PMWの世界にログインした芳樹達は自分達のデータを確認した。
「…………まぁ、ステータスは仕方がないか。」
「そうですね。強制ログインしたせいでもありますけど………。
それはそれとして、まあいいんじゃないでしょうか?」
「役重さん、今何かイベントでもやっているんですか?」
「うん。期間限定イベントをやっているから、ログインしている人達は結構いると思うよ。」
「………その中から、犯人を探すのは大変だね。」
「ひとまず、クエストをこなしてアイテムを回収していきませんか?
無難ですけどそれが1番かと。」
「そうだね。後、強制ログインしたことは黙っていようか。」
「………そ、そうですね。皆、暴動起こしちゃいそう………。」
芳樹の言葉に律は頷いた。
「それで幼馴染は何処にいるの?」
「………多分、総合案内所にいると思う。
クエストをする前に、そこに行くから。」
「なるほど。」
芳樹達が総合案内所に行くと、キョロキョロと誰かを探している魔法剣士の姿があった。
「………幸太!!」
「律!?おせぇよ!!」
「この馬鹿、おせぇよじゃないでしょ!?」
バッと抱きついてきた律に幸太は顔を真っ赤にした。
「馬鹿野郎、抱き着くアホがいるか!!」
「おばさん、心配していたんだからね!!保護者による強制ログアウトができなくなったって
泣きついてきたんだから!!」
「そ、そうだぜ……他のプレイヤー達もログアウトできない状況になって
総合案内所はパニックになっているんだ。
AIも応答しないし、何がいったいどうなっているんだか……。」
「小野幸太君だね?ちょっと話をしたいから、こっちまで来てくれないか。」
「え?何で俺の名前知って………。」
「私が教えたからよ!」
場所を移したところで芳樹は改めて自己紹介をした。
「俺は綿貫芳樹。こっちは姫宮満月ちゃん。で、その隣にいるのが物吉貞宗だ。」
「小野幸太です。えっと、律の幼馴染です。」
「律ちゃんにはすでに話してあるんだけど、今、この世界は内部から
何者かがアクセスしてログアウトできないようになっているんだ。」
「だ、誰かが!?何のために!?」
「そこまではわからない。で、俺と満月ちゃん、物吉の3人で
不正ハッカーを探しに来たんだけど……。
何分、PMWの知識が不十分なんだ。」
「そこで役重さんと小野さんに、私達を支援して欲しいの。」
「俺は別にいいけど、律は?」
「私は即時OKしたよ。アンタのことが心配だったし。」
「……じゃあ、俺も協力する。」
「ありがとう。感謝するよ。」
「何か警察みたいな仕事をするみたいでワクワクしているんだけど。」
「幸太、一応遊びじゃないんだからね?」
「わかってるよ………ったく、心配性だな。」
「…………今の状態では何の手掛かりもありませんから、まずは何しましょうか?」
「………レベル上げかな?」
「うーん、綿貫さん達のレベルは今、1だから……。
短期間でレベルアップとなるといきなりだけど、上級者向けのクエストをしてもらうことになるんだけど……。」
「………えっと、姫宮さん達ポケモンをプレイしたことは?」
「あるよ。」
「うん、ある。」
「ありますねぇ。」
「………えぇっと、モンスターとの群れバトルが無難かな。
上級者向けだけど、成功すればあっという間にレベルアップできるから。」
「……うん、じゃあそれで行こうか。」
「よろしくお願いしますね。」
「わかった。じゃあクエストの場所まで案内するよ。」
続く。