桜庭市営文化ホール。
そこに芳樹と満月、綾人と幸人の4人は集まっていた。
「それにしてもそろそろ公演か。
気を引き締めなければならんなぁ。」
「そうだね、和彦。」
「祐一の方こそ、神社の方はいいのか?」
「参拝客を増やすためなら手段は選ばないよ。
何せ、経営がかかっているからね。」
初瀬祐一と柊和彦の2人の会話に、4人は苦笑する。
「さて、トライアル公演は何とか上々の出来だった。
これからが本番だよ。」
演出家の不知火智一の言葉に6人は返事をする。
「特に満月ちゃん、大変よ。
舞台に出演するだけじゃなくて、衣装や音楽も担当するんだから。」
智一の娘である智恵の言葉に満月は苦笑する。
「ホントなら、裏方に徹した方が楽なんですけどね……。」
「でも満月の清光、良く似合っていたよ!」
「満月はもっと自分に自信を持ちなさい。
確かに表舞台と裏方の両立は難しいけれど、トライアルでは評判が良かったのだから。」
綾人の言葉に満月ははい、と頷いた。
「そうですよ、お嬢様はもっと自分に自信をもっていいと思います!」
守り刀であり、満月の懐刀でもある物吉貞宗が力強く話をした。
「……………うん、そだね。私にしかできない加州清光を演じないとね。」
「さて、というわけで練習開始だ。皆、準備はいいかい?」
智一の言葉に全員がはーい、と元気よく返事をした。
「…………でも第1部よりも第2部の歌の方が案外大変だったりして。」
「俺も満月ちゃんもソロがあるからね。
でも、頑張っていこう。」
「トライアルよりも成長したんだってこと、皆に証明させないとねー。」
続く。