茂みから、大型動物に似た黒い生物が飛び出してきた。
芳樹は満月を後ろに庇う。
「………冬眠中の熊でも食ったのかな。」
「大きいですね…………。」
芳樹は手をかざすと、自身の背丈ほどある大きさを持つ鋏を召喚した。
「………それじゃあ、まあちょっと片付けるとしますか。」
そういうと芳樹は地面を勢いよく蹴って闇呪に突進した。
闇呪は腕を鞭のように伸ばすと、芳樹の攻撃を受け止めた。
2つの武器がぶつかりあい、芳樹は押されていく。
「………芳樹さん!」
満月は足元に魔法陣を展開させると、氷の矢を生成した。
弾丸のように飛んでくる矢を受けて、闇呪は後退した。
鞭を触手に変化させて闇呪は満月に襲い掛かろうとする。
「満月ちゃんには指1本触れさせないよ!」
闇呪が満月めがけて伸ばした鞭の腕を芳樹は斬り落とした。
悲鳴にも似た咆哮をあげ、闇呪は芳樹に怒りをぶつける。
「………芳樹さんだけには戦わせない!」
闇呪の周囲に魔法陣が展開され、そこから氷の矢が発射される。
体を凍らされ、闇呪は氷を壊そうと暴れだした。
「………これでおしまいだよ。」
そういって、芳樹は鋏を上から振り下ろした。
断末魔をあげ、闇呪は塵のように消えていく。
「……………うん、これで大丈夫かな。」
「……野次馬が来る前に移動しちゃいますか。」
「そうだね。」
2人は互いに笑い合うと、急ぎ足で公園を後にした。
続く。