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ACT1-(9)

「…………あの、智久さんと鶴丸さんって付き合っているんですか?」

「お、それ聞きたいのかい?結構呑気だねぇ。」

総合案内所にあるフリースペースで、智久は律の問いにあははと笑った。

「そういう君らはどうなんだい?」

「あ、いや、俺達はただの幼馴染で……。」
「………この馬鹿!能天気!!」

智久に聞かれて、ただの幼馴染と答えた幸太を律は勢いよく蹴る。

「いってぇ、何するんだよ!?」
「この鈍感!」

「仲が良いんですねぇ、お2人とも。」

物吉に言われて、2人はハッとなるとお互いそっぽを向いた。
「別に私達、姫宮さんみたいに仲が良いわけじゃないし……。」
「そ、そうそう!将来のこととか全然考えていないし!!」

「……………好きなんだ。」
「好きなんだね。」
「ちなみにどっちから告白するの?」


3人にからかわれて、2人は顔を真っ赤にした。

「もう、3人共!」
「そんなつもりはないからな!ホントに!!」

「…………おいおい、随分といちゃついているじゃねぇか、え?」
「こちとら、ログアウトもできなくて困っているんだよ。」

「お、典型的な嫌がらせをするのかい?これまた厄介だねぇ。」

あはは、と笑う智久にプレイヤーはかちんときた。
「てめぇ、初心者のくせして何を偉そうに!」

「諜報員だからってふざけるなよ!?」


「あわわ、智久さん!!」
「お2人とも、プレイヤー同士のバトルも経験値が入るのですか?」
「え?ええ、まあ入ることは入りますけど……。」

「では少し腕慣らしと行きますか。」
「そうだなぁ。あ、芳樹に満月ちゃんは手を出すなよ?物吉も。」
「………わかってるよ。」
「頑張ってくださいね。」


………数分もしないうちに、智久と鶴丸は自身にケンカを売ってきたプレイヤーを叩きのめした。

「う、嘘だろ………。」

「ふむふむ、こういう感じで動かせばいいのか……。」

「すごーい、芳樹さん達もすごいけど智久さん達も凄い!」
「レベルの差を技術で補ったんだ……。」

「俺は芳樹達の実家と付き合いがあるからな。当然、教育上よろしくないものも経験してきたんだ。
まあ、普段から鍛えておいて損はないって奴だな。」
床に突っ伏しているプレイヤーをつんつん、と鶴丸はつついた。

「………ところで倒れているところをお聞きしますが。ラヴクラフトについてはご存じですか?」

「し、知らねぇよ。ゲームの開発者だってことぐらいしか知らねぇし……。」

「……だ、そうです。」
「こりゃ参ったな。地道に探すしかないか。」

「そうですね……。」

「さて、総合案内所を後にしよう。ここにいても情報収集は期待できそうにないし。」

「PMWにはストーリーがないのかい?」

「あ、いえ。ストーリーはあります。
オリジナルパーティーを作るなり、何なりして敵を倒すっていう王道モノですけど。」

「刀剣乱舞と似ている感じかな。」
「なるほど………それはわかりやすいな。」
「ラヴクラフトについてわかっていることといえばゲームの開発者だってことぐらいだもんね。」
「………そうですね………。」


続く。

ACT1-(8)


クエストをクリアし、総合案内所に戻った芳樹達のところに
智久と鶴丸が合流した。

「よ、芳樹。満月ちゃん。」
「智久、来てくれたのか。」

「ああ、芳川が強制ログインできるってもんだから俺と鶴丸も加勢するぜ。」


「智久さん、紹介しますね。こちら同級生の役重律さんに、役重さんの幼馴染の小野幸太さん。」
「よろしく頼むぜ。
俺は青桐智久。こっちは俺の守り刀をしている鶴丸国永だ。」

「よろしくお願いしますね。」

「よ、よろしくお願いします!!」

「まあ、俺のことは気軽に智久さんと呼んでもいいし、何ならお兄ちゃんと呼んでもいいぜ?」

「………智久様?」


眉間にしわを寄せた鶴丸に智久はあはは、と笑った。

「智久さんの職業は諜報員、鶴丸さんは剣士か……。」
「パーティーは何人まで組めるんだい?」


「最大7人まで組めますけど……。」

「なら、ちょうどいい人数だね。職業もバラバラだし、まあバランスが取れているといれば取れているか。」

「……それで智久様、何かわかりましたか?」
「おう、ラヴクラフトについてだが行方不明だと思っていたら実は意識不明の重体で
病院に搬送されていることがわかった。
まあ、恐らくはPMWにログインしたまま何らかの要因でログアウトができなくなったんだな。
で、犯行の動機は彼女にフラれたってことだ。」
「………………ふ、フラれた………?」

「それだけの理由で?」
「視野が狭かったんだろうな。見た目と性格に問題ある引きこもりと言えばいいのやら。
ちなみに自分をフッた彼女の新しい彼氏がこの世界にいるらしいんだ。」

「…………うわぁ、修羅場になりそう………。」
「………そうですね。」

「ともかく、ラヴクラフトを探してPMWのシステムを元通りにしてもらおう。」
「はい。頑張りましょう!」

続く。
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