櫛木が経営している会社のパソコンルームでPMWへ外部アクセスができないか、
作業をしている芳川の元に青桐智久と彼の守り刀である鶴丸国永がやってきた。


「おう、芳川。どうだ?」
「青桐さんですか。……いやぁ、強制ログアウトができないっていうのは辛いですね。
ハッカー本人をPMW内で捕まえないとどうしようもないです。」

「なるほどなぁ……でも、強制ログインはできたんだろう?」
「ええ、まあ。後2人ぐらいはできますよ。」

「なるほどなぁ………。」

「それで青桐さんと鶴丸さんの方はどうです?
ラヴクラフトについて調べることができましたか?」

「ええ、ラヴクラフトはアメリカにある自宅で意識不明の重体になっているところを
母親が発見して病院に搬送されたそうよ。
……母親が強制ログアウトを試みたそうだけど、無理だったみたい。」
「………発見、遅れたんですよね?結構衰弱しているんですか?」
「らしいわね。」

「…………ま、親のすねかじりをしている引きこもりだったみたいだけどな。」


「……何でラヴクラフトさんがこんなことを………。
長い間引きこもりで、ニートだったから好きなゲームを開発・制作して親孝行したいって言っていたのに……。」


「………理由については彼女から別れを告げられたみたいだな。」
「……マジですか!?」

智久の調査結果を聞いた芳川はビックリした。

「まぁ、よくある話と言えばよくある話だがな……。」
「彼女にフラれた腹いせに何万人も、PMWに閉じ込めるだなんてアホと言えばアホというか……。」
「高収入だったけど、性格と見た目に問題があったからなぁ……。」

「………あー、そういうことですか。初めての彼女だったんですか?」
「みたいだな。」
「ですね。」

「も、もしそれが本当ならカップルが狙われやすいんじゃ……。
PMW内のユーザーの中には、カップルでログインしている方もいらっしゃいますから。」

「ちなみにそのフッた彼女もこのゲームに参加しているんですか?」
「彼女は参加していないが新しい彼氏がこのゲームに参加しているらしい。
……こら修羅場になりそうだな。」
「……ですね。」


「芳川、俺達もログインするから協力してくれ。」

「了解っス。目的が分かった以上、ラヴクラフトを見つけて即逮捕ですね。
PMWの乗っ取りをしているんですから。」

智久と鶴丸はゲーム用端末をパソコンに繋げるとそれを装着してPMWに強制ログインした。

続く。