不幸はいろんなところに落ちていて、つまづいたら大変だ。
幸福は偶然みつかったりはしないので、探さなくてはいけない。
いまは
幸福を探さなくても、不幸にはならないというだけ。
赤色は、漢王朝の象徴である火徳を意味する。
白衣は悲しみを表すが、赤衣は権威であり、情熱でもある。それは太陽にも通じる。篝火に映えた炊屋姫の赤衣は、まさに燃えているようだった。
女の業火というのは、こういうものだろうか。時に自分の身を灼き尽くす恐れがある、
だが身を灼き尽くすほど危険なものであっても、構わない、と炊屋姫は思った。
黒岩重吾
「紅蓮の女王 小説推古天皇」