〈梗概〉
警視庁蒲田署に異動となった武本は、不法滞在外国人を母に持つ幼女監禁事件を追った。
一方、かつての上司、潮崎は、武本の力になりたい一心で、独自に事件の調査を始める。
そして、浮き彫りになる子供の人身売買や虐待の現実。
法律では裁ききれない闇に、二人はどのような光を当てるのか?
シリーズ第二作。





最新作を借りたことにより、読み返したくなって借りたシリーズ二作目。
武本さんと潮崎さんは相変わらずで、二人の関係やその絆の強さに頬が緩んでしまいます。
「先輩、お怪我は?」って……、潮崎さんは本当に武本さんが好きなんだなぁ。
二人の再会シーンから、朝御飯を一緒に食べてるシーン等、兎に角にやにやしっ放しでした(*´艸`)




……と、まあそんな感想はさておき。
今回もまた複雑な問題でしたね。
不法滞在する外国人は確かに法を犯しているけれども、その外国人が日本人との間にもうけた子どもには何の罪もない。
しかし、国籍もなく虐待や人身売買といった酷い目に遭い、生きていくことすら儘ならない。
そうした子どもたちに居場所やおやつ、御飯、そして医療を提供することすら本来許されない。
しかし、違法ではあるが悪いことはしていない、誰も困っていないと豪語する羽川のぞみは、人の善意を利用して不法滞在外国人の子どもではなく、嘗ての幼い頃の自分を救おうとしている。
これ以上やるせないことはないでしょう。


何でもかんでも違法だから、悪いことだからと罰すればいいという訳ではないですが、法を守らなければ法治国家は崩壊する。
しかし、法は本来あるべき効力を失いつつある。
本当に難しくて、一概に何が良いとか悪いとか云えない問題ですよね。
このシリーズはそうした問題を提起し、読者に考えさせるお話だと思います。




また、温情の小菅と冷血の和田という、新しい警察の人間も登場してますが、この二人もまた対照的で一概にどちらの言い分ややり方が正しいとも間違っているとも云えないですよね。
和田さんの武本さんに対する思いやりや、小菅さんの武本さんや和田さんに対する温情がよく伝わってきて、ああこの二人はやり方こそ違えど似たような人なのだなと思いました。




警察という組織、そして法律。犯人。
それらに挟まれ苦悩し乍らも、それでも諦めない、正しくあろうとする。
本当にこんな警察官がいたらいいなぁと思います。