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青桐智久


1988年10月31日生まれ。
芳樹達とは高校時代からの友人。
家族以外で芳樹達(満月除く)の暴走を止められる唯一の人物。
とある事件がきっかけで守り刀である鶴丸国永を贈られた。

ACT1-(13)


「……お、和泉守に堀川、物吉じゃないか。」
「鶴丸、久しぶりだな。」

「お久しぶりです、鶴丸さん!」

「元気にしていましたか?」
「ああ、まぁな。元気も何も風邪すら引いていないがな。」

「………こら待て、鶴丸。俺を置いていくなんて酷いな。」

「何を言うか。夜中まで飲み会しておいて、良く言うよ。智久様。」
「え、青桐智久さん!?」
「うっそぉ、綿貫さんと悪友の!?」
「来ていたんですか!?」

「何だ、智久様。来ていたのか。」

「随分と元気なさそうですけど………。」
「大丈夫ですか?」

「気にするな。昨日、ドラマの打ち上げでちょっと飲み過ぎただけだ。」

「………ベテラン俳優達には気を遣うわ、
後輩の前ではカッコ悪いところ見せるわけにはいかないわで
疲れるんだよ。」

「お、お疲れ様です、青桐さん!」
「あの、スポーツドリンクで良ければ私持っていますので!」
「や、休んだ方がいいんじゃ……。」

「うん、こんな可愛い子達に慰められるとは俺、ツイているな。」
「はいはい。青ざめた顔でホールに入るわけにもいかないから、
スポーツドリンクでも貰って、気持ちを切り替えしてくれ。」

「悪いな、ドリンク貰って。お礼にサインでもしてあげよう。何か持っているか?」

「え、嘘やった!」
「ええっと、あ、ミニ色紙なら私持ってる!複数枚あるよ!」
「ありがとうございます、青桐さん!
ありがとう、彩愛!!」


サラサラ、とサインをミニ色紙に書いた智久ははい、と3人に渡した。

「ありがとうございます〜。」
「大事にしますね!」
「家宝にします!」
「くれぐれも転売だけはしないでくれよ。
……あー、しんどい。」

「あの、青桐さんは誰を応援するんですか?」
「もちろん、満月ちゃんに決まっているじゃないか。
他の奴らには悪いけど。」


「……へ、へぇ………。」
「満月ちゃん一択なんですね。」
「な、なるほど………。」

「芳樹の婚約者じゃなかったら、俺がかっさらっているところだったんだけどな。
でもまあ、何というか5人のお兄ちゃん達がうるさいからなぁ。」

「気持ちはわかります。私にも兄がいるんですけど、シスコンなんですよ。」
「彩愛、そうなの?」

「うん。お兄ちゃんが3人いるんだけど、私が彼氏を連れて来ようものなら
剣道で勝負して、勝ってからまずは交換日記からしてくれって言うんだもん。」

「お兄ちゃん達のお眼鏡にかなう人じゃないとお付き合いできないんだ………。」

「そうなんだよねぇ………。」

「そりゃ大変だな。
でもまぁ、綾人達も自分のお眼鏡にかなう人間じゃないと友達から始めてくれないからな。」
「満月ちゃん、大変ですね。」
「小さい頃は虚弱体質だったからな。今はそんなことないけど。
なおかで心配をかけていたから余計にだ。」

「あ、そっか。青桐さん、高校時代からの同級生だから満月ちゃんのこと
赤ちゃんの頃から知っているんでしたね。」

「そうそう。でもって智久様は唯一若旦那様達を止められる存在だからな。
家族以外で。」

「若旦那様も、綾人様達もお嬢様のことになると暴走しがちになりますからね。」

「……と、話が長くなったな。さて、そろそろ開演時刻だ。」
「あ、はい!」

続く。

ACT1-(12)


そして迎えた公演初日。桜庭市営文化ホールにて。


綾子は涼子、彩愛と待ち合わせをしていた。

何しろ、公演初日のチケット……しかも、連番だったために
3人して喜んでいた。

「はぁ…………何かもうつくづく運が良いとしか言いようがないね。」
「ホントに………。」
「3人して同じ日の同じ列だなんて、神様ありがとう!!」

わきあいあいと話をしているとこの場にふさわしくない声が響いた。

「だーかーらー、金をよこせって言っているんだろう!?」
「一方的にぶつかっておいて、慰謝料を請求するのは間違っていると思います。
金さえあれば何でも解決できると思ったら大間違いですよ。」

ベンチの前で、物吉が1人の柄の悪そうな男と言い争いをしていた。

「………あれ、あの子……。」
「綿貫さんと満月ちゃんと一緒にいた子だよね?」
「うん、確かにいた。」

ヒソヒソと話をしていると男性は物吉に腕をあげた。

「あ、危ない!」

「……おおっと。こういうところで暴力か?随分と短気なんだな。」
「こういうところで僕達の仲間にケンカを売ろうなんて、100年早いですよ。」

男性の腕を掴んだのは長髪の美女であった。

「な、何だおめぇ!?」
「お、名前を聞くのか?私は和泉守兼定。
若旦那様とお嬢様に仕えている守り刀だ。
ま、早い話が使用人兼護衛ってところだな。
アンタがなにもんか知らないが、腕っぷしには自信があるぞ?」

「言っておくと、兼さんは強いですよ。
武術の大会でランクインしている方をものの十数秒で倒したことがありますから。
病院送りされたくなかったら、お帰りください。」
「………っち。覚えていやがれ!」

「大人しく帰っている時点で利口だと思うんですけどねー。」

短髪の美少女に見送られ、男性は何処かへと去った。

「物吉、大丈夫か?」
「平気です。和泉守さん、堀川さん。」

「あ、あの、大丈夫ですか?」
「怪我とかしていませんか?」
「嫌な相手でしたよね!」

綾子、涼子、彩愛の3人は物吉に駆け寄ると声をかけた。

「あ、大丈夫です。あの手の輩を相手にするのは初めてじゃないので。」
「ま、大事になる前でよかったぜ。」
「本当に。心配してくれてありがとうございます。」
「あ、いえいえ、そんな………。」


堀川の言葉に3人は首を横に振る。
「あの、若旦那様とお嬢様って………。」
「僕達は綿貫家と姫宮家に仕えている守り刀です。
若旦那様は綿貫芳樹様、お嬢様は姫宮満月様ですね。」
「や、やっぱり………。じゃあ、今日の公演を観に?」
「そうでなかったらここには来ないぜ。
何だ、アンタ達もか。」

「あ、はい。そうなんです。」
「3人共ご友人なんですか?」

「先日、意気投合したばかりなんです。
同じ刀剣乱舞をプレイしているユーザーだし、
綿貫さんと満月ちゃんのファンなので。」
「そうなんですよ!」
「はい!」

「……そうか。それは嬉しいね。ありがとうな。」

「いえいえいえ!」
和泉守に礼を言われて、3人は顔を真っ赤にした。

続く。
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