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ACT1-(15)

客降りの曲になり、6人が舞台から客席に降りてきた。

ファンサをする6人に観客達は歓声をあげる。

智久のうちわを見た芳樹はちょいちょい、と満月を手招きした。

近寄ってきた満月の尻を流れるように触った芳樹はあはは、と笑いながら
その場を去る。

満月は顔を真っ赤にしながらも、うちわめがけてバーンッと撃つ真似をした。


「さ、サイコー………!」
「生きてて良かった………。」
「ホントにいい席だよ………。」

第2部も無事に終わり、舞台は幕を閉じた。

閉演時刻になり、智久達は市営文化ホールを出た。

「さて、と。君らとはここらでお別れか。」
「青桐さん、守り刀の皆さん、今日はありがとうございました。」
「ありがとうございます!」
「ホントに良かったですーー!」
「そいつは良かったなぁ。じゃあ、またな。」
「は、はい!」
キャッキャッと歓声をあげながら、帰路につく3人を智久は見送った。


「……よしじゃあ、満月ちゃん達のところに行くか!」

関係者以外立ち入り禁止の廊下を通り、智久は鶴丸、和泉守、堀川、物吉を連れて
控室に入った。

「……あ、物吉!」
「和泉守と堀川。それに智久と鶴丸も来ていたのか。」
「まあな。千秋楽もついでに見る予定だぜ。」
チッチッチ、とチケットを見せる智久に、芳樹は顔を近づけた。

「……セクハラをして、といううちわを持ってくるなんて良い度胸しているじゃないか。」
「いや、お前ならやってくれると思っていたさ。
満月ちゃんは俺のもんだ、と言わんばかりのオーラがあったぜ?」

「智久さん、そういうファンサを求めてどうするんですか。
智久さんぐらいですよ?変わったファンサをお願いするの。」
「まぁ、智久らしいと言えば智久らしいが。」
「そうだねぇ………でも、やっぱり教育上よろしくはないかな。」


「よし、今日は初日だし千秋楽まで無事に走れるよう、居酒屋へ行こう!」
「あ、それはさんせーい!」
「こらこら、幸人。お前、酒に強くないんだから、程ほどにな。
明日に響くぞ。」
「はーい、わかっていまーす!」
「………全然わかっていないな………。」
「まあ、介抱するのは僕達ですからね。」
「はい。そうですねー。」

「満月ちゃんは未成年だから、お酒ダメだよ?」
「いやいや、当たり前のこと言わないでくださいよ。
私、炭酸飲めないんですから。」

「飲めないっていうか、飲んじゃうと酔っぱらうんだよね、満月ちゃん。
アルコール入っていない炭酸なのに。」

「シュワシュワしたのが苦手なんですよ………。」

「アルコール飲んだらどうなるのかな?」
「まあ、それは後4年後の楽しみにとっておけばいいさ。」




続く。

ACT1-(14)

第1部が終わり、20分の休憩が始まった。

涼子達はトイレを済ませ、座席に戻るとペンライトの電源を確認した。

「……………ホントに青桐さん、赤一択なんですねぇ。」
「ついでにうちわも用意してきたんだ、見るかい?」

ちら、と見せたうちわには「セクハラして」という文字がデカデカと書かれていた。

「…………え、それまずくないですか?」
「やめといた方がいいんじゃ……。」
「というか、すごい勇者ですね………。」

綾子、涼子、彩愛の3人の言葉に鶴丸は頷くと智久の耳を引っ張った。


「智久様は退屈が嫌いだから、ついいつもこうなんだ。
でも、若旦那様もわかってセクハラをするからな。」

「……え、ええ!?」
「ノリが良いってことですよね、それ……。」
「……というとセクハラの被害を受けるのは主に満月ちゃんじゃ………。」

「ああ、安心しろ。あまりにも酷いようなら、お触り禁止の令が出るからな。
綾人様から。」

「………綾人さん、強い。」

「芳樹と戦って勝てるの、綾人ぐらいだぜ。
なおやゆい、はるやゆきは絶対かないっこないって。」
「………若旦那様も智久様に勝てない時あるからな。言っておくと。」

あははと笑う智久をよそに鶴丸はヒソッと補足した。

「な、なるほど…………。」

うちわとペンライトを用意した3人の耳にアナウンスの声が入る。


バックダンサーが踊り、ライブ衣装に身を包んだ6人が舞台にあがると
観客達は歓声をあげた。




続く。
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