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「やさしい訴え」小川洋子 レビュー



数日前に読み終えた小説なのですが、なんとなく感想を書ける気分じゃなくて寝かせてあったのですが、読んで数日たった今のほうが、小説の世界に強く引きこまれているような…不思議な気分になっています。


小川さんの小説はどれも素敵なのですが、中でもこの作品はとてもすきです。


というわけでレビューでも。






■あらすじ■

夫から逃れ、わたしは山間にある小さな別荘に逃げ込んできた。

そこでわたしが出会ったのは、チェンバロというピアノに似た…だけど似ていないやさしいやさしい音を奏でる楽器を作る男・新田氏とその弟子の薫さん。


ふたりとの優しい関係に癒されたわたしはいつしか新田氏に恋をするが…


■レビュー■


チェンバロという楽器を私は一度だけ見たことがある。


すぐ近くで耳を澄ませて聴いているのに、遠くから鳴っているような そんな音のする楽器だった。


音を奏でているというよりは、静寂を広げているような楽器だ、と思ったのを今でも覚えている。


今回、この「優しい訴え」を読んでいて、「あぁ 小川さんの文章はチェンバロの出す音に似ているんだ」と思った。

物語が語られているのに、静かなのだ。

さっきと同じ比喩を使えば、音が奏でられているときのほうが無音のときより静か、という矛盾を小川さんの文章はやってみせる。


こんな言葉を紡げるひとはなかなかいない。


小川さんの書かれる文章を二文字であらわすとすると、「静謐」というのがとてもしっくりくる。


この「やさしい訴え」で語られる物語は、決しておおきなドラマがあるとか、衝撃的などんでん返しが最後にあるとかそういった起伏はないのですが、だからこそ小川さんの紡ぐうつくしい言葉の世界にじっくりと浸れる、そんな小説になっています。


雨の日、静かな部屋でひとりで読むのにピッタリな小説です。


気になった方はぜひ!





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7月30日の拍手へのお返事



07/30 02:56頃にコメントのこしてくださったかたへ


「ハイブリッドチャイルド」ほんとにいいですよね〜!


「純ロマ」とはまったく違う方向で、でもそれぞれ素敵という、中村さんのすごさをしみじみと感じました。


コメントくださってありがとうございます!



「カノジョは嘘を愛しすぎてる」4巻 レビュー


他のジャンルの漫画に比べて、少女漫画を読む数は少ない私ですが、この「カノジョは嘘を愛しすぎてる」はとてもとても発売を楽しみにしている漫画だったりします。


作者の青木琴美さんは映画化もされた「僕は妹に恋をする」や「僕の初恋を君に捧ぐ」でヒットを飛ばしている人気作家さんですが、青木さんの全ての作品で「カノ嘘」が一番好きです!


というわけで感想でも







■あらすじ■


初めて作ったオリジナルの曲が音楽プロデューサー高木の目に留まり、「クリュードプレイ」としてデビューすることが決まっていた18歳のアキ。


家族にも周りにも祝福されて、もうあとは発売を待つのみ、となった頃プロデューサーの高木から呼び出しがかかる。


「音源が完成した」


初めてCDになった自分たちの歌・演奏


それを聴いたアキは愕然とする。


「俺の演奏じゃ、ない」


そのときアキは高木に演奏はスタジオミュージシャンの演奏であることを聴かされる。


「カオに似合わず実力派のイメージをつけたいんだよ」


そう言った高木の言葉が耳を通り抜ける。


「こう弾きたいと思っていた理想の音」がCDから流れた。


高木に「会うか?」と言われて、このベースを弾いた人物に会うことになったアキ。


アキは内心、コレを弾いたのが自分よりずっともっとオッサンだったら良い、と思っていた。


キャリアが違うんだ、仕方ない。


ところがアキの目の前に現れた「理想のベース」を弾いた男は、自分と同い年の少年・篠原心也だった。


ショックを隠せないアキは、クリプレのベーシストの座を心也に譲り、自分は作詞作曲のみを担当することにする。


それが、クリプレデビューの裏側だった。


一方、心也はリコの声をいたく気に入り、本気でリコのプロデュースをしたいと思う。


「彼氏よりなにより俺を一番にして欲しい」


心也の言葉にリコは自然と、手を伸ばす。


それは了承の握手だった。


心也とリコが握手を交わす姿を見ていたアキ。


その後、心也はアキに「おそらくキミ、リコちゃんの声にイチコロだと思うけどあれは僕のだからあげない」と宣言する。


「でも、リコは俺のカノジョなんだけど」


心也との一件で、これ以上嘘をつきつづけることの困難さを痛感したアキ。


ついにリコに「自分はクリプレのアキだ」と告白する決心をするが、その前に得意のギョーザをリコに食べさせてポイントを稼いでおこうと思い立つ。


おいしそうにギョーザを食べるリコに笑みがこぼれるアキ。すると、テレビにクリプレが映る。


「あ!今日のMステ、クリプレの新曲初披露なんですよ!」


すると、テレビから流れ出したのはリコと初めて会ったとき、アキが口ずさんでいた曲だった。


「ごめん。嘘ついて ホントは心也って名前じゃないし ニートでもない」


言いかけたのに、リコはとぼけたカオで「これ、なんか聴いたことないですか!」という


すると、リコが口ずさみ始める。


アキのつくった、曲を。


それを聴いたアキは思わず耳を奪われる。


好きだ、と思った


そして しまった、と 思った。



■感想■


荒くないあらすじながすぎる。


でも、つい長く書きたくなるくらい展開が魅力的なんです。


あと、青木さんはモノローグがほんとにうまい!


言葉の運び方がすごくいいんです。


特に、心也とアキの心理描写は思わず息を呑むセリフの連続です。


音楽って、綺麗で華やかな世界ですがきっとさまざまなしがらみや、障害がある世界だと想像する。


そんな中で、心也は「プロであろう」としているし、アキは「自由であろう」としている。


似ているようでまったく違う方向を向いている二人が、ひとつの「声」をめぐって火花を散らす…というのが今後の展開だとは思うのですが、気になるのはアキは心也のベースに、心也はアキの作曲の才能に嫉妬している というところ。


お互いに相手を羨ましい、と思っているというね


なかなか一筋縄ではいかない展開です。


一冊読んだのに、余計先が気になるようになってしまったという極悪な展開ですが、「カノ嘘」がそれほど面白い!という証明ですね。


気になる方はぜひ〜

「是」ドラマCD5 彰伊×阿沙利編 感想


※BLドラマCDの話です




もうね、コレを釣られたといわないでなんと言うんでしょうね。


えぇ、釣られました。釣られましたとも。


何に釣られたって、志水ゆき先生の公式ブログに載っている「是」ドラマCDの予告、阿沙利の「舌なめずり」ですよ!


まだ見たことがない方はm.ameba.jpからどうぞ


あーもうこれに釣られて買っちゃいました、「是」ドラマCD第5弾・彰伊×阿沙利編!


ちなみにキャストは

阿沙利 千葉進歩さん
彰伊 森川智之さん
和記 一条和也さん
琴葉 緑川光さん
彰伊の子供時代 近藤隆さん


といった感じ。


私のような声優詳しくない属性の奴でも知っているキャストさんがそろい踏みで、さすが「是」だなぁ!と思います。


でもまぁ、私が釣られたのはあくまで志水さん書き下ろしの漫画であって、ドラマCDはおまけみたいなもんよ…と思いながら聞き始めたのですが。


…わたし、一時間前の自分を撲殺してやりたいww


イカン、素晴らしすぎます。


わたし、「是」彰伊×阿沙利編のよさを半分も理解していなかった!!


ドラマCDを聴いて、書き下ろしの小冊子を読んでいろんなことに気づきました。


例えば、阿沙利と彰伊がどれだけ互いを想いあっているか。


阿沙利と彰伊は作中、いくつのも「約束」を交わすのですが、あのいつも何を考えているかわからない…飄々と振舞って本心を見せない阿沙利が彰伊と交わした約束はしっかりと忘れずに覚えているんです。


「彰伊とした約束ならどんな小さなことでも覚えてる」と言った阿沙利に、胸が震えると同時に、彰伊の片想いのような関係が、ついに両思いになった気がして本当に嬉しかったです。


そして、そんな複雑極まりない阿沙利を演じた千葉さんはピッタシなことこの上ないです!!


特に、なにげないシーンですが「おきばりやす」という部分が私は大好きです。


個人的にあの台詞、とても”阿沙利”って感じがするんですよねぇ。


千葉さんの演技も私の脳内にあったものと同じでニヤニヤしてしまいました。


ふふ。私がドラマCDを聴いていて一番楽しい瞬間は「脳内妄想が実現されたー!!」というときなのですが、この「是」彰伊×阿沙利はそんなシーンばかりで素晴らしい。


こんな素晴らしいCDに志水さんの書き下ろし漫画までついて、ケチをつけるところがないです。


3000円?そんなもの安すぎますわ!


「ドラマCDって高いわよねぇ」と財布を気にしているそこのお嬢さん!


悪いことはいいません。ちょっとくらい財布が軋んだって買う価値ありますよ、この「是」ドラマCDは。


私の中で阿沙利株が急騰しました!(あ、もちろん彰伊も)


気になっている方はぜひ〜!

「呼び出し一」中村明日美子 レビュー

あの明日美子さんがなんと!青年誌に進出された。

モーニングといえば講談社さんの出している週刊漫画雑誌で、かの井上雄彦さんの「バガボンド」が掲載されている雑誌でもある。


井上さんと同じ雑誌にBL漫画家でもある中村さんが進出された。


BLファンとしてこんなに嬉しいことはありません。


単行本に「モーニングKC」と書いてあるだけで感慨深い。


…うん。泣けてきた。


ところが、そんな私の涙を「呼び出し一」は見事に!もう痛快なくらい裏切ってくれました!


中村さんに一生ついてきます。


というわけで前置き長すぎますが早速レビュー。





■あらすじ■


塚地肇、18歳と一ヶ月。


髪にパーマネントをあてた瞬間アラ不思議!


名も知らないけどメチャクチャかわいい後輩の女の子に告白される。


春だ、人生の春。


これから始まるめくるめく日々に胸をときめかせていると、家に帰れば両親はテレビの大相撲に夢中になっている。


肇の両親は筋金入りの相撲バカ。


小さな頃には肇を相撲取りに仕立てようと異常な量のゴハンをたべさせようとするなど、ことあるごとに肇を相撲の道に引きずり込もうとする。


大学受験を前にしてちっとも勉学に励まない肇に、両親が考えた肇を相撲業界に引きずり込むための次なるアイディアはなんと「呼び出し」になること。


呼び出しとは、取り組みの前に「にぃーしー●●山〜」とかコールをする相撲業界の裏方さん。

なんじゃそりゃまったく興味ねぇ!


ところがひょんなことから人生初、生の相撲を見に相撲の聖地・両国にひとり行くことになってしまう。


迷いながら着いた人もまばらな国技館で肇は相撲ファンの美人・ミサキさんと出会う。


ミサキさんは幼い頃は相撲取りになりたかったというほどの筋金入りの相撲ファン。


なんだかよくわからないけど、彼女といると胸がドキドキしっぱなしの肇は、彼女に「きみは呼び出しに向いてる」といわれ、呼び出しになる決意を…するのか!?





■レビュー■


読みながらお腹をかかえて笑ってました。


もう、なんだったんだあの「モーニングKC」の文字を見て涙ぐんだ私は。


すごい作家さんというのはほんとに、何を描かせてもどんなテイストでもすばらしい。


私が笑うも泣くも、明日美子さん次第。


明日美子さんの手のひらでコロコローと転がってれいれば、こんな楽しい世界があったのかとおもうような痛快な笑いの世界にもいけるし、心をえぐるような感情の渦に浸ることもできる。


で、この「呼び出し一」が連れて行ってくれる世界がどんなところかといいますと、へそで茶がわくような笑いの世界です。


主人公・肇は人生初のカノジョに足が浮きまくってるちょいアホ男子。


相撲びいきの両親に「俺は一生普通の体型で普通に働く!」と啖呵を切ったものの、勉学に力をいれるわけでもなく頭の中はつい最近できた彼女のことばかり…というとんでもないアンポンタン(笑)です。


でも、肇はとても憎めない奴で、このまっさらな肇が相撲という不可思議な業界をどう渡っていくのか、そしてできたばかりの彼女と相撲ファンの美人ミサキさんの間でどう揺れ動いて、最終的にどうなっちゃうのか!?というところが今後の見所。


…とまぁ、普通ならここまでなんですが。


私が勝手にイチオシ、最高に気になっているポイントがもう一点あります。


呼び出し「仁弥」さん!!!!


いままでも明日美子さんのキャラには腰砕けてましたが、仁弥さんはもう私の中のメーターを振り切って 一番好きな明日美子キャラ第一位です!


全然喋ってないし、彼がお仕事する様子がチラチラと描かれているだけなのですがそのストイックな魅力に、私の顔面は常に崩壊状態です。


呼び出しさん独特のあの衣装も彼の素敵さに拍車をかけていますです。


か、かっこいい…!


イケメンウォッチングの書としても優秀な(笑)「呼び出し一」、美人もカワイイのもお馬鹿なのも、愉快なのも取り揃えてますので、明日美さんをご存知の方も、そうでない方もぜひ一度!


明日美子さんってなんでこんなに違う作風を使い分けて描けるんでしょう。


もうすごいとしかいいようがない。




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