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殺戮にいたる病/我孫子武丸



<梗概>
永遠の愛をつかみたいと男は願った――
東京の繁華街で次々と猟奇的殺人を重ねるサイコ・キラーが出現した。
犯人の名前は、蒲生稔!
くり返される凌辱の果ての惨殺。冒頭から身も凍るラストシーンまで恐るべき殺人者の行動と魂の軌跡をたどり、とらえようのない時代の悪夢と闇を鮮烈無比に抉る衝撃のホラー。




実は本書は再読でして、随分前に一度読んだことがあります。
ただ、グロテスクな内容だったということ、取り分け殺害方法が詳細に描かれている方だという記憶が強く、他は余り印象に残っていませんでした。




今回再読して、矢張りグロテスクな印象に間違いなかったと再確認しましたが、それ以上に叙述トリックの最高峰と云わしめるラストにぽかんとしてしまい、暫く理解が追いつかなくて何ページか戻って読み直して漸く理解するに至りました。
最後の蒲生雅子の一言、そして樋口たちが駆けつけた時の光景で、それまで頭の中で思い描いていた図式が一気に崩れていきます。
この手腕は正に圧巻。
考えてみれば雅子は常に息子のことを「あの子」としか読んでいなかった為、読者を叙述トリックに嵌める為のミスリードだったのでしょうが、読みやすい文体と違和感なく進むストーリーとが相俟って、全く疑問を挟むことがありませんでした。




これ以上ないくらい見事なまでの叙述トリックだと思いますし、最高峰と謳われるだけあると思いますが、内容のグロテスクさに人に余りお勧め出来ないのが残念。


パンドラの火花/黒武洋



<梗概>
死刑制度廃止。
そのとき、政府が扱いあぐねたのは、すでに判決が確定していた死刑囚たちだったが……。
十六歳で家族六人をみな殺しにした横尾友也も、今や五十代の死刑囚。
彼に更正の余地ありとする政府は、刑の執行停止を交換条件に、「ある人物」を説得して、その凶行を未然に防ぐことを命じた。
果たして、罪とは償えるものなのか?
罪と罰の根源を問うクライム・サスペンス。




『そして粛清の扉を』の黒武洋先生の作品、しかも上記の梗概を読むと物凄く興味深い内容だろうと期待したのですが、大いにその期待は外れました。
先ず、九条は勝手に死刑制度について(反対か賛成かどちらか)の見解が示されているのではないかと思ったのですが、それは全くありませんでした。
次に、多少有り得ない設定だとしてもリアルな話だと思ったのですが、真逆のファンタジィというかSF要素を取り入れるという暴挙に、正直匙を投げたくなりました。
火村なら鼻にもかけないだろうなぁとさえ思っちゃいましたよ……。
同じ死刑制度を云々する話なら、有り得ない設定にしても『死刑囚042』(漫画ですが)の方が余程話として完成していますし、やや現実的といえるでしょう。



初めは一人の死刑囚の話だけを詳しく描くのかと思ったのですが、話のテンポは悪いのにペースだけは早くて、半ば程で一人目のお話は終了してしまいます。
唐突に二人目の話が始まったかと思うと、大して掘り下げるでもなくまたもやペースだけは早く進んで、これまた早々に終了。
三人目の話も唐突に始まり、一人目よりは劣るものの若干の掘り下げののち、最終的には三人目自身の話ではなく監視役だった人に焦点が当てられ、よく解らぬまま話が終わります。
ここまで読者が置いてきぼりな話は、早々ないのではないかと思ってしまう程です。




“死刑制度廃止”というテーマにも関わらず、設定が突飛な上に軽薄で、一貫して話の掘り下げが浅くテンポは悪いのに話だけはどんどん進んでいくのだからタチが悪いです。
どうせファンタジックな要素を盛り込むのなら中途半端にではなく、もっと確乎り盛り込むべきだと思いますし、話のテンポが悪い上に人物についての掘り下げが全く出来ていないから、とかく読むのが苦痛で仕方がなかったです。



どうせならば、『そして粛清の扉を』よりも掘り下げて、人間の醜さだとか、怖さだとかを描く作家さんになってくれたら良かったのになぁと思うと、つくづく残念でなりません。
今回の『パンドラの火花』も一人目の話にだけ絞って書いていたら、多分人間ドラマになったんじゃないのかなぁ……。
何だかこれだと、未来の自分が過去の自分を説得っていっても、所詮自分は自分で変わらないのだとか、犯罪者はどうあっても犯罪者という考えになりかねない気もします。(それが狙いなのかもしれませんが)
そうした話を書きたかったにしても、書き込みが悪い印象は拭えませんけどねぇ……。(しかもファンタジィ的な要素を中途半端に盛り込んでいるので、軽薄な印象が拭えない)
何か完全に消化不良です。


黒い家/貴志祐介



<梗概>
若槻慎二は、生命保険会社の京都支社で保険金の支払い査定に忙殺されていた。
ある日、顧客の家に呼び出され、期せずして子供の首吊り死体の第一発見者になってしまう。
ほどなく死亡保険が請求されるが、顧客の不審な態度から他殺を確信していた若槻は、独自に調査に乗り出す。信じられない悪夢が待ち受けていることも知らずに……。
恐怖の連続、桁外れのサスペンス。読者を未だ曾てない戦慄の境地へと導く衝撃のノンストップ長編。
第4回日本ホラー小説大賞大賞受賞作。




圧倒的な恐怖、不快感。
この本の読了感を簡潔に云い表すならば、これに尽きるのではないでしょうか。
最近、貴志祐介先生の著作を細々と読み出し、これが3作目なのですがこの方は兎に角“人間の怖さ”を書くのに突出しておられるように思います。
これを新人が書いたのかと思うと圧倒されると同時に、もっともっとこの人の作品は評価されていいのではないかと思いました。



著者自身が生命保険会社に勤めていたからか、生命保険に纏わるトラブルや犯罪の描写が細部に至るまでリアル。
そして事件の展開。
当初疑っていた人ではない、別の人が犯人で、しかもサイコパス(作中でも議論されており、そう決めつけてしまうのは危険な気がしますが、便宜上こう記します)。
生まれつき邪悪な人間(犯罪者)はおらず、劣悪な環境と幼児期に受ける精神的外傷こそが犯罪を生み出す温床であり、人間にレッテルを貼るのは間違いであるというのが、本書で主人公が最後に信じたいと思っていた考え方です。
それについて議論をするつもりはありませんし、概ねその通りだと思います。
しかし、作中の犯人のような人間がいることは間違いなく、そしてそれらとの何らかの衝突があるのは間違いないでしょう。


著者はこの作品の13年後に、今度は所謂“サイコパス”のレッテルを貼られている側、新人類側である人物を主人公に据えた『悪の教典』を上梓しています。
慥かに『悪の教典』の主人公も生まれついての犯罪者ではないですが、他人との共感性の欠如がそもそもの出発点でした。
蓮実聖司にしろ『黒い家』の犯人にしろ、生まれつきの犯罪者ではなく本人を取り巻く環境と幼少期の経験が犯罪者に至らしめたことは間違いありません。
しかし、蓮実聖司に関していえば、疑問が残るのは否定出来ません。
そうしてパターンを変えた“サイコパス”と呼ばれている人物を描く貴志祐介先生の筆力には脱帽です。




一番怖いのは幽霊でも妖怪でもなく、殺意を持って包丁を握り襲いかかってくる生きた人間である。
そしてそうした人間(=“サイコパス”と呼ばれる人たち)を作り出しているのもまた人間である。
きっとこの作品で提起されているのはこの二点なのではないでしょうか。
そうした“人間の怖さ”を描いたこの作品は、間違いなく“ホラー”であるといえるでしょう。(“ホラー”と聞いて思い浮かべるものとは一線を画しているかもしれませんが)


菩提樹荘の殺人/有栖川有栖



<梗概>
若き日の火村、そして若さゆえの犯罪――シューベルトの調べにのり高校生・アリスの悲恋が明かされる表題作、学生時代の火村英生の名推理が光る「探偵、青の時代」、若いお笑い芸人たちの野心の悲劇「雛人形を笑え」など、青春の明と暗を描く。



久々の作家アリスシリーズ最新作の短編集でした。
どれもトリックや事件の真相は意外なものではなく、奇を衒ったものはなく力を抜いて読むことが出来ました。
でも、そろそろ物足りない感じもしてきているので、作家アリスシリーズで長編が読みたいよーo(´□`o)



今作の見処はもう火村とアリスの漫才のような掛け合い。これに尽きます。←
最近の作品は少し漫才のようなやり取りが減っていたので、今回は久し振りに沢山読めて大満足でした(*´艸`)



個人的に印象に残ったのは、表題作『菩提樹荘の殺人』でアリスの高校時代の失恋エピソードが、火村に語られていないことが判明したところでしょうか。
ああ、アリスは火村にでさえ話していなかったのだなぁと。
慥かに誰彼構わず話すような話ではないし、アリス自身『スイス時計の謎』でだいぶ蟠りがなくなった様子ではありますが、余り触れたくない部分には違いないでしょうし。
話を聞いたあとの火村のぽつりと漏らした言葉も、下手な同情等がないだけに真摯に受け止めているのだなと実感させられます。
そしてそのあとの、火村が抱える闇を吐き出すならば今だ、とアリスが思い、火村が煙草を咥えることでそれを拒否するシーンが凄く印象的ですし、切ないですね。
この二人は今もしょっちゅう連絡をとっていて、間違いなくお互い一番親い友人でしょうに、何処か隔たりというか距離がある感じがして、それが堪らなくなりますね。



あと、ファンとしては矢張り、二人が出逢った時のエピソードにまた触れられているのは嬉しいですよね。(笑)
お前とはカレーばっかり食べているような気がする、かぁ。
ファンとしてはニヤニヤしたくなっちゃう件ですよね。
今回はそんな感じで、火村やアリスというキャラクターの掘り下げがメインという感じのお話でした。
シリーズのファンなら楽しめますが、推理を期待するとがっかりしちゃうかもです。
個人的には大満足ですけどねf^_^;


ブログの内容について柄にもなく悩んでみたり。

何となくタイトル↑がラノベのタイトルっぽいような気がします。(多分気の所為)




以前のブログサーバーの頃から拝見しているブログがあるのですが、その方はハンドメイド作品の写真を載せておられたり、フリーマーケットに参加しておられたりしていて凄いんですよ!
ブログのお買い物記事も楽しくて、購入されたハンドメイド作品用の材料を写真とコメントつきで紹介しておられるのですが、もう眺めているだけで楽しいです




九条は手先が不器用で、細かい作業に全く向いていないので、ハンドメイドで作品が作れる方は本当凄いと思いますし、尊敬します
他の方でレジンアクセサリを作っておられる方もいらして、もう皆様何でそんなに女子力高いの?!と九条は涙目です。←
九条にもその女子力分けて下サイ。(スライディング土下座)
裁縫とか何でこんな出来ないの?!ってくらい出来ないんですよ九条は!
ミシン使っても真っ直ぐ縫えないし下糸絡むしていうか針折れるし、編み物も編んでるうちに斜めになってくし、これはもう性根が曲がってるからでしょうね!←



そもそも、裁縫に限らず女性らしいことって一切出来ないんですよ。本当何の自慢にもなりませんけど。
料理はやろうと思えばそれなりに出来るとは思いますが、殆どしないので自信ないですし、掃除もあんまり得意でない(仕事なら別ですが)ですし。
唯一マトモに出来るのなんて、アイロン掛けくらいだよ!
女としてヤヴァイよねとか思うよぉぉぉ(((;゚Д゚)))




せめて可愛いもの買った!とかって記事をアップ出来れば良いんでしょうけど、買わないよそんなキャラじゃないもの/(^o^)\wwwwww
買ったところで精々がアニメグッズか本だもんなぁ……。
枯れすぎだよね自分。
せめてもう少し女の人らしくすべき?とか思うものの、キャラじゃねぇよ今更とか思う訳でして。
キラキラふわふわした女の人らしいものが似合う女性なら良かったのにねぇ……。残念キャラだわ自分。←



しかし、本の感想ばっかりのブログってのも、それはそれでどうなのよ、って気はしなくもないのですよねー(-゙-;)
かといってニートの生活にそこまで起伏が求められる筈もなく。
せめてもうちょっと、生活に変化や潤いを求めて何かアクションすべき?とか思っています。


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