スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

ACT1-(10)

桜庭市営文化ホールの稽古場で、稽古をしていた満月は一息ついていた。

「………はぁ………。」
「お疲れ様、満月。」
「差し入れ持ってきたよ。」
「お茶飲む?」
「それとも母さん手製のスコーンでも食べる?」
「………うん、1度に言われるとちょっと困ると思います。
直人兄様、結人兄様、悠人兄様。」
「3人とも、満月ちゃんが困っているだろ?」
タオルで顔の汗を拭いながら、芳樹は3人に言った。


「何だよ、たった1人の妹を心配したらダメなのか?」
「芳樹兄さんのところに嫁ぐまで後2年ぐらいしかないんだぞ。」
「そうだそうだー。」

「……兄ちゃん達、寂しがり屋なんだね。」
「まったく………満月の前ではカッコいい兄でいたいと言ったのは何処の誰ですか。」

「綾兄ぃが怖い!」
「同感。」
「2人に同じく……。」

「同じくじゃありません。まったく………。」

「良いじゃないか、兄弟仲が良いというのは。」

「祐一伯父さんの言う通りだー。」
「俺達は仲が良いんだぞぉ。」
「満月に対してだけでしょ。」
「4人も弟を抱えるとなると大変だな、綾人。」
「まったくです。」
「え、何、僕も入っているの!?酷くない!?」
和彦に肩車をされている幸人が、わーわーと叫ぶ。

「お前達が妹だったらゾッとしますね。」

「あ、酷い言い方!」
「満月、綾人お兄ちゃんになんか言ってやって!」

「……と言われても………。」



「もう、貴方達、何してるの!?」

智恵の叫びが稽古場に響き渡る。


「おおっと、五月蠅いお姉さんがやってきた。」
「何ですって!?」

「………やれやれですね。」
「ホントだよ。」


続く。
前の記事へ 次の記事へ
カレンダー
<< 2022年03月 >>
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31