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ACT2-(10)

………そして、迎えた幕末天狼傳初日。

「…………よし。準備はいいか?」
「もちろんだ。」
「楽しみだねー。」

「ホントに。」
「………あ、結構並んでるね。」
「物販もあるし。」

桜庭市営文化ホールには刀ミュ目当てでやってきた観客達でごったがえしていた。

「…………あ、綿貫さんじゃない!?」
「嘘、姫宮5人兄妹が揃ってる!」

「………やっぱ、妹絡みになると仕事を休んじゃうんだね………。」

ヒソヒソと話をする観客達をよそに芳樹達は物販コーナーで品物を買い始めた。

「………まあ、ペンライトは仕方ないけど野郎の缶バッジはいらないな……。」

「でも清光出たら嬉しいしなぁ…………。」

「ブロマイドは買おうよ、ブロマイドは!」

「……お前ら、ホントにシスコン&ロリコンだな……。」

「やかましいわ、智久。シスコンで何が悪い。」
「どうでもいいけど、悩み過ぎるなよ。次つっかえているんだから。」

加州清光のブロマイドとシュシュを買った芳樹達は缶バッジのガチャに挑んだ。

「……うげぇ、誠か。」
「………こっちは政宗。」
「俺、志鶴さん………。」

缶バッジを見た綾人達はガクッと項垂れた。

「…………芳樹と智久は?」
「俺、満月ちゃんだった。」
「俺もー。」

「よこせ!」
「交換なら断る!姉貴からも頼まれているんでな!!」

ぎゃんぎゃんと騒ぎ始める6人を観客達は暖かい視線で見守り、スマホで写真撮影をした。

「……………これはさすがにちょっと騒ぎすぎですね。」
「仕方がなかろう。自覚が薄いんじゃ。」

「奥様、どうしますぅ?」

鶴丸国永、小狐丸、今剣の言葉に美穂は頭を抱えた。

「………他人の振りをしたいんだけどできないのが事実なのよねぇ……。

もう、貴方達!騒ぐのもそこまでにしておきなさいな。」

美穂がパンパン、と手を叩くと綾人はため息をついた。

「………美穂義姉さんには頭があがらないねぇ、綾人兄さん。」

「抓るぞ。」

「開演時刻までまだ時間があるから、適当に潰しましょう。」


続く。
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