つらつら

店頭で初めて見たときから気になってた。「あとがきまで読め」、「最後の一文まで読め」という紹介ポップのおかげで。
これは読んでみないとって気にさせられましたｗ

実際は、読書家でミステリーやサスペンスを読み慣れてる人ならば、もしかしたら先があらかた読めてしまうような気がしないでもない。これが読み終わってすぐの感想。でもまぁ、私は普通に、おぉっ！ってなりました。

読みはじめると、わりときつい内容で(私的にはいたたまれない感じというか)読んでると途中でインターバルを入れたくなってしまうような話。でも先が気になって、休憩も長くは出来ず、ついついすぐに続きを読み始めちゃう。まんまと話に引き込まれちゃいましたね。

「衝動」のほうでは、「殺人鬼」の異常性の怖さはもちろんだけど、私は小さくても、年老いても、「女」って怖いなって感じるところがあった。「女」の中で形成される「グループ」「コミュニティー」。どこにでもあるけど、自分の過去とか、自分の周りとか、こんなんあったかも、って妙に共感してしまった。

読んでるとだいたい誰が殺されるのか分かる。
分かってしまうと面白くないと思う人もいるかもしれないけど、見るべきはあくまで「殺人鬼フジコ」がどんな心境でことを起こしてるかというところか。

「あとがき」とは真梨幸子のあとがきではない。もちろん書いてるのは真梨さんなんだけど。そうではない。

一冊目で終わったように見せかけて(実際、ああいう終わり方のミステリー、サスペンスものは沢山あると思う)、一冊目の段階で続編への布石はすでに整っている。
一冊目を限定版で手に入れれば、小冊子「私はフジコ」が読める。ちなみに私は読めていない…。
小冊子は「衝動」と「真実」の間の話。この先読む機会があったら読んでみたい。

が、「真実」は小冊子を読まなくても十分読める。こちらを読むことで、タイトル通り、まさに「真実」を知ることが出来る。「衝動」だけじゃなく「真実」まで読んで、初めてフジコ、引いては周りのことを理解できる。フジコの周りがいかに異常だったか。読み終わってから改めて考えると戦慄するよ。ヤバイわ…ホント…。

読んでいて気持ちのイイ内容では決してないけれど、私的には「衝動」で疑問に思ったことが「真実」を読むことにより解決したこともあり、すっきり読むことが出来た作品だったと思う。サスペンス(なのか？)でこれだけすっきり読み終わることってあるんだな、と驚きも大きかった。