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ACT2-(13)

第2部が終わり、会場から観客達が退場していくなか、芳樹達は控室に向かった。

「………あ、芳樹さん!綾人お兄様達も!」

「お、智久も来ていたのか。」

「お久しぶりです、皆様方。」

「おう、久しぶりだな。
………しっかし何度見ても鶴丸は別嬪さんだなぁ、おい。」

「やらんぞ、俺に贈られた守り刀だからな。」

「満月ちゃん、初日お疲れ様。」


芳樹に頭を撫でられて、満月はえへへと笑った。

「あー、羨ましいねぇ。」


「まだ俺らは独身を満喫したいからいいけどさ、
将来のことを考えると芳樹も満月ちゃんも大変だよなぁ。」

「そうですよね…………世界を背負って立っているんですから。」

「…………重たいんだよ、変わるか?」

「え、嫌ですよ。僕、重すぎるのは嫌いなので。」
「あはは、ほれ、明日も早いんだろう?皆、公演に備えてぐっすり寝れよー。」
不知火の言葉に全員ははーい、と答えた。






「…………………眠たくなってきちゃった…………。」
「今日は初日だったからね、はい、満月ちゃん。」
「お邪魔しまーす。」

満月は芳樹の背中に乗ると、満面の笑みを浮かべた。
「何か小さい頃を思い出しますね、芳樹さん。」
「そうだね。遊園地に行った時、満月ちゃん転んで泣いて俺がおぶったんだよね。」
「大した怪我もしていないのに、綾人お兄様達、救急車を呼ぶだの入院させるだのと言ってくれて。」

「あら、極度のシスコンじゃないの。貴方。」
「…………まあ、確かに歳が離れているとどうしても甘く見てしまうからなぁ………。」

「そうそう、毎日写真を撮ってはアルバムに収めていたもんな。君らは。」
「…………でもまぁ、それも大事な思い出さ。」
「そうですね。」

芳樹におぶられて安心したのか、満月はウトウトと眠り始めた。

「若旦那様、荷物をお預かりいたします。」
「うん、よろしく。」
荷物を物吉に預け、芳樹は満月の寝顔を見るとクスリと笑った。

「今も昔もこの可愛い寝顔は変わっていないなぁ………。」



続く。
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