココロ
・正味なコトバ
・お世話になります
・半径10メートルの引力
・直接上にして8メートル

■表題作あらすじ■

一流企業に勤めていた沢津。会社を辞めたら彼女にフラれ、泣きっ面に蜂のふんだりけったり。
でも沢津には自分を慰めてくれる大学時代からの気のおけない友人がいる。
「俺はホモになって女を滅ぼすっ」なんて言いながら酒を飲んでいたら友人一同に慰められて、穏やかな気持ちで眠った沢津。
目を覚ますと、ハダカの自分の隣にはこれまたハダカの友人・宇高が…!
あれ、俺マジでホモになったの…!?


■レビュー■

表題作とそのスピンアウト的作品「シェイク ア ハンド」、お惣菜屋さんの店長×偏食リーマンの「正味な」シリーズ二作品、家政婦×横暴絵本作家の「お世話になります」、ショタ画像サイト管理人×彼のお隣りさんの家事手伝い君の連作「半径〜」と「直線上〜」というラインナップ。


つまり、シリーズが4作品収録されております。


全部のお話について書くと万里の長城並に長くなるので表題作シリーズと個人的お気に入りの「お世話になります」について感想というかレビューというかを書いてみることにしますっ


■hand which

あらすじ書いたのでざっくりいきますが、ノンケ×ゲイ!!
今まで何度となく言いましたが 私、ノンケ×ゲイの話が三度の飯より好きだったりします。

特にゲイがネガティブでノンケがポジティブシンキングな根明君だと最高です。

そしてこの作品はその条件にバッチリはまっております。なんだこれ、俺得!?というわけで私の中でこの作品はかなりひいき目で見られています←

私と同じ趣味の方は光の速さで購入されたし。

最後に「ノンケ×ゲイとか興味ない」方用のオススメポイントを挙げておきますと、受けの宇高くんが死ぬほどかわゆいです。

特に泣きながら震えているところが私の心臓にストライクでした。なんだこの可愛い生き物。

そしてそんな宇高くんをお相手の沢津が溺愛しているのがこれまた素敵!おバカなお話ですが、そこがいいんですよね〜


■シェイク ア ハンド

表題作品で沢津と宇高のお友達と登場していた高田と黒島のお話。

あっけらかんと高田が言った「いやー本物は違うね!」の一言に腹がよじれかけました…!
え、何が本物と違うんだって?

そんなことを乙女に言わせないでください(笑)

ちょっぴりビッチな受けってなんでこんな素敵なんでしょーね。


■お世話になります

カップリングは先に書きましたが、絵本作家オヤジ受けです。
このコミックスで一番ツタさんの萌えが表れている作品だと思う!

絵本作家のくせにオッサンでかつ俺様横暴系!でも受け。

そんなお話を描いちゃうマイナーの国の住人のツタさんが妙に好きです。

ツタさんの漫画はハッキリ言って萌え方向がマイナーなんですが、地雷レベルで嫌いなカップリング以外は食わず嫌いしないでかじってみることを勧めたい。

ツタさんの美麗な絵にダマされて← 読んでいるうちにいつの間にか新しい扉が開いていることを約束します(それってどうなの)


■これがツタさんの初コミックスだったのか!と今更ビックリ。
同人が長い作家さんって本当にレベル高いなぁ、と思う。


ツタさん的萌え〜最近のツタさんはあまり描かれないショタの風を感じる作品まで幅広いので、ツタさんの本は読んだことないって方はぜひこちらからどうぞ〜


+余談ですが、この頃のツタさんって、「最遊記」の峰倉さんの影響を随所に感じます。
トーンワークとか目とか輪郭とか。

続きを読む

「水城せとな The best selection」水城せとな レビュー




水城さんの漫画って凄く濃いよなーと思う。


少女漫画だから恋の話なんですが、何かしら胸にグサっとくる、考えさせられるものがあるのです。


ただ主人公に感情移入してハラハラしてりゃー終わる話ではない。


それを「小難しい」とか言われちゃうと、もうそれ以上何も言えねぇな、と私は口をつぐむしかないのですが 個人的に「単純なラブでおわらない」ところが水城作品の最大の美点だと思うのです。


こちらの短編集は約10年前の作品、ということで絵柄とか絵柄とか絵柄とか(笑)今と違うところは多々あるのですが、水城さんの作品に流れ続ける「ただの恋で終わらない物語力」は健在で、非常に読みごたえのある作品集になっています。





以下作品ごと。


■ストレイシープ

精神医学を学ぶ研究者の亜衣。
いつものように勤め先の研究所に出勤すると、所長で師の水原から地下にある診察室でファイルの整理をするよう命じられる。

牢獄のような小さな部屋がある地下で指示どおりファイルの整理をしていると、見たことがない青年がこちらに向かって歩いてくる。

亜衣が彼に声をかけようとした瞬間、地下から地上に上るドアが壊れ、二人は地下に閉じ込められてしまう。

この研究所に隠された秘密とは…?というお話。

ネタバレしてはいけないのでレビューするのが難しいですが、思わずゾクっとするお話です。

読みながら、バニラスカイという映画を思い出しました。精神と肉体に纏わるサスペンスです。

私はラスト5pでゾクゾクがMAXに達しました。水城さんってきっと読書好きな方なんだろうなぁ。


■最後の晩餐

あらすじは書きません。だってネタバレなんだもの!
読みながら、藤子F不二雄先生の「ミノタウロスの皿」という作品を思い出しました。
この最後の晩餐は、ミノタウロスの皿と視点が逆だけど全く同じネタを扱っています。
こちらを読んだらF先生のミノタウロスの皿も是非ぜひ。

「ミノタウロス〜」を読んだ方は、少女漫画的感性でミノタウロス〜を描くとこうなるのか!と感心しきりだと思います。実際私は「なーるほーどー!」とずっと言っていた。これはオススメです。


■そこは、眠りの森

心に傷を負って以来、身体が成長を止めてしまった結衣。怪我をし、記憶喪失になった男を拾ったことから彼女の心に微妙な変化が起こりはじめ…という話。

これまたネタバレになるので多くは語れませんが、これをハッピーエンドと思うか、おっそろしい物語だと思うかは読んだ方によるんだろうなーと思う いろいろ解釈分かれそうな一作。
私が水城作品を愛してやまない理由はいろいろありますが、水城作品の「ハッピーエンド」観が好き、というのも理由のひとつだったりします。
シビアで苦いのですが、やっぱりそれは「幸せ」な幕引きなのだと思う「大人のハッピーエンド」。

これは是非一度味わっていただきたい限りです。


サスペンス好きの方にピッタリの短編集ですので、読書好きの方にも良いと思います〜 ぜひぜひ。

「イルミナシオン」ヤマシタトモコ レビュー




ヤマシタさんの短編集。


毎度言っている気がしますが、ヤマシタさんってなんでこんなに短編うまいんだろう。


以下一作ごとだよ!長いよ!






■イルミナシオン

表題作。
ホモでもないのに昔馴染みの小矢にずっと片思いし続けてる幹田、そんな幹田に惚れてしまった居酒屋で出会った「誰にも好かれない嫌われない」ゲイの州戸、幹田の想いビトで恋愛に適当な小矢の三人にそれぞれスポットを当てつつ ゲイとノンケの壁、好きでもそれだけじゃダメ…という複雑な恋愛模様を描いてます。


ヤマシタさんの作品のなにが好きって、BLの文法に則ってないところが好きです。

男が男を好きって変なこと だ、というその感覚が好き。

様式美も嫌いじゃないけど、それと同じくらい様式美に逆らった話が好きなのです。

イルミナシオンは人によっては「なにこれバッドエンド!?」と思うと思うのですが、私はそうじゃないと思っている。

くっついてキスして抱き合って終わってなくても、これはハッピーエンドなんだと思う。



■ラブとかいうらしい

この人たち何してんの、とまず思う。
だってクソ寒い中、ベランダで膝抱えて座っているのだよ?何してんだ、と思うよね?

で、なに話してんだと思ったらゲイの奴がナゼに恋人と別れることになったのかという話。

ヤマシタさんってナゼこんな「ありえない」話をめちゃくちゃありふれた石ころみたいなシチュエーションとして描けるんだろう。
この辺りが好きか嫌いかがヤマシタ作品を好きになれるかの境目なんじゃないかと思う。
「ラブとかいうらしい」がアリな方はヤマシタ作品を愛する素養があると私は判断すりゅ。


■ばらといばらとばらばらのばらん

ヤマシタさんお得意の素敵女子とダメゲイのお話。

作中、「わたしはもしかすると一生に一度もこんなふうに恋することはできないような気さえした」というモノローグがあるのですが、ヤマシタさんの描く男の子の恋のカタチをよく表していて秀逸。


この一節を読んでわたしは、女子である自分には到底できそうもない恋をする男の子の姿を見たくてBLを読んでいるんだな、と強く思った。


個人的にものすごく好きなお話。


■あの人のこと

BLというか短編小説なお話。何を語ってもネタバレなのであえて語らないでおきます。ものすごく短いお話であることに、読み終わって気づいた、とだけ書いておきます。


■神の名は夜

なんとこれ、ヤマシタさんのデビュー作品なんだそうです。

あとがきでヤマシタさんも書いてますがものすごく青年漫画の文法で書かれてます、が ヤマシタさんの萌えに全く妥協しない感じが凄い(笑)

恋と暴力と執着と…いろんなものがカオス。

やおいヤクザじゃないのが個人的に好き。


そして書き下ろしが本編の暗さを蹴散らしていて痛快。ヤマシタさんに一生ついていきたいとおもう(完)
続きを読む

「作品ナンバー20」えすとえむ レビュー



懐かしいもの発掘シリーズその3


かなり自己満足企画ですね、これ… なんかすみません(´・ω・`)

でも暫く続くんだな!






■レビュー■


芸術的でハイレベルな作画と個性的なストーリーでファンの多いえすとえむさんの短編集。

えすとえむさんの作品はなんとなく、異国の風を感じるものが多いです。アーティスティックなbassoさん、みたいなイメージ。

ヒゲ・長髪・オッサン好きは必携では。


以下作品ごと。


■作品ナンバー20


絵画修復士のモーリスには特別な思い入れのある作品がある。
オリヴィエという画家の描いた世界で一番有名な下絵、「作品ナンバー20」
そこに描かれた裸の青年に恋をしたモーリスは修復士になったのだ。
そんなモーリスの元にある朝一本の電話がかかってくる。
「作品ナンバー20が見つかったかもしれない」
下絵でしかその存在を確認されていなかった絵がついに見つかった。
絵の表面に生えていたカビを落とすと現れた美しい青年の姿に「やっと会えた」という思いを抱くモーリス。ところが次の瞬間 絵に描かれていたはずの青年が絵にいない。
驚くモーリスの前に、子供の頃から見つめ続けてきた「絵の中の青年」が絵から抜け出して現れ…? という話。

この作品はもう絵の勝利!と言って過言ではない作品。えすとえむさんのアートな絵柄がストーリーにとにかくピッタリ。
絵から抜け出た青年・イヴは絶世の美青年という設定なのですが、それも全く違和感なし。読みながら「ベニスに死す」の青年が二次元で描かれたらこんな感じなんじゃないかなーなんて思いました。冒頭の「眼」の表現なんて 本当惚れ惚れします。
BLというより、一つの短編作品として非常に完成されていて美しい。えすとえむさんの作品は映画のような濃密さがあってとても素晴らしいです。


■ジャストノットライクアメリーゴーランド

遊園地でメリーゴーランドの制御士をしている稔。
ある日偶然長年の友人・圭が息子を連れて稔の勤める遊園地にやってくる。
圭は現在離婚調停中で息子とは週イチでしか会えなくなるのだという。
稔はそんな圭に長年片思いをしていたのだが…というお話。


短いお話なのですが、なんともいえない切ない哀愁があってとても秀逸な一作です。大人の恋って静かなんだけど、長く引くもの というのが私の持論なのですが、まさにそんな恋愛です。ハッキリ好きと言ったり抱き合ったりするわけではないのですが、そこが逆にいいんですよね。
余談ですが、えすとえむさんって馬がお好きなんでしょうか?馬の絵が恐ろしいほど上手いです。


■ラスゲアード

フラメンコダンサーのヘスス。お金を貰えば誰とでも寝る彼には密かに好きな人がいる。フラメンコギタリストのアルバロ。
彼は一流のフラメンコを見せる店をクビになり、場末の店に移ってきたベテランギタリスト。
言えるはずのない気持ちを抱えていたヘススだが、ある日のショーの最中に下品な言葉を投げ掛けた客にヘススは切れ、アルバロに嗜められる。
「お前は何様のつもりだ。客になんてことをする」
「こんなところで何もわからない観光客相手に本気で踊る意味なんてない」
ヘススの言葉にアルバロは「金を払うから本気で一晩踊れ。俺が客だ」と言い…?というお話。

こちらも「BL?」と思うようなお話。確かに恋愛の話ではあるのだけど、恋愛よりもっと深い部分に踏み込んで、いるような。
何故店では本気で踊らないんだ、と尋ねるアルバロにヘススが「怖いんだ 皮膚も肉も骨も全部なくなって心臓だけ人前にさらすみたいで」と答える、というシーンがあるのですが フラメンコのことはよくわからない私でも思わず震えました。フラメンコって、踊るってそういうことなのか。身体を覆うもの全て失って本当の丸裸になる行為なのか、と。これはもう映画です。素晴らしい。


■en el parque

あらすじはうまく書けない気がするので略!おそらくドイツがユダヤ差別をしていた頃を時代背景とした作品なようです。
結構たくさんあるBL界のタブーのひとつに「病気」「50歳以上の人」がありますが、そんなタブーを扱いつつ 静かで幸せな幕を閉じる作品。
恋じゃなくて、愛の物語です。えすとえむさんは愛を描くのが本当に上手いなぁ。直接的な表現は少ないのですが、作品から漂う濃密な空気が愛を語っているのです。これはもう読んで頂くのが一番早いと思うので是非ぜひ。


+書き下ろし「le visiteur」
作品ナンバー20の続編的な作品。これは何を書いてもネタバレなので触れませんが、イヴとモーリスの関係が垣間見える作品になっています。ラスト2pはコマ割り、アングル、絵、色のバランス 全てが素晴らしくて、思わず惚れ惚れしました。えすとえむさんって本当に漫画が上手い方だなぁ。


前の記事へ 次の記事へ