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ACT1-(11)


「………ええっと、ではそうしたら自動セーブ機能を手動に切り替えますね。」
「…………何かハッキングするところってなかなか見ないよね………。」

「外部からしかできないと思っていたけど、内部からもできるんだなぁ………。」


「セーブ機能がついた回復ポイントには自立思考型のAIがいるんだったね。」
「は、はい。」

「不測の事態が起きた場合、プログラムを書き換えることで
回復ポイントは固定型から移動型に変更することが可能だ。
ただ、あくまでも不測の事態に備えての手段だから
ゲームのルール及びマナー違反を防ぐため、管理者権限を持つ者しか
書き換えることができないようにされているぜ。」

「なるほど。」

「あ、ちなみにちゃんと管理者権限のパスとかもらってきた。」

どや顔でパスを物吉に渡す智久に満月はため息をついた。

「………まぁ、何ていうか智久さんは変だから。
あまり気にしないでね。」

「PMWには白黒アリスとジャバウォックがいるけど、
それには引っかからないんだよね?」

「ああ、心配すんな。それに関しては問題ない。」

「………不正行為をしたプレイヤーを処罰する役割を与えられた双子のNPCと
攻撃プログラムですか。
両者セットになっているから、どちらか一方を排除しないといけないですね。
あ、いえ、遭遇した場合なんですけど。」


「………鶴丸さん、どして攻撃思考になるの?」
「つか、守り刀ってひょっとして攻撃性が高いの?」

「失敬な。僕や鶴丸さんはまだマシな方ですよ。粟田口の方がもっと怖いですから。
集団戦を得意としていますし、懐に入られたら敵いっこないです。」

「………ひぇ………。」

「まあ、でもクイーンオブハートに探知されなきゃ大丈夫か。」
「……クイーンオブハート?」

「PMWのセキュリティシステムを司るAIで、
その周囲には守護プログラムであるトランプ兵士達がいるの。
迷惑及び不正行為を働いているプレイヤーを見つけるため、
常に広範囲のサーチをかけているんだけど………。」


「……それについても問題はないですね。
僕達が敵じゃないという認識をしてもらうためのプログラムを今、作成していますから。
ただ、支援はしてくれませんけど。」

「こればかりは仕方がないさ。」
「そうですね。」


「……てか即時にプログラムを作ってそれをクイーンオブハートに送る物吉さん、凄い……。」

「………ホントに………。」



続く。

ACT2-(6)


コンビニから出ると、物吉はスマホを持って電話をかけた。

それから十数分ともしないうちに、新選組の守り刀達が桜庭市営文化ホールにやってきた。


「……長曽祢虎徹、以下新選組の守り刀。物吉殿の招集により馳せ参じました。」

「やっほー、お嬢様。」
「………こら待ちなさい。何で蜂須賀と浦島までもがいるの?」

「………すまない、お嬢様。浦島と菓子作りをしていたんだ。」
「そうそう、蜂須賀姉ちゃんと一緒に差し入れを持って行こうって話をしてさ。
そしたら、長曽祢兄ちゃんに招集かかったもんだから。
慌てて渡すことできなかったもん。」

むぅ、とむくれる浦島に満月はそっかぁ……と頷いた。

「………で?私達を招集したってことは何事なんだ?」
「闇討ち暗殺したい人でもできたんですか?」

「ちょっと、土方組ー。」
「発想が怖いよ?」

「……………もう、そんなんじゃないって。ちょっと不届きな気配を感じたから、
文化ホールの周辺をちょっと散策して欲しいなって思って。」


「なるほど、そういうことか。」


「そういえば今日の牡羊座、運勢あまりよくなかったよね。」

「………怖いこと言わないで………。」
「大丈夫ですよ、僕がツイていますから!」

「んにゃ、ありがと。……作戦云々は長曽祢達に任せるから。」
「………は。」

「………てか、お嬢様。稽古に戻らなくて平気?」

「あ、ヤバい!さすがにこれだけ時間がかかっていると、怒られちゃうかも!!」
「蜂須賀と浦島を同行させます。それで何とかなるでしょう。」
「ありがと、長曽祢。
じゃあ、私と物吉は戻るから。後よろしくね。」
「了解しました。」

そういうと満月は物吉達を連れて稽古場に戻った。



続く。

ACT2-(5)



「………よーし、買い出しじゃんけん決めるぞー!!」
稽古練習をいったん中断し、政宗が声をかけると千夏達はおーし、と叫んだ。
「最初はグー!!じゃんけん、ほい……!!」
「………あ。」
「負けてしまいましたね………。」
チョキを出した政宗達に対し、満月はパーを出した。
「………もう1回やり直す?」
「あ、いえいえ。大丈夫です。お気遣いありがとうございます。
でも、甘やかされると、ダメですから。」
「満月ちゃん、ホント良い子過ぎる〜……。」
「綾人達の妹っていうことを除けば妹としてパーフェクトなんだけどなぁ………。」
「僕も一緒に行きますから、ご安心ください。」

「そりゃそうでしょ、物吉ちゃんは満月ちゃんの守り刀なんだし。」

誠の言葉に志鶴はうん、と頷く。

「じゃあ、買い出し行ってきますね。」
「気を付けてね。……星座占いで牡羊座、ランキング的に良くなかったから。」
「……怖いこと言うなよ、涼。」

「………あはは、でも物吉がいるから大丈夫です。多分。」
「んじゃあ、買い出しよろしく頼んだよ、満月ちゃん。」
「はい!」

志鶴から財布を預かり、満月は物吉と共に市営文化ホールの外にあるコンビニに向かった。


「………………あれ?」
外に出た瞬間、太陽の日差しが少しだけ照り付ける。
「…………ちょっと嫌な空気がしますね、お嬢様。」
「………そうだね………。」

人気こそ少ないが、幾ら何でも今の時間帯、通行人がいないというのは不気味だ。

「………うーん、何かこう気のせいじゃないような予感が………。」

「………急いで買い出しを済ませてしまいましょう、お嬢様。」
「………うん。」

少し気になることがあったものの、買い出しを任されているので満月はコンビニへと入った。


「……………………。」
「え、嘘、姫宮満月ちゃん!?」
「可愛い、本物に会えるなんてラッキー!」


店内に入ると若い女性達がキャッキャッと黄色い歓声をあげる。
満月は軽く手を振ると、商品棚から品物を手に取った。

「………志鶴さん達に手作りのお菓子でも渡そうかな。」
「若旦那様が嫉妬しますよ。」
「そこまで心狭くないから、大丈夫でしょ。
芳樹さん、私には甘いから。」
「そうですね。」


会計を済ませ、エコバックに商品を詰めて貰った満月は店内をキョロキョロと見回した。

「……………。」
「………外にいますね。」

物吉の言葉に満月はうん、と頷いた。

「………新選組の刀達を呼びますか?」
「………そだね。そうしようか。」




続く。
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