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ACT1-(8)

その後、綾小路公孝は麻薬取締法違反によって警察に逮捕された。

「…………何もしなくても、どのみち警察に連行される運命だったって奴か。」
「ツメが甘かったんだね、兼さん。」
「ま、これで喧嘩売る奴も少しは減るだろ。」
「加州さんと大和守さんも暴れたかったって言っていたよ?」

「……あの2人は凶戦士だからなぁ、特に大和守は。」


「ご苦労様でした。和泉守殿、堀川殿。」

一期一振に労いの言葉をかけられて、和泉守は応、と頷いた。

「…………で犯行の動機はやっぱり、借金か?」
「そのようですな。お嬢様と結婚して軍資金を手に入れようとしていたようです。
まあ、最もそのような輩にはお嬢様を渡しませんが。」
「だろうな。私達の使命は綿貫と姫宮の血縁者を守り通すことだからな。」

「はい。誘拐未遂も立派な犯罪ですから。」

「一期、1つ聞いてもいいか?」
「何でしょう。」

「…………お前、ホントにお嬢様お抱えの守り刀でよかったのか?」
「当然です。十数年前、お嬢様がお生まれになった際、若旦那様から託されましたからな。
生涯この人しか愛さないという意味を込められた、というのもありますが。」
「……………お前、良い性格しているんだな。」
「褒め言葉として受け取っておきましょう。」

「ま、愚問だったな。忘れてくれや。
私達もお嬢様のことは気に入っているからな。」
「うん、そうだね、兼さん。」

「一期ー、ちょっといいー?」
「はい、ただいま。では私はこれで。」

「おう。」

満月の元に向かう一期を見て和泉守と堀川はクスリ、と笑い合った。



終わり。

ACT1-(7)

「…………へぇ、なるほどね。綾小路公孝か。」
「はい。どうやら、お嬢様を狙っての犯行だそうで。」
「満月ちゃん、モテモテだね。」
「嫌ですよ、誘拐犯とくっつくなんて。
私、芳樹さんの婚約者ですから。」
「そりゃそうだね。よしよし、酷い目に遭っただろう。」

芳樹に頭を撫でられて、満月は気分が高揚した。

「毛利と包丁がボコボコにしてくれたんですよ。」

「そりゃ、僕達はー…………。」
「お嬢様と若旦那様がくっつくことを楽しみにしているんですからね!」
「小さい子がたくさんできると嬉しいものですねぇ。」
「あはは、満月ちゃんの体力が持つかな?」
「もう芳樹さん!」

「………で、いかがなさいますか。若旦那様。」
「売られた喧嘩は買わないと、ね。痛い目に遭わせないと、わからないようだ。」
「では、土方組に任せると致しましょうか。」
「そうだね。しばらくご無沙汰だし、憂さを晴らすにはもってこいなんじゃないかな。」


その頃、綾小路宅では。

「………何ぃ?誘拐に失敗しただと!?」

「は、はい………守り刀2人にやられたらしく………。」
「っち、守り刀か………忌々しい…………!」

「き、公孝様、大変です!」

部下を叱責していた公孝の元に別の部下が慌てた様子で駆けつけてきた。

「どうした!?」
「で、電気系統に異常が…………!!」
「……何ぃ!?」

ガシャン、とガラスの割れる音が室内に響く。公孝はびくり、となった。

「…………よぅ、綾小路公孝。」

「………どうも、お邪魔します。」

「な、何だお前らは!?外にボディーガードがいたはずだ!!」
「ああ、皆さんならおねんねしていますよ。最近働かせすぎじゃないですか?」

「そんなバカな………50人はいたはずだぞ…………!」

「悪いな、これでも主命なんでな。姫宮と綿貫に喧嘩を売ったこと、後悔させてやる。」
「ま、まさか…………守り刀か!?」
「ピンポーン。大正解!てなわけで暴れさせてもらうぜ!」
「兼さん、ほどほどにねー。」
「闇討ち暗殺だけはすんなよ、お前!」

そう言うと和泉守と堀川は刀を鞘から抜いた。




続く。

ACT1-(6)

「………えぇ、芳樹さんに殺害予告?」
満月は毛利と包丁から話を聞いてげんなりとした表情をした。

「………三条の中でも最も強い三日月がいるのに、そんな度胸の持ち主がいたんだ。」

「心配なのはお嬢様の身に何が起こるかわからないことです。
念のために僕達から離れないでください。」
「うん、わかっているよ。」

毛利と包丁を連れ、物吉と共に満月は通学路を歩いていた。

すると黒い高級車が停車した。

「…………やぁ、姫宮満月さんだね?」
「失礼ですが、どちら様でしょうか?」
「お嬢様には本日、来客の予定はありませんが。」
「………ひょっとして、お嬢様を自分のものにしたいっていう馬鹿?」
満月を庇う形で彼女の前に立った守り刀に、運転席から降りてきた男はちっ、と舌打ちをした。

「………守り刀が3人もいるのか。構わん、やってしまえ。」

車から降りてきた黒スーツの男達が銃を構える。

「こういうところで銃を構えるなんて、銃刀法違反ですよ。」

そういうと物吉達は脇差と短刀を取り出した。

「物吉はお嬢様についてて。毛利と2人で始末するから!」

そう言うと包丁は毛利と共に男達めがけて、突撃した。



…………それから数分後。


「………もう終わり?」

ボコボコにされた男達が地面に倒れている。
黒スーツの男達は毛利と包丁の敵ではなかったようだ。

「な、何でガキの癖に強いんだよ…………銃は壊れるし………!」

「こーいうところで銃なんかぶっ放したら危ないじゃんか。」
「そうですね。民家を壊したら建造物破壊の罪に問われますし。」
「…………で、どうしますか?まだ僕達と戦いますか?それとも、降伏しますか?」
そう言いながらも、物吉は刀をリーダー格の男に向けた。

「貴方に聞きたいことがあります。
若旦那様に殺害予告のラブレターを送った人物に心当たりは?」

「し、知らねぇよ!俺達はただ依頼されただけだ!姫宮満月を誘拐してこいって!」
「…………誰にですか。」

「あ、綾小路公孝だ…………。」



「…………ああ、綾小路グループの御曹司ですか。中小企業の。」

「そういえばあまりいい噂聞かないね。」


「そういうところにお嬢様を嫁がせてたまるかっての。」

「とりあえずー、警察に取り調べてもらおうか。」

「ですね。」





続く。

ACT1-(5)

「……………これは確かに殺害予告ですねぇ。」
芳樹宛に届いた手紙を読んだ物吉は深いため息をついた。
「厚と後藤、薬研と信濃の4人には若旦那様についてもらいます。
お嬢様については…………毛利と包丁、それに乱が。」
「わかりました。」
「お嬢様は僕達が守るからね、いち姉ぇ!」
「安心していいよ!」
「お嬢様には虫1匹近づけさせません!」

親指を立てて、自信満々に護衛をかってでた毛利と包丁、乱の3人に物吉はうふふ、と笑った。

「……………で、筆跡鑑定は出たんだろう?姉貴。」
「ああ、複数犯の可能性が十分に高い。
正々堂々と出るか、それとも闇討ち暗殺をするかはわからないが…………。
真正面から仕掛けるのなら、鯰尾と骨喰に。
闇討ち暗殺なら、堀川殿の方が………というか、新選組にお任せしようか。」

「そうだな。」

「…………………なら、その作戦で行こうか。」

「だな。」
「うん。」
「大将の命を狙うなんて良い度胸しているよなぁ、この手紙の差出人。」
「綿貫と姫宮にケンカを売ったこと、ぞんぶんに後悔させてやりましょう。」

「………………いち姉ぇだけは敵に回したくないよね。」

「同感だ。」



続く。


ACT1-(4)

「これはまた随分と熱烈なラブレターだな。」

芳樹宛に届いた脅迫状を見て、三日月宗近はふっと笑った。
「お嬢様を自分のものにしたいからと言って、若旦那様を殺すと言うのは筋違いだな。
守り刀という厳重なボディーガードがいるというのに、馬鹿な奴よ。」
「ごもっともでございます、三日月殿。」
「…………して、警察は物的証拠がなければ動かない無能だからな。
どうする?一期一振。」
「無論、我々粟田口が調べたうえで徹底的に潰します。
ミツバチが種を運ぶ前に、排除しなければ。悪影響を及ぼしますからな。」
「まいた種はすぐに排除する、か。お前達らしいな。」
「いえ、新選組に比べたらまだ生易しい方ですぞ。」
はっはっは、と互いに笑い合う三日月と一期に、そばについていた信濃藤四郎は
うげぇ、と言う顔をした。

三条の方でも調べてみる、と言うことで三日月と別れた一期は信濃と共に
長い廊下を歩いた。

「………いち姉ぇ、若旦那様には報告しなくていいの?」
「いちいちこの手の手紙を報告する必要はない。
正々堂々とした相手ならともかく、ね。」
「………………何やかんやで若旦那様に甘いよね、いち姉ぇ。」
「そうかな。何しろ、小さい頃から見ているからね。」
「……………そっか。」
「とりあえず物吉殿にも連絡をして、しばらく様子を見よう。
守り刀の数を増やして、徹底的にガードしなければ。」
「………いち姉ぇってお嬢様のことになると、目つきが変わるね。」
「当然さ。若旦那様から、あらゆる障害から守り通せと仰せつかっているから。」

「生まれた時から見守っているから娘のような感覚だもんね、お嬢様。」
「ああ、そうさ。結婚したり、子供を産んだことはないけれど。
娘のように大事に思っているからこそ、守らなければ。」






続く。
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