<梗概>
女子高生傭兵ユリの初仕事は人気キャラクターの襲撃!?
多額の借金を持つ女子高生のユリは返済のために、銃を持ち、己の命をリスクに晒す……そんな危険な傭兵稼業に手を出した。
彼女は合法・非合法を問わず危険な仕事を請け負う「死に損ない」ばかりの松倉チームで仕事を始めるが、なぜか連れて行かれたのは都内のバーガーショップ。
「こ、これ、ヤバくないですか!? 超ヤバイですよね!?」
ユリの初仕事は、なんとバーガーショップのマスコットキャラクターを襲撃することだった…!
不可思議な仕事依頼をきっかけに、銃弾と血と笑い声が飛び交う常軌を逸した夜が始まる――ユリは未来を切り開くために戦い抜けるのか!?
Twitterのフォロワー様が、初めて商業ラノベのイラストを手掛けられたということで買った作品です。
著者のアサウラ先生は『ベン・トー』でお名前は存じ上げてましたが、著作は読んだことがなく……失礼な話、挿し絵が楽しめれば良いかなと思っていました。
ところがどっこい。
読み始めてみたら余りのギリギリ感と面白さに、読む手が止められない止められない!
後書きに「法的にヤバいポイントを大量に指摘してくださった弁護士さん」という記述がある通り、著者は何か恨みでもあるの!?と云いたくなるくらい某企業(二社)に喧嘩売ってるかのような内容……。
そりゃあ「正気か!? 消されるぞ!」と云われるのも頷けますよ。
しかし、昨今のライトノベルにありがちな、何の取り柄もない男子(高校生)主人公が色んなタイプの女の子にモッテモテー、みたいなノリは一切ありません。
もうそれだけで他のライトノベルとは一線を画していると思います。
何しろ主人公は女の子。
しかもグロい描写ありのガンアクション。
どのジャンルに分類したものか……と悩みたくなる設定が混じっていたりもしますが、基本はガンアクションものなのでしょうかね。
ガンアクション好きの九条には堪らんです(*>ω<*)
『GUNSLINGER GIRL』に出てくる銃器とは全く違う銃ばかり登場したので、そこも個人的には楽しめました。
そして何より、食べ物の描写が美味しそうー!!
これはテロ並の威力がありますね。読んでいたらお腹が空いてきます(>_<)
アサウラ先生は食べ物の描写に定評があるそうで……、慥かにこれは凄いぞと感心頻り。
そして標的であるロナウダ。
目茶苦茶怖いのですが、オリジナル・ロナウダが誕生した裏話は哀しいですね……。
ロナウダが息子のことを思い出したのは、せめてもの救いなのかはたまた残酷なことなのか……。
本当にロナウダを仕留めたのかどうか、微妙にぼやかしているところもまた怖いですね。
これは続刊に引っ張られるのでしょうか。
だとしたらロナウダ不死身過ぎ怖過ぎ。
と、まあ結構褒めてる感じの感想を書いてきましたが、個人的にはちょっと首を傾げたくなるような部分もない訳ではなく。
例えば、主人公のユリですが多額の借金を背負い両親がユリを残して姿を消した為に、この仕事に就くことにした訳ですが。
普通のライトノベルの定石なら、そこからスタートだと思うのですよねー。
ある日突然、借金発覚→両親が失踪→借金とりに突きつけられた選択肢から傭兵稼業を選択
みたくなるんじゃないかなー?と。
それをすっ飛ばして、いきなり傭兵稼業やってるチームに放り込まれて、話を聞いてみれば更に借金が上乗せされていて……って、何だかまだ裏がありそうな気がするのですが……(-゙-;)
勿論、定石通りでないのはそれはそれでアリなのでしょうが、どうにもユリに感情移入しづらいのですよね。
まだユリのバックグラウンドも、全部明かされてはいないからかなーと思うのですが。
まあ、ユリに感情移入しないで読む分、100%傍観者として読めるので本当に映画か何か観ているような感覚でいられます。
文章もテンポが良くて、銃器に関する描写が少し苦呶く感じる人もいるかもしれませんが、それくらいでもたつく部分がないのでスピード感があります。
それが尚更、傍観者でいられる要素ではあるのかも?
賛否両論あるようですが、個人的にはありがちなライトノベルとは違って面白いと思いますし、著者が書きたい放題書いてる感がまたいいんじゃないかと。
グロいのに耐性がある方、ガンアクションお好きな方、書きたい放題書いてある荒唐無稽な話が好きな方、ありがちなライトノベルに飽きた方にお勧めです。
九条は続きが出たら買いたいと思います!